ブランド:アイディアファクトリー
ジャンル:女性向け恋愛アドベンチャーゲーム
発売日:2018年9月20日
キャラクター紹介
CVは逢坂良太さん。
フクロウのメンバーで最年少。
彼女同様特殊能力を持つ。
彼の能力は物を燃やす力。
異国の血の混じるハーフで、天使のような容貌。
右目が翡翠色、左目が緋色のオッドアイ。
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感想
手紙風に書かせて頂きます。
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初めて見たときは、あなたが聞いたら怒るかもしれないけれど、天使のようだと、美しいと思いました。
見た目の美しさと、あなたが持つ透明感がそう思わせたんだと思います。
男らしく強い二人と比べ、自分は違うとあなたは思っていたようですが、それが私にはとても好ましく思えたんです。
優しくて柔らかいあなたが居てくれたから、フクロウというなれない世界にも、すぐに馴染めたように思うから。
すごいなって思ったあなたの能力。
辛い過去から生まれたそれと、向き合い付き合っていく事は、容易ではなかったと思います。
それでもあなたはその力から逃げずに、ちゃんと自分の意志で炎を操れるように、いつも頑張っていましたね。
そんなところが素敵だと思いました。
そして私があなたを美しく汚れのない存在のように見てしまったように、あなたもまた私と言う人間を誤解していましたよね?
誰も好きにならないで…といわれた時は、すごく苦しかったです。
あなたに惹かれ始めていたから。
特別だったから。
けれどあなたはあなたに惹かれる事もだめだと言うから。
とても困ってしまったのを覚えています。
そして私を汚れのない存在のように言うあなたを憎らしくも思ってしまったのです。
あなただけじゃない。
私も、そしてみんなも。
誰かを好きになれば、綺麗な感情だけじゃ居られない。
ドロドロした嫉妬心みたいな想いに、悩まされる事もある。
でも、それも含めて誰かを愛する事だと思うから。
気持ちが伝わった時は本当に嬉しかった。
そして何より、あなたがお母さんの本と出逢えた事が嬉しかった。
ずっと誤解したままだった二人の関係。
けれど薔子さんと本が本当の事をあなたに伝えてくれたから。
お母さんの想いが、優しい翠のアウラとなり、あなたに届いて本当に良かった。
何より、ヒタキの事で怖いと思っていたアウラが、あんなにも優しくて温かいものもあると思えた事が、私の中でも大きな収穫だったと思います。
まだまだ和綴じ本はなくならないだろうし、アウラを持つ本もきっとどこかにあると思う。
それでも温かいアウラもあるとわかったから。
これからはまた新しい気持ちで、本と向き合って行ける気がします。
そしてそんな私の傍らに、いつもあなたが居てくれる事が、なにより心強いから。
ネタバレ
誰も好きにならないでください。
貴女にはこんな醜い感情を知ってほしくない。
誰かを好きになって愛して、汚れてほしくない。
貴女だけは、この世界で一番綺麗なものであってほしい。
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ヨコハマの遊女の息子として生まれた彼は父を知らない。
置屋で生まれた遊女の子供は、女の子なら遊女に育てられ、男の子なら雑用係として育てられる。
彼も男の子だったから、雑用係として育てられた。
けれど異国の血の入った天使のような容貌の彼は、13歳くらいから女物の着物を着せられ、お酒を運ぶ仕事をするように。
ある日、そんな姿の彼を見て、お客を取るものだと勘違いした客に襲われる事件が。
恐怖と憎悪を抱いた彼は、その男を殺したいと思ってしまった。
すると彼を襲おうとしている男の体が突如炎に包まれたのだ。
偶然ではない。
彼の中の恐怖と憎悪が、彼に力を目覚めさせた。
炎を操る特集な力を。
たまたま店の人が異変に気付き、助けてくれた事で、その客は命を失わずに済んだ。
けれど彼は自分の中にあの時に芽生えた殺意を知っている。
だから自分をおぞましく感じるように。
以来彼には物を燃やす力が備わり、あの日放った炎のごとく、左目が緋色に変化してしまった。
そんな噂を聞きつけた帝都大学の百舌山教授が、彼を研究したいと、実験に使いたいと尋ねて来た。
そんな人を人とも思わない態度に彼の母は当然拒否した。
所がそれからすこしして、母は姿を消してしまったのだ。
「遠い所へ行きます」と書き置きして。
捨てられたと思った。
置屋の人がどんなに探しても見つからないのだから、彼を残して海外にでも逃げたのだろうと。
でも仕方ないとも思った。
あの事件以来、皆が彼を不気味がる。
きっと母もそうだったのだろう。
人を燃やして殺しそうになる息子なんて、嫌だったのだ。
そんな風にしか思えなかった。
そうして置屋でも彼の扱いに困っていた所に、今度はフクロウから朱鷺宮がやってきて、自分たちと働かないか?と打診して来た。
物を燃やしてしまう彼の能力だって、「私は愛煙家だから、君が居てくれたらマッチが見つからない時に助かる」と粋な言葉と共に。
どのみち置屋に居場所もなかった彼は、母もいなくなった置屋を出て、フクロウとしての新しい生活を始めた。
フクロウには既に隠と言う能力者が居て、彼にも同じようにアウラが見えるのでは?と言う期待からだろう、彼は何度か稀モノを見せられたりもした。
けれど何度か試してみても、一度もアウラを見る事は出来なかった。
その後、彼なりに考え、努力し、自らの力でフクロウでの存在意義を見つけた彼。
けれど彼女の登場により、また彼は自分の存在意義を失いそうになった。
彼には燃やす事しか出来ない。
けれど彼女にはアウラが見える。
ちゃんとフクロウの仕事に役立つ能力だから。
そんな複雑な思いで彼女を迎えた訳だが、その人柄にすぐに打ち解けた。
そうして気づけば一番親しい間柄に。
その頃笹乞の動きが怪しいと言う理由から、監視をつける事に。
そうして彼は監視担当となり、以前のように二人で巡回する事は少なくなってしまった。
そんな時、彼女は彼の探している和綴じ本を手に入れるため、ナハティガルへ。
それは以前杙那から聞いたヨコハマの遊女が書いたと言う和綴じ本。
その本は笹乞の店に売られ、そこから四木沼薔子の手に渡っていた。
その事を杙梛から聞いていた彼女は、彼の為にナハティガル潜入の際にそれとなく四木沼薔子に尋ねてみたのだ。
すると詳しく話を聞いたいのなら、私に会いに来て頂戴と言われた。
フクロウとしてではなく、彼女個人として。
誰にも知らせずに。
悩んだ末に、彼女は四木沼薔子に会いに行く事にした。
和綴じ本の話が出る以前に彼から「カワセミの郵便屋さんの童話を知りませんか」と尋ねられた事があった。
もう一度どうしても読みたいと。
そんな彼の話や、杙梛から彼は遊女の息子で異国の血が混ざっているんだろう。
だから遊女の書いたと言う和綴じ本が気になるのだろう…と聞いていたから。
薔子に会いに行くと、目隠しで部屋まで案内されるものの、本当に友人とのお茶会のようにもてなされた。
そして杙梛から氷の白薔薇といわれ、笑ってても冷たい感じがする…と聞いていた薔子だったが、彼女を前に浮かれている様子は、その印象とはまるで違って見えた。
そう、薔子の言葉を借りるのなら、女学校の友人とのお茶会のような雰囲気だ。
そして和綴じ本の内容について尋ねると、日記と童話が書かれていると教えてくれた。
そしてその童話が、カワセミが色々な鳥に郵便配達をするお話なのだ…と。
だから彼女は尋ねてみた。
「その日記に出産したと言う事は書かれていませんでしたか?」と。
その言葉に驚いた様子を見せた薔子もまた彼女に尋ねた。
「この本を探している人がいると言っていたけど、それはどなた?」と。
薔子の言葉に迷ったが、彼女の素性も名前も全て知っていた薔子だから、フクロウのメンバーについては既に調べがついているだろうと思い、「フクロウの仲間で、星川翡翠と言います」と答えたのだ。
結局和綴じ本はゆっくり読みたいから、今はまだ譲れないと言う事だった。
そして「あなたが私を裏切らなければ、私もあなたを裏切らない」と約束をして返してくれた。
また遊びにいらっしゃいと。
そうしてその後も再び薔子を訪ね、何事も無く帰る時に、目隠しをして移動している廊下で百舌山と遭遇。
その時に薔子の声に酷く嫌悪感が現れている事が気になったのだ。
薔子は百舌山のしている事が許せないと言っていたが、もっと深い個人的なものを感じる態度に思えてしまった。
そして彼女がナハティガルから出てくるのを滉が目撃。
朱鷺宮に報告し、翌日彼女はそのことで朱鷺宮と隼人に咎められてしまう。
二人はもちろん心配しての事だったし、彼女自身もフクロウの立場を個人的な事情に利用していた…と反省もしていた。
そしてその話をしている会議室に、張り込みの交代でアパートに帰ってきた彼が現れ、彼女がナハティガルに出入りしていた事が知られてしまった。
当然彼は自分のために無茶をした事をすぐに理解し、朱鷺宮と隼人に自身の生まれについて話をした。
彼をスカウトした朱鷺宮は知っている事だったが、初耳の隼人には、彼がヨコハマの置屋に生まれた遊女と異国の男性の子供で…と言う内容は衝撃的だったろう。
そんな彼の生まれの事もあり、彼女がこの件で責任を問われる事は無かった。
その後彼が張り込みをしていた笹乞側に動きが現れた。
たまたま彼女も巡回で笹乞の店に向かっていた時だったのだが、店の前に車が停まり、降りてきた男と笹乞が口論となり、その男にステッキで殴られると言う事件が起こったのだ。
彼女は張り込みの燕野とともに居て、笹乞が殴られているのを見てられず助けに入った。
すると今度は男は彼女を殴ろうとしたので、慌てて燕野が警察だと名乗り彼女を助けた。
殴られた笹乞はペンを持つ手に傷を負い、作家でもある笹乞を案じた彼女は、自分のハンケチでその傷の止血をし優しく声をかけた。
けれどそんな彼女を迷惑そうに振り払い、家に戻る笹乞だったが、彼女が止血に使ったハンケチはそのまま傷口に当てて戻ったのだ。
その後笹乞が本を燃やしている現場にも偶然居合わせ、笹乞にそんな事をしないで欲しいと話をしたり、また虚ろな表情で家を出た笹乞が、公園で無差別に人を傷つけた時にも、彼女が巡回で通りかかり彼と共に止めたのだった。
その際に彼女は言った。
「また本を書いてください」と。
お前になんか言われたくないと言う笹乞に、「私の言葉だと思わなくていいです。きっとどこかに居ますから。あなたの物語を待っている人が。絶対居ますから」と。
彼女の真摯な言葉に心打たれた笹乞は、ナハティガルで行われる闇オークションの日程と、地下への入り方、仮面にカラスの羽をつけると、オークション参加の合図だ…と言う情報をくれたのだ。
笹乞の情報により、無事に闇オークションの現場を抑える事に成功。
取り扱われていた本は、彼女がそこからアウラを見つけ、全て稀モノである事も判明した。
オークションの主催者の四木沼は、笹乞の話によると血筋のいい客に稀モノを売り、傀儡政権化すると言う狙いがあったらしい。
一方薔子はといえば、そんな騒ぎの中、優雅にお茶を飲んでいた。
相手はあの百舌山だ。
なぜなら百舌山は薔子の親友の緋和子を殺した人物だから。
そしてお茶会を終え、騒ぎを知り百舌山が慌てて逃げ出した頃、百舌山を探していた彼と彼女は薔子の部屋へ。
そこで百舌山が近くにいると聞き、二人は百舌山を追い詰めた。
追い詰められた百舌山は、初めて彼の炎を見て「素晴らしい」と絶賛。
やはり実験台にしたい…とこの期に及んでまだそんな事を言うのだ。
更に百舌山は恐ろしい事を口にした。
「お前の母親はさっぱり役に立たなかったから、その力は遺伝ではないのだな」と。
そう、遠い所へ行きます…と姿を消した母は、実験台にされそうな息子を守りたくて自ら犠牲になったのだ。
自分が代わりに実験に協力するから、息子には指一本触れないで欲しい…と。
それを知りあの日初めて炎の力を目覚めさせた時以上に怒りに燃えた彼は、本当に百舌山を焼き殺してしまう勢いだった。
でも今回はあの時とは違う。
彼の犯した罪を知り、それを受け入れ愛してくれた彼女がそばにいるから。
だから彼女が彼を止めたのだ。
「翡翠はしない。絶対そんな事はしない。殺したりしない」と必死に。
そんな彼女の思いが、怒りに燃えた彼の心を鎮めたのだ。
するとそこに薔子が現れ、百舌山に「もう観念なさい」と言うと、百舌山は血を吐いて倒れた。
そう、薔子が百舌山とお茶をした理由、それは友人の命を奪った百舌山を罰するためだったのだ。
自らの手で。
そうして薔子は警察官である燕野に、逃げも隠れもしない、ちゃんと警察へ行くと約束した上で、どうしてもお二人に話したい事がある…と、二人を別室へと招いた。
そこで薔子は彼の母について聞かせてくれた。
子爵家に生まれた彼の母と侯爵家の娘の薔子は、幼い頃から親しかった。
共に女学校に通い、同じ力車で帰るくらい親しかった。
けれど緋和子(翡翠の母)の家は少しずつ傾きだした。
だから薔子も援助を父に頼んだりはしたものの、うまくいかず、緋和子は家を助けるために、自分を売って欲しいと両親に頼んだのだ。
そうして緋和子はヨコハマの置屋に売られた。
けれど二人の友情は途切れる事なく、ヨコハマに行った緋和子とは手紙のやり取りが続いていた。
ある日その手紙には、愛する人の子供を身ごもった事が綴られていた。
そしてその後、愛する人によく似た男の子が生まれ、翡翠と名付けたと。
翡翠は幸せを呼ぶ石だから、この子にたくさんの幸せが訪れるように…と。
そうして彼に和綴じ本を手渡してくれた。
そこには母の日記と、愛する息子に捧げた童話が綴られていた。
童話作家になるのが、彼の母の夢だったそうだ。
その本は稀モノではないけれど、翠色の炎か見えた気がした。
そうして彼が開くと優しい光に包まれ、「翡翠、私の可愛い息子。愛してるわ、どうか幸せになってね」と、この世の最も愛おしいものに注ぐ優しい声が響いた。
それは命に代えても息子を守った、母の暖かい愛情。
その後朱鷺宮たちにより、稀モノではないと言う理由で持つ事を許された和綴じ本。
彼はそれを大切に持っている。
一時は母に捨てられたのだと嘆いた事もあった。
自分を責めて、醜いと思っていた事もあった。
けれど彼女は綺麗だと、そんな彼を美しいと言ってくれたから。
そして彼の全てを受け入れてくれた。
悲しみも、苦しみも、愛情もそれ故に抱いた醜い感情も全部。
そうして彼は自分を責める気持ちから、醜いと思う気持ちから解放された。
薔子により、父は阿蘭陀(オランダ)の人だと教えられた。
「いつか阿蘭陀にお父さんを探しに行くの?」と尋ねた彼女に「今はこの本だけで十分です」と答えた彼。
もう母に捨てられたあの日の彼じゃない。
母の想いを知り、それを届けてくれた人たちの想いを受け取ったから。
そして何より、一番大切なものを手に入れたから。
それが彼女だ。
そう、もう本だけじゃない。
彼には大切なものがたくさんある。
そして彼を愛してくれる人がたくさんいる。
緋和子の子供が、誰かを愛せる人で良かった。
誰かに愛される人で良かった。
涙ながらにそう呟いた母の親友の言葉通り、彼は人を愛し、愛されている。
これから先もずっとそんな愛に囲まれ、名前の通り幸せいっぱいの人生を送って行くことだろう。
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翡翠は幸せを運ぶ石だと聞いて、集めていればいつか幸せになれる気がして。
効果はあったように思います。
貴女と出逢えた。
僕を受け入れてもらえたから。
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