天涯ニ舞ウ、粋ナ花【弥島俊介】

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キャラクター紹介

CVは河西健吾さん。
弥島の五男で学生。

主人公とは喧嘩ばかりだが、外では女性に大変モテる。
俊様倶楽部と呼ばれる取り巻きにいつも囲まれているような人。

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感想

手紙風に。

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あなたとの出会いは、決していい出会いではなかったですよね?
その上、私に意地悪ばかりするりん子さんと組んで、追い出そうともしていた。

だからまさかあなたとこんな関係になるなんて、思っても見なかったです。
末っ子と聞き、年下なのでは?と期待して、あなたを選んだのに、同級生だった事も、少し残念に思いました。

そんなあなたとは、桜貝がキッカケでときめきましたが、その後の煮え切らない態度に、がっかり。
また時折期待をさせては、煮え切らない。

だから途中から無理だと思った事もありました。
会えば喧嘩ばかり、二人だけでも進展しないのに、そのにあなたの友人の秋一さんが入り込んだり、とあるホテルの次男から縁談を申し込まれたり…と。

さらにはあなたの進路も、なかなかの障害となりましたね。

それでも戒厳令の敷かれた帝都で、恐ろしい思いをしていた時、無理をして戻って来てくれた時、あなたの存在の大きさを実感しました。

本当は、店主争奪戦の時に、あなたが優勝して弥島を継ぐ未来も想像したりしたんですよね。
そして共にあの店で暮らしていけたら…と思ったのです。

結局あの事件でそれどころではなくなって、あなたは自分の決めた道に進んでいきました。
けれど出立の日に結婚の話をしてくれた事と、本当に約束を果たしてくれた事に感動しました。
しかも制服似合うし、大人っぽくなっていた事も、嬉しい誤算でした。

最終的には大好きになれて本当に良かったです。
あなたの声も心地よくて、そこも大好きポイントです。
これから先の未来より、まずはあなたと過ごせる一月を大事にして、そこから未来へと二人で歩いていけたらと思いました。

ネタバレ

絶対なんてないのかもしれない。
気持ちなんて不確かなものだって分かっている。
でも信じてくれ。

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不貞の子。
彼は父にも母にも似ていないからと、そう呼ばれていた。

家族とは名ばかりの他人の寄せ集めのような家の中、そんな噂を立てられていた彼は、あの家に自分の居場所などないと思っていた。

そんな時、家族でとある田舎の海へと旅行に。
けれど彼はつらくて堪らなかった。
居場所を見出せない人たちに囲まれて、楽しいはずなどないのだ。
だから夜に一人砂浜で泣いていた。

そんな10年前の幼い彼の元へ、やはりまだ幼かった彼女が現れた。
そうして泣いている彼を案じ、泣き止んで欲しい…と言った。
すると「けっこんしてくれたら、なきやむ」と言うのだ。
きっと自分の居場所を作りたいと、無意識に思っていたのだろう。
だから新たな家族を求めたのだろう。

しかし結婚をちゃんと理解していなかった彼は、けっこんって?と聞く彼女に、いっしようそばでげぼくとしてはたらく…と説明したのだ。
げぼくはいやだな…と言う彼女は、桜貝を2つに分けて、その1つを彼にもう1つを自分のものとし、「おともだちならなってあげる」と約束したのだ。

その約束は彼女の支えだった、夢だった。
桜貝は大事にビンに入れて保管され、10年後も大切にしていた。
いつか再会したら結婚しよう…と言う約束が叶う日を夢見ていたのだ。

そうして彼女は弥島へとやってきた。
店主として働くために。
そこで運命の再会を果たした。
そう、彼女の思い出の彼は、弥島の五男だったから。

しかし気づかない。
どちらも運命の相手だとは。
だから彼は姉のりん子に賛同し、彼女を追い出そうとした事もあった。

所がある日彼が彼女の部屋で見つけたのだ。
あの桜貝を。
そうして二人は知ることになった。
彼が、彼女があの日のあの人なのだ…と。

以来二人の関係は少しずつ変わり始めた。

元々彼女と出会ったあの海に憧れ、海軍を目指していた彼。
彼の家族は皆が皆に無関心。
だから安心していたのに。
彼女が店主となり、弥島家の女中として住みこむようになったせいで、彼は郵便物を案じなければななくなってしまった。

今までなら何が届こうが誰も気に留めない。
他の家族に見られる前に自分が手にすることができた。
けれど彼女が来たことで、いちいち郵便物をチェックされてしまうのだ。
だから彼女に海軍を目指している事が知られないように、慌てて郵便物を取り返した事から、二人は険悪な関係になっていた。

けれど桜貝の件から、その険悪な関係も少しずつ改善されてきたのに。
彼が彼女にちょっかいを出すから、彼の親友の秋一までもが、彼女を気にするようになってしまった。
そうして秋一が割り込むから、彼女に次第に惹かれつつも、自分が海軍の学校に行くから未来がないと言う理由と、素直になれない性格との合わせ技により、一向にその気持ちを示す事が出来ない彼なのに、余計にややこしいことになっていった。
彼女もまた、彼を気にはするものの、自分は田舎に帰って店を継ぎたいと言う思いが強いから、恋愛は自分には関係ないと言う思考なので、彼に対してどんなに気持ちが向いたとしても、それを恋とは認められない。

そうしてそんな二人の様子には周りも気づき、二人の関係を案じ始めた事もあり、彼から海軍の話を聞き、互いに帝都に居られる期限が三月までと分かっても、互いの気持ちを伝えあえた二人。
それでも未来の約束は出来なかった。

そんなある日、軍の内部でクーデターが起きた。
幸介の友人の内藤も加担したクーデターで、総理大臣を始め、国の大臣達が何人も殺害された。
そうして帝都には厳戒令が敷かれ、避難勧告が出たのだ。
その日は裕介、惣介、恭介は仕事、きく子と彼は学校に出ていて、家に居たのは幸介と幸介の両親とりん子、そして彼女だけだった。

家を出た家族が戻らない事から、幸介が探しに出たが、今度は幸介までも帰らない。
彼女は、りん子と女将さん、そして心臓を患い術後間もない旦那様を守らなければならなかった。
そんな中避難するよう言われ、一度は皆で避難の準備をしたものの、考えたのだ。

幸介さんが皆を迎えに出た。
誰かを連れて戻るかもしれない。
そんな時に家を空けたら、入れ違いになってしまうのでは?
何より彼は必ず帰って来てくれるはずだ。

だから避難して大丈夫でしょうか?…と女将に問うと、女将も同じことを考えていたと言う事で、結局皆で家に残ることにした。
しかし周りの家の人々は、皆避難したようだった。

そんなある夜、店から物音が聞こえ様子を見に行くと、軍人に荒らされていたのだ。
あちらはあちらで、避難して留守だろうと思っていたようだった。
そうして銃を向けられ脅されていた時、内藤が現れ、店を使わせてもらうと言うのだ。
母屋には近づかないから…と言う条件で。

軍の中で反乱が起きている事は理解していたが、彼女たちは知らなかった。
その反乱を起こしているのが、内藤たちだと言う事を。
仮に知っていたとしても、どうする事も出来なかっただろう。

一方学校帰りに秋一と寄り道をしていた為、そのパーラーから出して貰えなくなった彼は困っていた。
彼女の事を案じているのに帰れないからだ。
そこに誰かが「赤坂の割烹が反乱軍に占拠された」との情報を持ってきた。
その情報に不安になってしまった。
弥島だったらどうしよう…と。

家に居場所はないと思っていた彼なのに、彼女だけでなく両親や兄弟たちの事も心配になってしまったのだ。
海軍の学校に合格はしているが、彼らの現在の立場はただの学生。
学生の自分には、何も出来やしない。
それでもそばにいれば守ってやれる。

だから帰ろうと立ち上がった彼に、秋一も付き合ってくれる事に。
軍人の目を盗み、彼らの話を盗み聞き、見つからないように気をつけながら家へと向かった。
その道のりはとてつもなく長かった。

やっと帰宅し、居間に誰も居ないので彼女の部屋を訪ねると、眠る彼女に安心して彼もそこで寝てしまったのだ。
彼女は数日ろくに寝ずに、弥島のみんなの帰りを待っていた為、ひどい顔をしていたのだろう。
女将やりん子に部屋で休むよう言われて休んだ所だったのだ。

そうして反乱を起こした者たちは内藤を始め皆捕らえられ、戒厳令はなかなか解除にならないながら、家族みんなが無事帰宅出来た。
そんな出来事を通じ、自分の大切なものを実感したのだろう。
二人は結婚の約束をし、彼は海軍の学校へと旅立った。

その後彼女も実家に戻り店の手伝いをして、店も軌道に乗り両親にも少しは楽をして貰えるようになった頃、彼との約束の3年が過ぎたのだ。
いつ帰るのか気になりながらも、迎えに来ると言った3年前から気持ちが変わらない保証はない。
だから心配だったのだ。
手紙のやり取りも、彼の卒業が近くなると少しずつ遠のいていた。

けれど彼は彼女の実家へやって来て、彼女を帝都へと連れて行った。

月日は流れた。
二人もそれぞれ別な場所で成長し、変わっていた。
それでも互いを想う気持ちは持っていた。
だからまた始める事にしたのだ。
彼の配属が決まるまでの一ヶ月、共に過ごす事で。
きっとあの頃よりも、ずっといい愛し方が出来る…とそんな予感を抱きながら。

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…また始めればいい。
あの頃と今では違う愛し方になるとは思う。
でも俺はやっぱりお前が好きだから。

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