キューピット・パラサイト【アラン・メルヴィル】

この記事は約17分で読めます。
Nintendo Switch用ソフト 
ブランド:アイディアファクトリー 
ジャンル:女性向け恋愛ADV 
発売日:2020年8月20日

オトメイトさんのNintendo Switch用ソフト「キューピット・パラサイト」で古川慎さん演じるキャラクター、アラン・メルヴィルの感想とネタバレをまとめました。

スポンサーリンク

キャラクター紹介

※「キューピット・パラサイト」は乙女ゲーム制作ブランド『オトメイト』の作品です。  
 バナーの画像はこちらからお借りしております。

CVは古川慎さん。
人のものにしか興味を持てない、略奪パラサイト

枕店で働く、ちょっと恋愛傾向に問題のある普通の人に見える彼。
しかしその正体は悪魔で、淫魔インキュバス

インキュバスの食事は夢で、美味しくいただくためには、恋をしている人の夢が必要なんだとか。
そのため恋人のいる人ばかりを狙い、いつしか略奪パラサイトと呼ばれるように。

しかし、そんな彼には悪魔である事よりももっと、大きな秘密が………。

感想

アランさんの感想をいくつかの項目に分けてまとめました。

ビジュアルについて

見るからにセクシーな感じな彼。
色もセクシーを連想させる紫。

セクシーと無縁の世界で生きて来た私には、なかなかハードルの高いお相手でした。

そういう意味では、ビジュアル的には、どちらかというと苦手な部類に入るかな?と。

更にはビジュアルとは少し違いますが、話し方。
古川さんが役に合わせて演じてくださっているお陰で、大変セクシーな感じなんですよね、話し方が。
そこも私の苦手カテゴリーで。
実は正直お友達に任せて、攻略しなくていいかな?なんて思っていました(笑)

性格について

皆のルートから見てる限り、ないな…という感じの人でした。
「アワハニー」というシェア前提みたいな呼び方も苦手でしたし。

所が彼のルートに入ってびっくり。
すごく優しい人でした。
ギルの過保護さとはまた少し違うのですが、なんかすごい甘やかしてくれる感じです。

更には「アワハニー」から「マイハニー」に変わった瞬間
なんかやられたって思いました(笑)
これか、このためのアワハニー呼びだったのか?と。
すごく負けた気分です(笑)

恋人として

ないな…と思っていました。
攻略しなくてもいいかな?と思っていました。

でもごめんなさい。
恋人としては最高でした!
なんでしょうか、この感じ(笑)

本当に大事にしてくれるんですよね。
インキュバスとしての食事はするものの、彼女のためを思って触れないようにしている所とか。
そんな気遣いや優しさに触れたとき、すごくそれが心に沁みました。

寧ろ理想的な恋人かもしれないと思えました。

やらず嫌いは良くないね!
そう思わせてくれたのが、彼だと思います。

仲間として

他の方のシナリオの中では、仲間としてどう?というのは判断しづらかったです。
でも幸い、隠しキャラもプレイ出来たので、お陰で彼の仲間しての活躍を見る事が出来ました。

過去の事とかもあるので、彼が仲間ってどうなのか?と不安でしたが。
大変活躍してくれました。
ちゃんと仲間としても助けてくれる人でした。

だから仲間として付き合っていくのも、いいかな?と思えましたね。
どっち?と聞かれたら、恋人がいいかな?とは思いますが(笑)

ときめきポイント

誰彼構わず、見境なし。
そんな印象の彼でしたが、彼女に対しては全く違っていた事が、大きなときめきポイントだったと思います。

ものすごく献身的な愛
全てを、長い年月を一人の人のために注ぎ続けられる。
そんな所がとても心に響きました。

ファンタジー的なシナリオでした。
いや、作品自体がファンタジー感あふれる設定ではあるのですが(笑)
そんな中でも、よりファンタジー感のある、素敵なシナリオだという所も、ときめきました。
シナリオとしてもすごく好きだったし、彼が恋人しての愛情が深いことも知る事が出来たし。
攻略してみて、本当に良かったです。

ネタバレ(あらすじ)

キミが会いたいって言ったら会わずにはいられない。
キミが海が見たいって言ったら、連れて行かずにはいられない。
キミの願いは出来る限り叶えたかったから。

対の天使

今から500年程前、彼女と彼は、二人で天界で過ごしていた。
天界とは神界とはまた別の世界で、天使たちの暮らす世界だ。
そう、二人は天使だった。
それも二人で一対となる、対の天使だった。

天使は神に命じられ、人間界に行き仕事をする。
彼らは名前を持たず、言葉を持たない。

それでも対である二人は、互いをとても大切に思っていた。
そしてそんな風に寄り添って過ごす日々が、これから先も当たり前に続くと思っていた。
あの日までは。

神の使いとして人間界で仕事をする事だけが、天使の存在理由ではない。
十二神以外の神は、使い捨てのような存在。
だから時折消滅し、その都度新たな神を補充していた。
その補充要員としての存在。
それが天使だった。

神の誰かが欠けると、マーキュリーがその座に相応しい、神に相応しい天使を天界から選び任命する。
その決定は絶対で、マーキュリーに選ばれたら、主神ジュピターですら覆す事は出来ないのだ。

キューピットと堕天使

天界には神界とを繋ぐ扉があった。
天使たちが使う為のものではない。
それは神が天界に用がある時に利用するものだ。
通常、神が天界に用事があるのは、人間界への使いとしてだった。

所がその日は少し違っていた。
突然開いた扉からは、ジュピターとマーキュリーが現れ、一人の天使を選んだのだ。
するとその天使はナイキに任命され、それに応えるように天使の輪が砕け、ジュピターたちが入ってきた扉の向こうへと消えて行った。

その様子をじっと見つめていた彼女。
すると今度は彼女が呼ばれた。
そうしてマーキュリーは告げたのだ。
お前をキューピットに任命する」と。

しかし彼女の対の天使は、それに逆らった。
だって耐えられなかったのだ。
ずっと一緒に居ると思っていたから。
これから先も今までのように。
だから彼女を連れて行かせまいと、相手が神でも諦めなかった。
彼女を掴んで離さなかった。

けれどそんな彼の行動は許されない。
神に逆らったのだから。

そうして彼はマーキュリーに無理やり彼女と引き離され、片方の翼を毟り取られた。
片翼になった彼は、更に天界から落とされてしまったのだ。
そう、堕天使させられたのだ。
神に逆らったからという理由で。

理不尽だと思った。
勝手に彼女を奪っておいて、抵抗した自分を容赦なく堕天使にした神に対して。

そうして冥界へと落ちた彼は、インキュバスとなった。
けれどまだなんの力もない彼。
そんな弱い彼が落ちて来たのを拾ってくれた悪魔がいた。
サキュバスのクラリスだ。

以来クラリスは悪魔のひよっこだった彼を、母親のように育ててくれた。

もう一度あの子に会いたくて

どうしても神界へ行きたかった。
キューピットにされたあの子に会いたくて。
神界へ行きジュピターを倒したくて。
神界をぶっ壊したくて。

だから彼は400年近くの時をかけ、上級悪魔になった。
上級悪魔にならなければ、読めない本があったからだ。
その本を読むことが出来れば、神界へ行く方法、神界を壊す方法が分かると思ったのだ。

しかしこれと言う目ぼしい情報には出会えなかった。
けれど彼の求める方法には出会えなかったものの、役職神についての記述を見つけた。
そこには役職神には消滅があり、一定期間その役職につくと、最終的に消滅し、新たな神がその役職に就くというものだった。
そう、役職神は使い捨ての神様だったのだ。

更には役職ごとの寿命にも触れられており、そこでキューピットの寿命が400年であると記されていた。
彼がその記述に辿り着いた時、彼女はキューピットとしての年齢が379歳になっていた。
もうあまり時間がない。

けれど幸いにも、キューピットは人間に恋をすると人間になり、キューピットの任を解かれる事も知ることが出来た。
つまりは彼女が人間に恋をしてくれれば、消滅することはなくなるのだ。

消滅とは死ぬこととは違う。
死ぬのならば、魂自体は残るから、生まれ変わる事もできる。
しかし消滅した場合、魂もろとも消え失せる
もう二度と生まれ変わる事もないのだ。

そうして彼女の寿命が残りあと僅かとなった頃、人間界で彼女を見つけた。
だから彼は全力で彼女を救うことにした。
人間に恋をさせ、人間すると言う方法で。

彼一人ではなかなか大変な作業だったが、彼を育ててくれた仲間、クラリスも協力してくれる事となったのだ。
クラリスにより、彼女のルームメイトのギルに彼女の夢を見せる事で彼女に惚れさせた。
しかし彼女は真面目なキューピットだ。
自分の恋愛などには全く興味を示さない。
ただひたすら、人の縁結びのために奔走していた。

30日間の恋人

裏で彼女に恋をさせようと暗躍はしていたものの、彼女前に姿を表さなかった彼。
けれどインキュバスの食事のためにと入会していたCCで、略奪を繰り返し、略奪パラサイトと呼ばれるようになった事から、トップブライダルアドバイザーの彼女の担当に。

その後パラサイトハウスを経て、退会処分にもなった彼だったが、自身の店でまた彼女と再会した。
パラサイトハウス中、夢を食べられなかった彼は、パラサイトハウスの終了後、今まで以上に略奪行為を繰り返していたからだ。
その相手がCCの会員だった事から、彼女は彼を注意しに来たのだった。

けれど悪びれる様子もない彼。
だから彼女は「恋を知ればいいんだわ」と考え、金の矢を彼に向かって放った。
すると神具に当たると死んでしまう…と彼が慌てるので、彼女は必至に放った矢をその手で掴んで止めた。

そしてその時に指先に矢尻で怪我を負ってしまったのだ。
しかも金の矢だったから大変だ。
目の前にいる彼に惚れてしまった。
これではまるで、有名なキューピットとプシュケの物語のようだ。

そうして二人はキューピットの矢の効果のある30日間だけ、期間限定の恋人となった。
だから彼女は彼に夢を提供した。
そうする事で、彼が略奪しなくなると思ったから。

彼女は人々の縁を結ぶ仕事をしている。
本職だってキューピットなのだ。
彼に好き勝手に略奪され、結婚率の低下に繋がるなんて耐えられなかった。

そんな経緯で彼女の夢を食べることになった彼は、その極上の味に驚いていた。
また恋人として距離が近くなった事で、彼女が可愛くて我慢が利かなくなってしまった。
そうしてついに夢の中だけでなく、実際に彼女と結ばれてしまったのだ。

元は対の天使だった二人。
けれど今一人は神で一人は悪魔。
相容れない存在となった二人。

だから本当は結ばれるべきではなかった
そう分かっていたから、必死に距離を保っていたのに。
結局彼女を求める気持ちに抗えなかった。

そうして残り一年だった彼女の寿命は、あと少しで尽きる…と言う所まで来てしまった。
彼が神の力を奪ってしまったのだろう。
彼女を抱いてしまったから。
それほどに二人は、相容れない存在となっていたのだ。

キミを失いたくない

当初は人間に恋をする事で、彼女が人間として生きられるよう導く事が目標だった。
けれど彼女と近づきすぎた事で、彼は自身の願望を抑えられなくなった。
掛け替えのない存在だったから。
400年もの間、ずっと彼女のことを考えて生きてきたから。

一度タガが外れてしまえば、もうどうする事も出来なかったのだ。

そうして彼は最終手段を使うことにした。
出来ればこの手は避けたかった
けれど今使わなければ彼女はまもなく消滅してしまう。

葛藤の末、彼女を呼び出しデートをして、最後に海で彼女を刺した。
使ったのは悪魔の道具。
その道具で彼女を刺す事で、そこに彼女の魂を封じ込める事が出来るのだ。

驚く彼女は何かを訴えたい様子だった。
けれどそれは言葉にならないまま、彼女は魂を閉じ込められた。

身勝手な方法だ。
けれどこれしかなかった。
彼女の魂の消滅を防ぐには。

魂さえ残せれば、自分の事など忘れても構わない。
彼女が彼女らしく、人間として幸せになってくれればそれでいい

そうして彼は彼女を転生させた。
転生先の目星は付けていた。
なるべく元の彼女に近い状態で転生出来るように

時は流れ、転生した彼女は大学生になっていた。
通っているのは以前と同じロサンヨーク大学。
学んでいるのも恋愛心理学だ。
更にはサークルで神話も研究している。
なぜかとても神に興味があるのだ。

そんな彼女の魂は、かろうじて人間でいる状態だった。
悪魔の姿になった彼は、人の魂の状態を確認することが出来るのだ。

人のベールを被ってはいるものの、神の魂はとても強い。
だからどうしても漏れてしまう魂の美しさに、悪魔が引き寄せられる。
幸い彼女の腕には転生前に二人でゴムで作ったブレスレットが付けられている。
互いに作ったものを交換したのだ。
彼女が今付けているのは、当時彼が自らの力を込めて作ったもの。
上級悪魔のそれはとても強いから、ある程度の悪魔はそれで退ける事が出来た。

しかし、自らが触れられないのなら…と、物を利用し彼女の命を奪おうとする輩もいる。
だから彼はずっと見守り続けていた。
彼女が転生して赤ん坊だった頃から。
そうしてそんな悪魔からいつも彼女を守っていた。

元が神だからだろうか?
彼女には悪魔の姿でも彼が見えるようだった。
その証拠にまだ赤ん坊だった頃、彼の片翼の羽を毟り取られた事もあったのだ。

そうして大学生になった今も、変わらず彼女を見守っている。
見守りつつ恐れてもいた。
似たように育つよう、転生先を厳選したのは彼だ。
けれど予想を上回る程、成長するにつれてその容姿は彼女そのものへと変わっていく。
あの頃ともに過ごした彼女と、瓜二つなのだ。

だから怖い。
また自らの想いに抗えなくなりそうで。

一度きりのデート

そんな彼の想いなど知る由もない彼女は、サークルの新入生歓迎会で、プールへと遊びに来ていた。
本当は水は好きでは無かった。
いや、正直海などは好きなのだ。
けれど水のあるところに行くと決まって溺れてしまう。
だからそれが嫌で、なるべく避けるようにしていたし、両親にもきつく言われていたのだ。
水のある場所へは近づかないようにと。

けれど今回は大学の仲間も大勢いる。
だから大丈夫だろうとやって来た彼女。
そしていつも身につけているブレストも、劣化を恐れ外していたのだ。

だから狙われた。
黒いモヤのようなものが自ら現れ、彼女をプールの中へと引き摺り込んだ。

マズい!
慌てた彼は、人の姿になり、プールへと飛び込み彼女を救出。
何事もなかったように去るつもりが、彼女に懇願され連絡先を交換してしまったのだ。
命の恩人にお礼をしたいからと。

そうして彼女から、お礼をしたいと呼び出された彼は、約束の場所へ。
すると現れた彼女は、以前二人で好きだったケーキ店のクッキーを買って来てくれた。
更には飲み物を注文する時、彼がウインナーコーヒーを頼めば、「前にウインナーコーヒーって、本物のウインナーが乗ってるって思っていた人が居て、私笑っちゃって。それ以来誰かがウインナーコーヒーを頼むたびに、思い出しちゃうんですよね」と。
それは彼女と転生前に経験した出来事だ。

記憶が戻りつつあるのか?

彼女の話に不安になった彼。
けれど「本当は海が大好きなんです。でもよく溺れるし、以前死にかけた事があるから、ずっと行けてなくて」と悲しそうに言う彼女に、彼の心は揺れる。
キミが望むなら、俺が海に連れて行ってやる。
そんな思いでいっぱいになったのだ。

だから思わず誘ってしまった。
一緒に海に行こうと。
すると彼女も「あなたが居てくれたら、溺れずに楽しめる気がします」と嬉しそうに答えたのだ。

天使の頃からそうだった。
彼には彼女が大切で、彼女が望む事はなんだって叶えてやりたくなるのだ。
彼女が神で、自分が悪魔だった頃も。
彼女が転生して人間となった今も。

そうして海で楽しい時間を過ごした二人。
一度きりだから…と言い訳をして、会ってしまった彼だったが、彼女の喜ぶ顔を見られて、満足して別れた。
そして別れ際は、もう人間の姿では会わないと言う決意から「元気でね」と告げて。

けれどそれがいけなかった。
たった一度だったのに、彼女は記憶を取り戻してしまったのだ。
そうして記憶と共に、人間のベールで隠されていた神の魂が表に出てしまった。

彼女が再び神として覚醒した事により、神界では彼女の神具の反応を捉える事が出来た。
ジュノーが消滅した事で、神界ではキューピットの彼女をジュノーに昇格させる話が出ていたのだ。
しかし20年近く彼女の神具を探知出来ずに困っていたのだ。

そうして神界から、彼女を連れ戻すためジュピターがやって来た。
彼女が神として覚醒してしまったことを知った彼は、彼女を守ろうとした。
だって神界へ連れて行かれてキューピットに戻ったら、今度こそ彼女の魂は消滅してしまうから。
だから必死に抵抗した。
どうしても彼女を失いたくなくて

けれど抵抗虚しく彼はボロボロになり、彼女は神界へ。
ジュピターに敵うわけなどなかったのだ。

たどり着いた神界で、彼から聞いた役職神は使い捨てだと言う話を両親と叔母に尋ねた彼女。
両親は誤魔化したものの、叔母は何も言わなかった。
そしてそれが答えなのだと悟った彼女。
そうか、私はもうすぐ消滅してしまうのねと。

ジュノー昇格

キューピットとして彼女が任務を果たせば、間違いなくすぐにその魂は尽きてしまうだろう。
だから彼は案じていた。
だからあんなに抵抗してでも、彼女を守ろうとしたのだ。

しかし、ジュピターも彼女の魂の消滅について危惧していた。
だから彼女を救うための案として、欠員が出たジュノー神に昇格させようと考えていた。

ずっと見つからなかったジュノーの神具は戻って来た。
それはすでにジュノーが消滅した事を意味する。

けれど記憶を取り戻した彼女にとって、その決定は受け入れがたいものだった。
だってジュノーはジュピターの妻なのだ。
愛する人がいるのに、他の男と結ばれるなんて、キューピットがしていい事ではないからだ。
何より彼が心配でたまらなかった。
ジュピターの雷に撃たれ、きっとひどい怪我をおっているに違いない。

だから彼女は、ジュノーの装束を着せられてジュピターの前に連れて行かれる時に、神兵から逃げ出し飛び降りた。
堕天する覚悟だった。

そう、彼女は転生前の記憶だけでなく、天使だった頃のことも思い出したのだ。
そして彼が彼女の対の天使で、いつも彼女を第一に考え守ってくれていたことも。

対の彼が堕天しているのだ、自分も堕天したって構わない。
あの人と一緒に居られるのならば。

一方その頃彼は神界を目指していた。
彼女を救いたくて。
傷はひどく動くのも辛い。
それでも彼女が消滅するなんて耐えられないから。
だから必死に神界を目指した。

すると天界についた辺りで、神兵たちの声が聞こえたのだ。
彼らの話によると、彼女はジュノー神に昇格するらしいのだ。

どうしても取り戻そうと思っていた。
悪魔の身に神界の神気は辛くとも、なんとか彼女を救おうと。

でもジュノー神になるのなら、彼女は長い時間を生きる事が出来る。
だったらそれがジュピターの妻でもいいじゃないか。
元々俺は彼女が消滅する事を防ぐために動いて来たのだから。

そんな思いが頭をよぎるも、心はそれを認めない。
だってもうそんな理屈ではどうにもならないくらい、心は彼女を求めているから。
彼女が消滅しない事は第一条件だとしても、それが誰かの妻なんて耐えられないのだ。

それでも怪我もひどく、もう飛ぶことが叶わなくて。
彼は落ちていく。
人間界の地上へと。

縁を結ぶ悪魔

すると「アラン」と彼を呼ぶ声がする。
声の方を見ると、そこには彼女がいた。
神界から飛び降りて来たのだろう。
彼と同じように落下してくるのだ。

そうして力尽きた彼を抱きしめた彼女は、身を包むジュノーの神具である衣装で彼を包み込んでくれた。
そうして彼に尋ねるのだ。
久しぶりに天界に行ってみる?」と。

堕天した身だ。
もう二度とあの景色を見る事はかなわないと思っていた。
だから嬉しかった。

そうして神具であるジュノーの衣装に包み込まれた彼は、400年ぶりの里帰りを果たした。
かつて天使だった頃、二人で笑いあったあの場所へ。
ここで結婚式ごっこもした事があった。
ジュノーの手伝いで人間界の結婚式を見た事があったから。
見様見真似で二人で結婚式をしたのだ。

そんな懐かしい場所。
思い出のあふれる場所。

そうしてしばし思い出に浸った二人は、天界を後にした。
向かい先は悪魔の住む世界。
今度俺がキスをしたら、キミは堕天してしまう」と恐れる彼に、「対の天使だもの、私たち。最初からその覚悟で神界から飛び降りたのよ」という彼女。

そうして彼の口づけにより、彼女は堕天した。
これでまた同じものになれる
対の天使は揃って堕天し、悪魔となった。

堕天した彼女は、現在彼と共に枕店で働いている。
ここは悪魔の彼にとって、人間界のふるさとといえる場所。
オーナーにとても良くして貰ったんだという。

そんな彼にとって特別な場所で働く彼女。
今では彼女がいるお陰で、女性客ばかりでなく、男性客も足繁く通ってくれるように。
お陰で以前にもまして繁盛しているようだ。

更に彼女は悪魔の力で人の恋がうまくいくかどうかを見る事が出来るのだ。
だから占いや縁結びのように、女性客が訪れる。
そうして彼女に自分の恋がうまくいくかを見てもらい、彼女が暗示を掛けた枕を買っていくのだ。
悪魔の力で「この枕を使った人が、枕を贈った相手に恋するように」と暗示をかける。
そうする事で、悪魔流縁結びをする彼女。

そんな彼女の正体はフュルフュール
以前彼が悪魔だと知り、図書館で悪魔について調べた事があった。
その時見つけた悪魔だ。
悪魔なのに縁結びをするという。
まるで悪魔版キューピットね…とその時の彼女をつぶやいていた。

けれど思ってもみなかっただろう。
まさか自分がその悪魔版キューピットのフュルフュールになるなんて。

彼が天使から堕天して悪魔になったように、彼女は天使から神になった。
きっと神も悪魔も、人の呼び方が違うだけで、そう違う存在ではないのかもしれない。

そうして二人は再びあの海へとやってきた。
それは転生後の彼女を、彼が連れて来てくれたあの海岸だ。
そこで彼は提案した。
久しぶりに天使の頃した、結婚式ごっこをしないか?と。

懐かしい気持ちで、天使の頃みたいに言葉を使わず身振り手振りで進める結婚式。
幸せな気持ちで近いの言葉を交わす時、あの当時音声にならなかった言葉を口にした二人。
すると互いに同じ事を誓っていた事が分かったのだ。
やはり対の天使だ。
深い絆で結ばれている。

そうして彼は、ごっこの時に花で作った指輪をくれたその指に、本物の指輪をくれた。
お得意さんにキミの事を説明する時に、ちゃんと妻だと紹介出来るように」と。

悪魔である二人。
でもこれからはこうして人間界で生きていく。
だから人間と同じ証がほしかった
二人はずっと一緒なのだと、みんなに知ってもらえるように。

そうして夫婦となった後も、彼女はきっと変わらない。
キューピットの頃と同じように、恋に悩む人たちの縁結びをしていくのだ。
今度は悪魔の力を使って。

その他のキャラのネタバレ(あらすじ)

ギル・ラヴクラフト

シェルビー・スネイル

ラウル・アコニット

螢彩院・F・琉輝

隠しキャラ

スポンサーリンク

タイトルとURLをコピーしました