死神と少女【千代】

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TAKUYOさんのPSVita用ソフト「死神と少女」で野島健児さん演じるキャラクター、千代の感想とネタバレ(あらすじ)をまとめました。

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キャラクター紹介

CVは野島健児さん。
七葵と主人公にしか見えない特別な存在。
七葵とは幼馴染のようなもので、幼い頃から彼を見ることが出来たそうだ。


そんな特別な存在を見る力が自分にあることを知らなかった主人公は、ある日彼に声をかけられたことで知り合う。
その後、七葵と共に親しく過ごすようになった。


感想

癒やし系の人でした。
とてもほんわかした気分にさせてくれました。
彼個人が好きというよりは、七葵くんと一緒のところが特に好きだったなという印象。


そしてどちらかと言うと、メインと言うよりはサブに近い感じでした。
だからしっかりしたエンドではなかったかもしれません。
それでもとても泣けるお話だったなと思います。


難しい立場の彼なので、手放しで喜べるエンドじゃないかもですが、泣けるので個人的には満足しました。
きれいな終わりだなって思えたので。


作品自体は、そんなに相性がよくない印象でしたが、千代さんはすごく好みでした。
ほんわかさせてくれて、ありがとうございます!


ネタバレ(あらすじ)

コスモス畑での出会い

気づいたらそこにいた。
見渡す限り一面に広がるコスモス畑。
なぜそこに居たのか、どこから来たのか、自分でもわからなかった。


だから理由を知りたくて、近くに居る人に訊ねたりもした。
けれど誰も答えを教えてはくれなかった。
そうして知ることになった。
誰も俺を見ることが出来ないのだと。


だからずっと一人だった。
来る日も来る日も人は訪れる。
けれど俺だけは、そこにずっと一人だった。
ここに居る理由もわからず、どこから来たのかも分からないまま。


そんなとき七葵くんに出会った。
おい、そんなところで何してるんだよ?」と。
声をかけられてあたりを見渡した。
この子は誰に話しかけているんだろう?と。


おい、お前だよ、お前!
すると少年はそう声を掛けるのだ。
俺のことが見えるの?
嬉しかった。
ずっと一人だった俺に、やっと友達が出来たから。


美しい人

ずっと一人で言葉を交わすこともないまま過ごしていた。
だから自分の声が、言葉が誰かに届くなんて考えても見なかった。
でも、全部七葵くんが受け止めてくれた。


だから嬉しくて、俺は七葵くんについて歩くようになった。
そうしていつも沢山のことを話したんだ。
今まで話せなかったぶんも。


けれどあるとき気づいてしまった。
俺が話掛けることで、七葵くんに迷惑がかかるのだと。
それは七葵くんが剣道の稽古をしているときだった。
俺と話している所を兄に見られた七葵くんは「誰と話しているんだ?」と言われたんだ。


そうして次第に周りは七葵くんを、おかしなものを見るような目で見るようになった。
大事な友だちだから。
そんな目で見られる彼を見ていることが辛くなった。
だから俺もひと目を忍んで、七葵くんが一人のとき以外は、なるべく話しかけないようにしていた。


そばに居るだけなら問題ない。
学校についていっても、どうせ誰も俺のことを見ることは出来ないのだから。


でも違った。
あるとき出会ってしまった。
俺のことを見ることが出来る、美しい人と。


彼女に会うために

出会った瞬間恋に落ちた。
大げさだって言うかもしれないけど、そうじゃない。
本当のことなんだ。


だって彼女は似ていたんだ。
心惹かれてたまらないあの花に。


あれはまだ七葵くんと出会ったばかりの春のことだった。
それまでずっとコスモス畑に居た俺は、世界のことをあまりにも知らなかった。
だから七葵くんと共に出歩く世界は、キラキラと輝いてとても素晴らしいものだった。
中でもひときわ心奪われたものがあった。
それが桜だった。


あまりに美しくて、あまりに心震えて「七葵くん、七葵くん、この花は何?」と大騒ぎで名前を聞いたことを今でも覚えている。
そうして七葵くんに桜という花で、日本人はみなこの花が好きなのだと教えられた。


儚くて、けれど心を掴んで離さない美しさ。
その花を見たとき、なんとも言えない気分になったんだ。
ずっとずっと憧れていた人に出会ったような、不思議な気分に。
そうして胸が焦がれるような思いがした。


彼女との出会いもそうだった。
お嬢さんの美しさは、儚さは、あの桜そのものだったから。


だから思ったんだ。
なぜここに来たのか分からない俺だったけど、きっと彼女に会うために来たのかもしれない…と。


失った居場所

彼女と出会ってからの日々は楽しかった。
今までは七葵くんにしか見えなかったのに、彼女に出会ったことで、彼女とそして彼女の知り合いで死神だと言う蒼さんにも俺の姿が見えたから。
だから楽しくて嬉しくて仕方なかった。
ずっとそんな日が続くと思っていた。


でもある時七葵くんに釘を刺されたんだ。
お前は彼女とは違う」と。


そんなこと本当はとっくに分かっていた。
俺はお嬢さんとは違う存在。
お嬢さんと俺が二人きりででかけたとしても、俺と話しているお嬢さんは、昔の七葵くんのようにおかしな人に見られてしまう。
そばにいて、お嬢さんに何かあったとしても、実体を持たない俺は、助けることも出来ないんだ。


それでも嬉しくて、たまらなく憧れたから。
だからそんな現実を見ないふりして浮かれていた。


そんな頃、七葵くんの目に俺が映らなくなったんだ。
最初は俺のことを怒って意地悪しているんだと思った。
けれど違ったんだ。
本当に見えなくなってしまったんだ。


そうして俺はまた昔に逆戻り。
存在していたって、誰の目にも映らないなら、誰にも認識してもらえないなら、それは居ないと同じこと。


その涙を拭うことも…

そうして一人ぼっちになった俺は、お嬢さんが救ってくれた。
私が居るじゃないですか?私には千代さんが見えます」と。
そうしてずっとそばにいてくれると、俺の手を離さないと言ってくれた。


でも、その手をとることが出来なかった。
分かっていたんだ。
七葵くんの言う通りだって。
俺じゃダメだって。


彼女は素敵な人だから、幸せにならなきゃいけない。
でもその彼女の幸せの隣に、俺の居場所はないんだ。
どんなに望んでも、どんなに焦がれても、どんなに手を伸ばしても。
本来ここにあるべきでない俺は、きっともう消えるべきなんだ。


本当はこんなに長くとどまるべきじゃなかった。
それでも七葵くんの存在が俺をこの世界につなぎとめてくれた。
本当はとうに実態を失っているはずだったのに。


きっと七葵くんに見えなくなったと言うことが、終わりの知らせなのだろう。
もう消える時間だと、神様もそう言っているんだろう。


そんな俺を「好きだから」と「大切だから消えないで」と彼女は泣いてくれる。
だからその涙を拭いたいのに。
力を失った俺は、もうその涙を拭うことも出来ない。


人に見えない俺だったけど、七葵くんとお嬢さんだけは触れることが出来たのに。
今はそれすら叶わない。
多分俺が自分が何者か気づいてしまったから。
帰るべきときが来てしまったから。


俺だけの桜

俺の正体はコスモス(秋桜)。
それを思い出したとき、どうしてこんなにも桜に憧れてしまうのかを理解した。
秋に咲く桜の俺だから、春に咲く本物の桜をずっと見たいと願っていた。
けれど、俺達は咲く時期が違うから。
たとえどんなに焦がれても、この手を伸ばしても、決してそれは叶わない。


なのにその強い思いが、憧れが、俺に実体を与えたのかもしれない。


そうしてその夢は叶った。
お嬢さん、あなたに会えたから。
会えた瞬間恋に落ちた理由も、こんなにもあなたが恋しかった理由も全て分かった。
それはあなたが俺の桜だったから。


ずっと会いたいと願っていたのも、触れたくて手を伸ばしていたのも。
その相手はあなただった。


だから俺は想いを告げて、幸せになってと伝えコスモス畑へと帰って行く。
居なくなる訳じゃない。
ここに、このコスモス畑にずっと居るから。


もう今までのように、言葉を交わすことも、共に出歩くことも出来ない。
それでもここで見ているから。
あなたのことを。
それでもここで祈っているから。
あなたの幸せを。


七葵くんとみんなと、一緒にお花見をしましょう。
その約束が果たせなかったことだけは心残りだけど。
それでも十分すぎるくらいの幸せを貰ったから。


あなたという桜と出会えた奇跡に感謝しながら、ここで見守っているから。
だからどうかお嬢さん幸せになってください。
俺のことは忘れて、誰よりも幸せに…。


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