ブランド:アイディアファクトリー
ジャンル:女性向け恋愛AVG
発売日:2021年4月22日
通常版:7,150円(税込)
オトメイトさんのNintendo Switch用ソフト「時計仕掛けのアポカリプス」で小野賢章さん演じるキャラクター、ジル・ハニッシュの感想とネタバレをまとめました。
キャラクター紹介
※「時計仕掛けのアポカリプス」は乙女ゲーム制作ブランド『オトメイト』の作品です。
バナーの画像はこちらからお借りしております。
CVは小野賢章さん。
ちょっと不思議な男の子。
その不思議ぶりに年下のように見えるが、どうやら年上らしい。
街の人々の事は勝手にあだ名を付けて呼んでいて彼女の事は「お花ちゃん」と呼ぶ。
彼女には酷く懐いていて、「大好き」とそれが恋愛感情なのか話し合い不明だが、ストレートに感情を表現し、よく彼女に触れてくる。
どうしてそのまで彼女が好きなのか?
その秘密は彼の消えてしまった昔の記憶に隠れていた。
感想
別サイトにまとめました。
ネタバレ(あらすじ)
きみの未来は僕の未来。
僕らが手に入れた先の未来で、ずっと一緒に居てね。
大好きだよ。
観測者
今からずっとずっと昔の話。
もうどれくらい昔なのかも分からないくらい、それは遠い過去の事。
彼は家族と動物に囲まれて暮らしていた。
何もない田舎で、環境も厳しかった。
寒い季節と暖かい季節とで、住む場所を変えねばなぬほど。
それでも動物は可愛かったし、家族の事も大好きだった。
そうして家族と賑やかに囲む食卓も好きだった。
しかしある時出かけた家族が戻らなかった。
いつまで待っても帰って来ない。
何が起こったのか分からないまま待ち続ける彼。
そうしてある時気がついたのだ。
そこには彼しか居ない事に。
まるで箱の中に誰かが彼を入れたら、その反動で彼以外の全てがそこからなくなったみたいに。
その事がとてもつらくて悲しくて。
果てしない悲しみと寂しさの中、彼は記憶を消してしまった。
自分が人間だったと言う記憶を。
そうして彼は箱の人形となり、ずっと一人で待っていた。
いつか誰かが箱を開けてくれる日を。
そうすればきっと世界は戻ってくると思っていた。
もう一人ではなくなると。
それでも長く一人で待ち続けた彼だったが、ついにある男が箱を開けた。
それがガネットだった。
「こんなところで何をしているんですか?」
一人箱の中にいた彼にガネットは尋ねた。
すると彼は「誰かが箱を開けてくれるのを待っていたんだ。そうすれば世界が戻ってくると思って」と。
そんな彼にガネットは「こんな世界で良ければあなたにさしあげますよ」と答えた。
それが彼とガネットの出会い。
そうして二人は以来箱の観測者となった。
手にした人が箱をどう使って未来を決めるのか?
それを見守る存在に。
消えた記憶
観測者であるとともに、彼は記録係だった。
真面目で少し神経質な彼は、箱の中で起こる出来事を手帳に記していた。
だからなんでも覚えていた。
何度繰り返されても、彼は全てを覚えていたのだ。
そんな彼はある時、今から170年ほど前、とても大切に思う人と出会った。
そうしてその人が銅板の栞を彼にくれた。
「誰かの事を想ってつくると、お守りになるから」といったその人は、いつか大切な人が出来たら、そのお守りの作り方を教えてあげて…と彼に託した。
だからずっと大事にしているのに。
なぜだろう?
彼はその時の事をちゃんと思い出す事が出来ないのだ。
記録係でなんでも覚えているはずなのに。
その頃の事だ。
地上には災いが起こり、毒が広がり人が住めなくなってしまった。
何度も起こった地震により、街は焼け落ち、地面もあちこち歪んでしまった。
そうなる少し前の事、箱の持ち主は当時のギムレーの初代指導者で、箱を使い人々を地下の街ギムレーへと住まわせた。
空のない地下には、ガネットが青い炎を与え、それが空灯りとしてまるで地上にいるみたいに天井を照らし、人々に昼と夜を教えてくれた。
そうして人々が無事に地下で暮らし始め、彼もガネットと地下での暮らしを始めた頃、一度地上の様子を見に行った彼は、戻ると記憶の一部を失っていた。
いや、正確には失った訳ではない。
彼自身が望んでその記憶を消してしまったのだ。
あのお守りの栞をくれた大切に思う誰かの事を。
箱の外へ
あれから170年ほどの時間が流れ、彼は彼女と出会った。
本当は出会ったばかりでも、彼は記録係だ。
昔の記録に細工をする事で、ずっと昔からの友達にだってなれてしまうのだ。
そうして「お花ちゃん」と彼女を呼ぶ彼は、彼女や彼女を取り囲む人々とも親しくなった。
昔からの知り合いとして。
どうしてお花ちゃんと呼ぶの?
彼女に尋ねられた事もある。
でも会った時に思ったのだ。
「お花ちゃんだ」と。
そうして彼女は箱の持ち主に選ばれ、街を救おうとする。
火災で命を落とす街の人々を救おうとする。
けれどひと月程の時間では、変えられる事など殆ど無くて。
幼馴染の死を回避したものの、今度は目の前で彼に死なれてしまった。
時計台から落ちてきた時計の針に貫かれて。
だから箱を使い時間を戻した彼女は、そこで彼との会話に違和感を覚え、彼が全てを知っている事を知った。
箱の人形として、ずっと箱の持ち主を見守って来た事を。
そうして彼から様々な情報を得た彼女は、ひと月の時間ではなく、2年もの時間を手にした。
彼に連れられて、箱の外の世界へと出た事で。
しかし詳しい事を聞かされないまま出てしまった彼女は絶望した。
2年前のその世界には2年前の彼女が存在し、もうこの世界の人々と関われなくなっていたから。
彼は彼女の希望を叶えようと外へ連れ出した。
しかしその行動で彼女を絶望させてしまった。
唯一の可能性
箱の外へ出た彼女は、限りなく彼と近い存在となった。
食べなくても生きられるし、死ぬ事もない。
仮に大きな事故にあっても、体が動かなくなる事はあっても、時間が経てば回復すると言う。
初めこそ街の皆と別の存在になった事に絶望した彼女だったが、外からでなければ街を救えないと彼に教えられ、また彼と言う存在に支えられ、自分の現状を受け入れられるように。
そうして街を救う為に動く決意をしたのに。
ガネットと彼から告げられた事実が、再び彼女を悲しませた。
それは彼女が街を救うには、この世界にいる2年前の自分を殺さなければならない…と言う事実だった。
それが街を救う未来を手にする唯一の可能性だと。
衝撃だった。
大好きな街が自分が居たから火災に襲われたなんて。
そうしてそんな自分が消えなければ、街が救われないなんて。
だから憎いと思ったのだ。
そんな悲しい現実も知らず、皆に守られ我が儘放題の2年前のお花畑な自分を。
そうしてその怒りの感情のまま、一度は自分を殺す事を決意したものの、当時の自分を見失い断念。
その後今後のことや手にしたい未来について再び考えた彼女は、「誰も殺さずみんな守る」と言う彼女らしい答えにたどり着いたのだった。
世界に殺された
やっと決意したのに。
彼女がイレギュラーに2年前へと飛んだことが影響したのだろう。
そう、ガネットの言う因果かもしれない。
まだあの火災まで一年あるはずが、前倒しされてしまったのだ。
幸いその予兆を感じ取っていた彼女は、街の人々が地上に逃げられるように、ジルの協力の元うまく立ち回った。
なんとか出来ると思ったのに。
避難の最中様子がおかしかったアンバー、リアン、クアトの仕業だろう。
時計台のパイプオルガンが演奏されてしまったのだ。
そうして突然の爆発に呆然としていると、「危ない!」と彼が彼女を瓦礫から庇ってくれた。
彼は火傷を負い、慌てる彼女だったが、火傷はすぐに治ると言う彼。
予想外の展開に混乱している二人の目の前へ、お花畑な当時の彼女が現れた。
二人の姿が見えないお花畑な彼女は、彼が時計の針に貫かれた位置に立ち止まるのだ。
すぐその事に気づいた彼は、箱の所有者となったお花畑な彼女を助けようとした。
「また私が邪魔をするの?」怒りにも似た感情が生まれた彼女は、必死に彼を止めようとした。
しかしそれより先にガネットが彼を止め、そうして当時の彼女が時計の針の餌食となった。
血塗れの彼女はすぐにユナカに発見された。
そうしてユナカの声を上げて泣く姿に、彼女は絶望していた。
そんな幼馴染の姿を見たくなかったから、だから自分を殺さなかったのに。
結局当時の自分は、世界に殺されてしまったのだ。
170年前へ
もう時間がないと感じていた。
だから当時の自分が死ぬ前から、ガネットに相談していた。
170年前に戻れないかと。
既に別の所有者が決定した過去へは干渉出来ない。
そう教えられていた彼女は、彼女の前の所有者がギムレーの初代指導者と知り、そこまで遡りたいと頼んだ。
箱の所有者である当時の自分が死んで、箱がガネットの元に戻った今、彼女はまた人間となってしまう。
しかも既に居場所がない状態で、ずっと側にいたいと願った彼と共に有る事も叶わず、一人先に命を終えるしかない。
箱の外に出て、彼の孤独や彼女に向ける愛を痛いほど知った。
だから永遠の時を生きる彼と、自分も永遠を生きるつもりでいたのに。
それは許されないのだとガネットが言う。
だから彼女は決めたのだ。
彼の望む、ガネットの望む未来を作ると。
しかしそこまで時を遡るのなら、誰にも関わらず極力干渉せずに準備だけ進め、もう一人の自分が箱の所有者となった時から動くしかないと言う事だった。
そのためには彼にだって、170年間会えない事になる。
果たしてそんな孤独に彼女は耐えられるのだろうか?
そんな不安はあるものの、彼女は決めていた。
これはベストな未来じゃないから、やり直すのだと。
そうしてこっそり作っていた、彼の持っていたものと同じお守りの栞を彼に渡し、また170年後に会おうと告げる。
すると彼は栞を彼女に渡すのだ。
「僕の分の想いも込めたから。僕よりきみの方がお守りが必要だろうから」と、彼女に返した。
そうして彼女は一人糸を手繰り寄せ、過去へと歩く。
たどり着いた先は170年前よりももう少しだけ過去。
地上にまだあの災いの起こる少し前。
「地上に人が見えたら糸を切って降りるんだ」そう彼が教えてくれたから。
そうして彼女がやっと人を見つけて降り立ったそこには、170年前の彼がいた。
彼女が時を遡れば、彼は一人に統合され、記憶も共有されると聞いていたのに。
そこにはまだ統合されていない、当時の彼がいた。
彼の大切な人
空から降りて来て彼を見る事のできた彼女に「きみは天使なの?」と彼は尋ねた。
そうして名前の分からない彼女を「天使ちゃん」と呼ぶのだ。
「どうして天使ちゃんなの?」尋ねる彼女に「名前が分からないから。それともお花畑にいるから、お花ちゃんにしようか?」と返す彼。
そうして彼女はお花ちゃんと呼ばれるようになったのだ。
170年以上前からずっと今まで。
彼は彼女に「ここは危ないから、どこか安全な所へ逃げて」と、初対面で何者かも分からない彼女を案じてくれた。
その優しさに泣きそうになった彼女は、洞窟を見つけ、三日三晩続いた災いを逃れた。
その後地上に戻ると、毒が充満している事を知った。
するとそこに再び昔の彼が現れた。
「良かった!無事だったんだね」と。
なんでもあの日箱の話をした彼女に、そろそろ箱の未来が確定する事を知らせに来てくれたのだと言う。
そんな彼に彼女は栞を渡した。
「こんな素敵なもの貰ってもいいの?」
驚く彼に「大切な人の為に作ったけど返されたの。でもここであなたに渡す為に、これを持ってきたのね」と言う彼女。
そうして「想いを込めて作れば、この栞はその人を守るお守りになるから、いつか大切な人が出来たら、作り方を教えてあげて」と告げた。
そうして別れがたい思いで握手を交わす二人。
また未来で会おうと。
ここで分かったのだ。
あぁ、ジルの大切な人は私だったんだ…と。
だからだろうか。
どうにもその手が話し難い。
それは彼女だけではなかった。
だから手を握ったまま目を閉じていると、彼の声の調子が変わった。
そう、未来が確定し、彼があの彼に戻ったのだ。
今度こそ彼と未来で
そうしてあの時間から来た彼は、これは二度目の未来なのだと教えてくれた。
確かに彼女が渡した栞を出会った時の彼は大切に持っていた。
彼の言う通りなのだろう。
そうして彼は言う。
「きみが神様のいたずらで消されないように、僕の記憶を消すよ」と。
確かに前回もそうだったのだろう。
彼は大切な人が誰なのかは覚えて居なかったのだから。
長い年月を遡って、未来を変える為、なるべく誰かに影響を及ぼさないよう準備する。
そう心に決めては来た。
しかし170年も遡る事自体が大きな変化であり、因果が彼女に及ぼす影響は計り知れない。
実際前回の彼女は、上層の事故で命を落としているのだ。
彼の部屋によく似た上層にあるあの場所は、彼の部屋に似せて前回の彼女が作った隠れ家だったのだ。
その話を聞いて「私は死なない体なんじゃなかった?」と驚く彼女。
しかし動けなくはなるのだ。
どんな形で事故に巻き込まれたのか。
それは今の彼らには知る由もないけれど、命を落とす程の何かがあったのだろう。
それは本当に事故なのか、それとも因果が全力で彼女を殺しにきたのか。
それも今は分からない。
今回の彼女に万が一が起こらないに越した事はないし、そうならないように行動してもらうつもりの彼。
それでも保険として、自分の記憶を消したいのだ。
彼の記憶さえ消してあれば、彼女に何かが起こっても、もう一度やり直せるから。
これから170年の月日を経る間に、すべての命を救いたいと願う彼女だから、例えば上層の事故だって、知っていたら人々を助けたくなってしまうだろう。
けれどそれは大きく歴史を変えてしまうから。
してはいけない事なのだ。
辛くても我慢して見守らざるを得ない。
そこでうまく乗り切っても、次は彼女の両親の事故だって起こるのだ。
それも彼女は見て見ぬふりをしなければならない。
果たしてそれは可能なのだろうか。
それでも彼は願う。
どうか黙ってじっと見てて。
そうして耐えて、僕に会いに来て…と。
必ずきみを思い出すから。
全部思い出すから。
そうして彼は記憶を消し、ガネットの元へ。
「終わりましたか?」尋ねるガネットに「うん、地上の様子を少し見てきただけだから」と返す彼。
「そうですか。忘れたんですね」
悲しみの色を含ませて呟くガネットだったが、忘れたはずの彼は手帳を開き涙を流す。
記憶は消えても、手帳に挟まれた彼女と交換した栞を見れば、心が彼女を思い出すのだろう。
知らず涙が溢れるのだ。
そんなにも彼女を思う心が有れば、きっと彼は思い出すだろう。
170年の時を超えて、再び彼女に出会った時に。
そうして彼女は、今度こそは望む未来を手に入れ、彼に会いに行ける事だろう。
きっとその為に、何度も何度も繰り返して来た。
ルデルの為に、リアンの為に、クアトの為に時を戻しながら。
そしてやっと、こうして彼の為に時を戻したのだから。
Bad End
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