天涯ニ舞ウ、粋ナ花【弥島惣介】

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キャラクター紹介

CVは立花慎之介さん。
弥島家の三男で天文学者として帝大で講師をしている。
幼い頃、長女により受けた仕打ちがトラウマとなり、女性に触れる事はおろか、近づくことが出来ない。

女性が苦手なのに夫人から人気で、支援ノ会なるものがあり、彼の講習会を開いてくれる他、なにかと彼を応援してくれる。

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感想

惣介さんへの手紙風に。

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初めて会った時は、近寄るな!と騒がれ、仲良くなれる日など来るはずがないと思っていました。
そんなあなたと、こんな日を迎えるなんて。

星が好きだから、あなたが星に夢中なのも、星の話をすると楽しそうなのも見ていて嬉しかったです。
それでもなかなか近づけない。
あなたが女性が苦手だから。

けれどある時から、私ならば大丈夫と、そばに置いてくれるようになりましたよね?
色々そのお陰で振り回されましたが、そんな時間も楽しかったです。
コカブと呼ばれるのも、最初はビックリしたものの、なんだか嬉しく思えるように。

自分の天体観測の為に保温容器を開発したり、プラネタリウムを再現したり、熱意から色々な事をしてくれましたよね。
そんな所も大好きでした。

人が聞いたら恥ずかしいような事をハッキリ言う所、所構わず触れてくる所も、最初はビックリでしたが、自分の気持ちに正直で誠実な人だと思えました。
そんなあなただから、ずっと一緒に居たいと思ったし、あなたの申し出も心から嬉しかったです。
笑うくらい無茶な話で、結局実現しなかったものの、その案からあなたの愛情を感じることが出来たから。

離れ離れになっても、あなたはあなたらしく居てくれて。
だから再会出来たし、あなたの側に居られる事になったんですよね。
あなただったから。
あなたがまっすぐな人だったから。

そんなあなたと出会えた事を心から感謝しています。
ありがとう。
大好きです。

ネタバレ

そうか、これが愛おしいという感情なのか。
人を愛するという事はこういう事なんだな。
お前を愛おしく思う。
今は眠れ。
起きたらまた話をしよう

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長女のりん子は妹が欲しかった。
そんな時生まれたのが彼だったのだ。
性別は男。
けれど綺麗な顔をしていた。
だから妹の欲しかったりん子は耐えられず、彼に女装をさせて連れ歩いた。
そうして彼はそれは可愛い妹となったのだ。

そんな可愛い妹が嬉しくて、りん子は彼を連れ回した。
だからみんな女だと思ってしまった。
そうして学校へ通うようになり、男の格好をしている彼を見て「なんで女が男の格好をしているんだよ」と意地悪をする。
何も悪くないのに、辛い子供時代を送る事に。

だから彼は姉を『悪魔』と呼び、女性全般が苦手になってしまった。
三歩以上離れていないと、吐き気を催してしまうのだ。
外へ出れば女性だって当然いる。
だから人混みに紛れる事も、電車に乗る事も叶わない。
ひどく暮らしにくい体質になってしまった。

そんな彼を救ったのが天文学だった。
引きこもりがちな彼に父が買い与えた天体望遠鏡。
初めはなんとなく覗いていただけだった。
けれどある時彼は知った。
今見ている星の光は、何万光年も前のものなのだ…と。
衝撃だった。
今目に写っているのに。
その星は実際にはもう存在しないかも知れないなんて。

以来すっかり天体の神秘に魅力され、現在は帝大で天文学を教えている。

そんな彼は女性が苦手ながら、その美しい顔立ちから夫人に大変人気があった。
そうして彼を慕う夫人達が『支援ノ会』を結成し、彼を講師として招き、天文学の講習会を開くようになったのだ。
彼の講習会だが、主催は支援ノ会。
女性が苦手な彼が移動しやすいようにと、車も用意し、会場も用意してくれる。

彼女が彼と親しくなるキッカケも、この講習会だったとも言える。
叔母の綾乃に誘われたり、時には彼自ら誘ってくれたりして、店の合間に講習会に参加していた。
ある時彼の帰りのために用意した車に乗せてもらう事があったのだ。
でも彼は女性が苦手だから…と遠慮したが、講習会が終わりコーヒーを飲んで車に乗ると寝てしまうから心配ない…との彼の言葉に同乗させてもらう事にした。
するとその時彼は彼女にもたれかかるように眠ったのだ。

以来、彼女限定で近くに居られるようになった。
理由は分からない。
側にいても吐き気を催さないし、触れても平気なのは彼女一人だった。

そうしてある時気付いてしまったのだ。
彼女に恋をしているから、彼女だけには触れられるのだと。

そうして彼女だけ触れられる、触れると心地いいからと、所構わずスキンシップを取る彼に、振り回される彼女。
最初こそ驚いていたが、気づくとそんな日常も悪くない、楽しいと思えるように。

そうして彼にも告白され、実家の事や店の賭けの事はあるものの、楽しく過ごしていたある日、彼が親友の喜龍と一緒にいる所を見てしまった。
一度なら偶然で片付く。
けれど二度も見てしまうと、二人は怪しいと思えてしまう。
幸い彼女に恋をしてから、彼はほかの女性も平気になっていたから。

それをキッカケに二人はすれ違ってしまった。
それでも彼は彼女が怒っている事に気付き、話をしようと試みたが、彼女は彼に苛立ちをぷつけてしまい、喧嘩状態で彼が仕事に出かけた朝があった。
いつものように帰るだろうし、仲直りだって出来ると思っていたののに。
その夜彼は戻らなかった。
彼だけじゃない。
裕介も恭介も俊介もきく子も、そしてそんなみんなを探しに出た幸介までもが帰らなかった。

その日、陸軍の中で反乱が起こり、帝都は戦時中のような戒厳令が敷かれ、移動を制限されてしまったため、外に出ていた者は家に帰れなくなっていた。
彼は申請した留学の件が決まり、その打ち合わせでホテルに来ていた。
そこで事件が起こり、ホテルから出られなくなってしまったのだ。

閉じ込められた空間で、入る情報は限られていた。
そんな中、赤坂の割烹が反乱軍に占拠されたとの情報が。

気が気でなかった。
喧嘩したまま、二度と会えなくなるのでは?と不安でたまらなかった。
早く帰ってやりたかった。

けれど彼には何も出来ないのだ。
優秀だという自負はあった。
天文学には精通していた。
けれど有事の際に自分の知識は全く役に立たないと気付き、愕然とした。

そんな彼を案じた教授と話をしているうちに、天文学を、それを学んできた自分の人生を全否定しそうになったが、思いとどまる事が出来た。
有事で直接的に役に立つ事は出来ない。
けれど天文学はいつでも人に寄り添える学問である
と思えたから。

移動制限が解除され、やっと自宅に帰れた時、彼は彼女と和解する事が出来た。
そして互いが互いをどれほど必要としているか?を、今回の件で知る事ができたのだ。
そうして思った。
なんでも話し合おうと。

彼が喜龍に会っていたのは、彼女の実家の店を手伝える人を置屋から紹介してもらえないか?と相談していたから。
彼女がどうしても店を継がなければならない、帰らなければならない理由をなんとかすれば、三月を過ぎても弥島で一緒に過ごせるし、結婚出来ると思ったからだ。
しかし、相談が纏まらないうちに、あの事件が起きてしまい、話は流れてしまったのだ。

でも嬉しかった。
彼女の事を考えてくれていた事が。

そして店の件も彼に相談した事から、りん子が店にやる気を見せ、店主として働き出し、幸介がそれを認めず大げんかを繰り返しながらも、ホテルにらする事を諦め、割烹として残せる事に。
しかし、反乱軍に占拠され、店はボロボロになってしまった。

そんな時にも支援ノ会は力を貸してくれた。
皆お金持ちの夫人であるので、皆で資金を出し、弥島を綺麗に直してくれたのだった。
人の噂もすぐに落ち着くから…と励ましてくれた夫人達のお陰で、また弥島を再開出来る事に。

彼女との事は、彼が考え抜いた結果、大学を辞めて自分が婿養子になる…とまで言い出してくれた。
当然彼には無理だと思った。
本人もいい案だと言いつつも、無理なのは承知していた。
それでも嬉しかった。
そこまで自分と離れないように…と考えてくれた事が。

結局彼女は彼と別れ、実家へと戻った。
その三ヶ月後、彼は突然現れた。
どうしても会いたくて、帰る前に見ようと約束した日食が北海道で見られるから…と彼女を迎えに来たのだ。
それをキッカケとして、諦めるのをやめた彼。
会いたいのだから仕方がないと。
だからまた会いに来る…と。

彼女はその言葉を一年に一度くらいだと思っていたのに、数日後に大荷物を抱え、彼はまた現れた。
論文を彼女の家の旅館に宿泊して書く事にしたと。
論文なら帝都に居なくてもかける。
ここは星も綺麗だから、観測にもいい場所だから、大学の観測もここを使えばいい。
毎日予約という訳にはいかないが、身近な範囲でなにかをする時には、彼女の旅館を利用しよう
と言ってくれたのだ。

そんな彼の熱意に、彼女の両親が応えてくれ、彼女は無事に弥島に嫁入り出来る事になったのだ。
少し変わった人。
でも悪い人じゃないし、娘を愛してくれている。
何より正直者で誠実な人だ
…と両親が理解してくれたのだ。

実家では住み込みで働いてくれる人を雇う事に決めたし、妹をみそめ婿入りしてくれるという男性も現れたらしい。
だから彼女はもう縛られる必要はなくなった。
大好きな人との未来へと、自由に羽ばたける。
少し変わり者ではあるが、彼となら楽しく暮らしていける事だろう。

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俺は今まであまりに上ばかりを見すぎていた。
空に浮かぶ天体のみを見て、地上に住まう人の営みというものに興味を持とうとしなかった。
だが、地上にもお前のような輝く星があると知り、もう以前の生活には戻れなくなった。

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