蝶々事件ラブソディック【神藤理智】

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蝶々事件ラブソディック - PSVita

キャラクター紹介

CVは浪川大輔さん。
最年少で帝都大学の助教授になった天才。
将成の兄で、イ織の同級生。

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感想

レビューで理智さんのした事が許せないから、攻略キャラなの納得行かない…と言うものを見ていたので、ドキドキの攻略でした。
でも、実際にプレイしてみたら、とても感動のシナリオでした。


まだ彼がよく理解出来てないまま真相が見えた時は、「なんだろう、この人は?」とあまりの事に受け入れられない感じになりましたが、彼の心の問題が分かった後は、なるほどと納得出来てしましました。


ちょっと方法が間違ってて、ぶっ飛んでる考え方ではあるものの、とにかくいつもずっと10年もの間、ただひたすら彼女の為を思っていてくれた事は、すごく伝わりました。
道徳的な善悪の問題を考えると、色々問題ありなのかも知れませんが、シドさんが全ての人に許される権利がある…というような事を学園長の時に教えてくれたので、彼らも許されてもいいのかな?と思えたのです。


浪川さんの演技も本当にすごくて、まだ中学生の頃の理智さんと、帝大の助教授の理智さん、そして感情が全く見えない、硝子のような瞳で冷静すぎる理智さん、更には彼女のお陰で変わった後の理智さん…と、絶妙な演じ分けが素晴らしかったです。
そしてやっぱり変わった後の、弟に嫉妬して見せてくれる彼が一番好きでした。


ただ、彼のシナリオ、全員攻略後にオープンする理智専用シナリオみたいな扱いなのですが、序盤は全員の共通ルートと同じものの中に、彼オリジナル要素が章の最初に毎回入る…という作り。
でも扱いは理智専用シナリオなので、既読スキップが使えないのです。
そこがものすごーく、本当に、どうしようもなく面倒でした。


これって、この作品に限らず、個別ルートに出て来る共通部分なんかあると、済まして未読ってフリして既読スキップ使わせてくれないものがあるので、今後そういうのもしっかりスキップさせて欲しいです。
時間もったいないんです。
一人でも多くの彼と恋をしたいのです!
人生は有限なので、少しでも早く次の彼と恋させてください(笑)


そしてこの作品、理智さんだけじゃなく、全員エンドの曲が違う曲なんですよね!
凄い凝ってます。
でも、せっかくなので、キャラの方の歌うキャラソンにしてくれたら、もっと嬉しいのになって思いました。


最後に、理智さんを素敵に演じてくれた浪川さん、ありがとうございます。
すごく良かったです!


ネタバレ

たとえ僕が死んでも、世界が滅んでも、君は、君だけはこの世界に存在してください。


-----


人でなし
死にゆく母が残した言葉。
今までに見たこともないような、嫌悪…いや、憎悪の表情を見せて。


彼の母は体が弱く、彼を生んで間もなく入院してしまった。
そうして数年の月日が流れ、やっと退院した母だったが、母たっての希望もあり、すぐに彼の弟の将成を身ごもり、将成を生んですぐに更なる体調の悪化に見舞われた。


赤子は不安を感じて泣くと、母が抱きしめてくれて、優しく声をかけてくれる。
その事から母のぬくもりとその声に、ここは安心だ、自分はこの世界に居ていいんだ…という事を学ぶ。
けれど彼には、その母のぬくもりがなかった。
彼を生んでからずっと入院していたから。
だから彼には安心出来る場所がない。
そして自分がこの世界に居ていいのかも分からない。


そんな彼は、それが原因で自分の気持も、人の気持も分からない子供だった。
けれど頭の良かった彼は、人の表情の変化から感情を読み取れるようになったのだ。
だから幼いながらに気づいてしまった。
彼の言葉に対して見せる母の表情が「嫌悪」である事に。


それでも彼は自分の心が分からない。
だからその表情に自分が傷ついている事に気づかない。
ただ「母さんは僕を嫌悪しているんだ」という事実として受け入れたのだ。


そんな母は死ぬ間際に、「手を握って」と彼に頼んだ。
言われるがまま母の手を握ったものの、死を目前にした母は苦しかったのだろう。
彼の手を爪が食い込むほど強く握ったのだ。
だからその痛みから、「手を握っても何もならないから、手を離してもいい?」と母に言った。
他意などなかった。
ただ本当に手も痛かったし、手を握った事で何かが得られるなんて思っても居なかったから、そのままを言葉にしただけ。
でも母にはその言葉がひどく冷たいものに聞こえたのだろう。
人でなし」と憎悪の表情を浮かべて、彼に告げた直後、息を引き取ったのだ。


感情を理解出来ない彼は、そのときの自分の感情も理解出来ない。
とても傷ついて、その心が爛れ血を流してしまった事も気づかない。
ただ「僕は人でなしなんだ。…そうか、人じゃないんだ。だから人の心がわからないんだ」と、事実としてそれを受け止めてしまう。
だって、それしか知らなかったから。
誰も彼に教えてくれなかったから、安心出来る場所と、この世界に存在してもいいという事を。


その頃父は海軍の任務で、海外に行っていた。
次代は第一次世界大戦の頃。
人の心は分からないながらも、頭がよくしっかり者の彼は、父の名代として、父宛の手紙を受け取っていた。
その中に彼女の父、香月からのものがあったのだ。
そしてそこには「非徒の事、その非徒を作り出す研究や薬の事、その時を悔いている事」などが書かれていた。
強靭な力を得る事は出来るものの、人の心を持たない『化け物』になってしまった」と記された手紙。


あぁ、そうか。
僕は化け物なんだ。
人の心を持たないから。



香月の手紙からも、そんな風に自分の事を理解してしまう彼。
だから知りたくなった。
自分が化け物なら、その化け物を生み出す研究や、その薬について。


だから彼は父の名で香月に返事を送り続けた。
そうしてある時、約束を取り付けたのだ。
金沢に会いに行く…という約束を。


約束の日、少し早く着いてしまった彼は、教会を訪ねた。
そしてそこで周防に出会った。
周防と言葉を交わした彼は、周防が研究を手伝っている博士が研究を葬ろうとしている事が納得出来ないと彼に告げた。
そしてそれを阻止したいけどダメなのだ…と。


だから彼は、なんの他意もなく、興味から「どうしてダメなんですか?続けられないのですか?」と訊ねた。
感情を宿さない、硝子のような空っぽの瞳で周防を見つめて。
その瞳があまりに美しく、まるで鏡のようだったから。
周防は彼の瞳の中に自らの欲望を見出してしまった。
博士を殺してでも研究を続けよう」という心の奥にあった欲望に。


後にその事を悪魔に魅入られた…と語る周防だったが、そうじゃない。
ただ周防が弱かっただけ。
だから彼のせいにしたかっただけなのだ。


そうして彼よりも一足先に香月家に着いた周防は、彼女の見ている目の前で両親に襲いかかった。
幸い母により外に逃された彼女だったが、どうしていいのか分からない。
周防の恐ろしい様子と、両親の悲鳴が頭から離れなくて。


困って家の近くを彷徨っていた所に、香月家に向かう彼と出会った。
そうして彼に手を引かれて家に戻ると、そこには血まみれの両親が倒れていた。
更にはそんな父の頭を彼女の目の前で周防が叩き割った事から、彼女は狂ったように泣きじゃくった。
恐怖、怒り、悲しみ、絶望…いろんな感情が溢れてしまったから。


そんな彼女のコエが、彼の頭の中に響いた。
そして彼は今まで知らなかった恐怖や悲しみを知った。
これが心?」と言う驚きと共に。


そして彼は生まれて初めて涙を流したのだ。


あぁ、この子がいれば、僕は人になれるかも知れない。
この子なら、僕に感情を教えてくれるかも知れない。



そんな特別な経験で、彼の中で特別な存在となった彼女。
それは彼にとって神のような存在に。


だから彼は決意したのだ。
彼女の為に生きようと。


-----


彼女の遺伝子の中に存在する人を強靭な肉体へと作り変えてしまうもの、それは伴性劣性遺伝だった。
香月の研究により、ウイルスを使う事で人に感染される事が出来るようになったものの、男にしか感染せず、男は完成すると発症し非徒になってしまう。
結局そのウイルスを作れる血は、彼女のみが所有するもの。


彼女の遺伝子の事がどこかに漏れれば、彼女は世界各国から狙われる存在になってしまう。


だから彼女を守りたかった。
そうして考えたのは、非徒のウイルスを撒き散らし、各国のトップを非徒に感染させてしまうという方法。
彼女の血には、非徒に感染したものを命令で動かす力も備わっていたから。
おそらくそれは香りとして。
非徒に感染する際に脳に起きる損傷が影響し、非徒のみが嗅ぎ分ける事が出来る香りとして送らる信号。
その信号により、彼女は彼らが目指す新しい世界の女王として君臨する。
そうすれば、誰も彼女を害す事が出来なくなるから。


その為の方法が輸血。
世界を巻き込んだ戦争を起こし、負傷したものに輸血という形で非徒ウイルスを感染させる。
そうして非徒になったものから選別し、彼女の統べる新しい国にふさわしいものだけを残す…という計画。
計画の中心は彼と周防とイ織の三人。
それが彼女を守る為に彼が考えた計画だった。


両親を亡くした彼女は、あの日彼が周防と出会った教会に預けられ、彼はそこにはidと名乗り、彼女の父の古い友人だとし献金した。
idとは欲求や感情と言った動物敵本能、本能的衝動、無意識的な心的なエネルギーの源…と本に載っていたもので、読んだ当時は理解出来なかったそれを、彼女の感情を共有したあの日、初めて理解した記念となる言葉だったから。


そうして結核で死にそうになっていた友人、イ織には、「死にたくない」という彼の願いに応えるように、非徒ウイルスを注射し、2年もの間もがき苦しんだものの、無事に結核の症状を消す事が出来たのだ。
ただ、ウイルスを注入した当時のまま、外見が変わらないし、驚異的な身体能力も現れなかったという例外付きで。


その後、妾の子だったイ織をイ織の父に認知させ、遺産がイ織に渡るように手配。
その遺産を元にイエーヴァ女学校を設立。
イエーヴァはロシア語でイヴの意味。
非徒を生み出すイヴたちの楽園として作られた女学校。


そう、そこは試験意外にも特別な選考方法があると有名な名門で、その特別な選考基準が、彼女の遺伝子に近い遺伝子を持つ女子…というものだったのだ。
そうして生徒達の血は、非徒ウイルスを作る為に使われた。
10年後、彼女を横浜に呼んで再会するまでの間。


そうしてついに彼女を横浜へ呼び寄せた彼は、次第に彼女に惹かれるように。
けれど分からない。
人の心も自分の心も分からない彼は、そんな自分の気持ちには気づかない。
ただ分からない胸の痛みや、苦しさを感じるだけ。


それに彼は思ってもいた。
自分は欠陥人間だから、もっとも彼女に相応しくないのだと。


その後、両親のことがなにも分からないと言う彼女を金沢へ誘った。
そこで彼女は全てを思い出し、両親を失ったあの日、まだ中学生の彼と出会っていた事も思い出した。


だから気づいてしまった。
今まで騙されていた事を。
両親の事も、自分を支援してくれていたidの事も、非徒の事も、ウイルスの事も。
全部知っていたのに、隠していた事に。


それでも違和感として感じ取っていた。
彼には全く悪意がない事も。
方法がひどく間違っているだけで、心から彼女のためを思っている事も。
だからショックを受けながらも、彼が気になっていた。


だから彼と向き合ってみようと思ったのだ。
彼女のためと考えてくれる人だから、非徒に命じるように命じるのではなく、人として言葉で説得したかった。
非徒をこれ以上増やさないで欲しいと。


それでも最初は受け入れられなかった。
彼女を守るための世界を彼女が望まないのなら、生きている意味がないと。
そうして自殺までしようとした彼だったが、彼女の思いが届き、彼女の体だけでなく、心も守りたいと思えるように。


その後、彼女に母の死に際の話をすると、彼女は彼の心がひどく傷つき血を流していると気づいた。
そしてそんな彼の心の傷を癒そうと優しく抱きしめたのだ。


今後は彼と周防は彼女の父の意思を継いで、非徒の治療薬を作る事に。
そしてその資金は源財閥からイ織が出してくれることとなったのだ。


彼女の心をも守ろうと決意した彼は、彼女により次第に人間らしい感情を見せるように。
今では彼女の事で弟に嫉妬出来る程に。


まだ少しずつではあるけれど、きっと血を流すほどの彼の心の傷も癒え始めたのかも知れない。
そして彼女がそばにいる事で、時間はかかったとしても、きっとその傷は全て癒えるだろう。


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君が悲しまないように、消えてしまわないように、僕の全てをかけて君を守ります。


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