キャラクター紹介
CVは松岡禎丞さん。
イエーヴァ女学校の学園長で、源財閥の次男。
神藤理智とは、尋常小学校からの同級生。
見た目は天使のような美しい少年で、年齢不詳な印象の人。
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感想
意外と大丈夫でした(笑)
レビューでは結構悪い感じに言われているのも見ましたが、私は大丈夫というか、意外と好きです、彼。
最初は本当に悪な感じで、ひどいなって思いましたが、彼女への気持ちを自覚してからは優しい所も見えて。
はじめがひどかった分、もう、凄いいい人に思えてしまうマジックが(笑)
それに彼の生い立ちや置かれている状況の複雑さも、好きな感じの設定だったのもあるかな?と。
後はシドさんの「人は誰でも許される権利がある」というような言葉、あれがすごく効いていると思います。
そこも裏のテーマでもあるのかな?
償う気持ちがあれば、許されていいし、幸せになっても構わないんだよ…と。
ただ、10年後、20年後、彼の隣にいるのはビジュアル的な面で辛くなるかな?という心配はありますが、そこも治療薬の研究と共になんとかなるといいな…と期待しています。
そして病床で気弱な彼と、今の人を食ったような性格の彼と、彼女への想いを自覚してからの彼と、すごく素敵に演じ分けられていて、松岡さんの演技、素晴らしかったです。
松岡さん、素敵なイ織さんをありがとうございました。
ネタバレ
あーっ、どうして勘違いしたんだ。
幸せになれるかもなんて。
希望なんてありはしないのに。
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源財閥。
事業を拡大して地位を手に入れた功労華族。
そこは莫大な資金を有していて、日本でも有名な財閥だった。
彼はその源財閥当主の息子だった。
現在は彼の兄が当主として跡を継いでいるそこでは、彼は邪魔者だった。
彼の母が妾だったから。
源家の敷地の片隅に追いやられ、嫌がらせを受け、母は短い生涯を終えた。
母が亡き後、彼は結核にかかり、ろくな世話もしてもらえないまま、ただ終わりの日を一人待っていた。
召使いも近寄りたがらず、必要最小限しか世話を受けられない状況の中、唯一、尋常小学校からの同級生の理智だけは、時折彼を見舞ってくれたのだ。
そうしてそろそろ終わりの時が近づいて来たと感じた頃、彼は苦しさの中から「死にたくない」と理智に訴えてしまった。
生きる希望など何もないのに。
生きる場所などどこにもないのに。
ただ邪魔者として、蔑まれて生きて来て、死を間近にした今も、こうして一人苦しんでいるような生活。
そんな生活に「生きていたい」なんて思えない。
それでも「死にたくない」とは願ってしまう。
こんな苦しくて寂しいまま、死んでしまうのは怖かったから。
だからだろうか?
「なんとか出来るかも知れません」と言い残して理智が帰った後、周防と名乗る知らない男が現れた。
そろそろ限界だと思っていた彼に、「死にたくないですか?」と訊ねた周防。
その問に彼が「死にたくない」と答えると、「運が良ければこれで助かるかも知れません」と告げ、周防は彼に注射を打ったのだ。
苦しかった。
2年もの間、もがき苦しんだ。
けれどその結果、彼から結核は消えたのだ。
そうして後から分かったことは、あの日の注射は非徒を作り出す薬だったという事。
非徒とは、強靭な肉体を手に入れる代わりに、理性を失って化け物のようになってしまう者の事。
けれど稀に理性を残したまま、強靭な肉体を手に入れる事も出来る。
それが周防だった。
同じ薬を打たれた彼はといえば、結核は消え、健康な体を手にしたものの、身体能力の向上は見られなかった。
そして理性を失う事もなかった。
成功といえば成功なのかも知れない。
ただ一点を除いては。
それは彼の見た目。
2年の苦しみの後、動けるようになった彼の元に通って来る同級生の理智。
結核に苦しんでいた時も、理智だけは彼を見捨てなかった。
そんな友人は、見るたびに大人びて行く。
そしてそれは同級生である彼もそうであるはずなのに。
気づいたときには彼は全く成長しない体になっていた。
そう、あの注射を打った中学生の頃のまま。
それでも死なずに済んだ。
理智が父に話してくれた事で、父の死後、源家の財産も分与された。
でも、相変わらず「生きていたい」とは思えない彼。
だって、居場所なんてなかったから。
そして今は非徒の薬の影響で子供のような容貌の彼は、気味悪がられる存在だったから。
それでも源財閥の財産欲しさによってくる人間は沢山居た。
バカバカしい世の中だ。
こんな世界壊れてしまえばいい。
そうだ、非徒を作り、国家転覆のゲームをすればいい。
人生なんて、ゲームみたいなものだから、楽しめればそれでいい。
そうして彼は、周防が手に入れた香月博士の研究を源財閥の資金で引き継ぎ、非徒の薬を作り続けた。
使われた血液は、自身が創立したイエーヴァ女学校の生徒のもの。
生徒を選考する際に、健康診断を行い、遺伝子を調べ、オリガの血を持つ彼女の遺伝子に近い者達が選ばれたのだ。
それがイエーヴァ女学校の正体。
非徒の薬を作る為の学校。
そんな学園にidにより招かれた彼女。
編入前から彼はずっと彼女の事を知っていた。
受け入れた理由も、彼女の血から非徒ウイルスを作り出すためだった。
そうして出会った二人。
彼女に野望を告げ、自分の屋敷に監禁し、薬を作ろうとする彼。
けれど彼女は両親のした事を知りショックを受けたものの、彼に「博士は治療薬を作ろうとしていたんだ」と聞き、自分がその治療薬を作る方法を見つけると言い出す彼女。
だから彼はゲームを始めた。
いつも人の為と生きる彼女と、享楽のために生きる彼。
どちらが最後に生き残るか、ゲームをしようと。
そうして治療薬の事も、屋敷の中を自由に調べる事も許し、自分が同伴なら外出も許可した。
だって、その方がゲームが楽しめると思ったから。
でも次第に変わって来た。
ただゲームとして楽しんでいたはずが、彼女が自分に優しくしてくれるから、彼女を利用しようとし、監禁までした自分に温かいものをくれるから。
だから思ってしまった。
「生きたい」と。
僅かな希望を見出してしまった。
そんな頃、彼女の母の故郷のロシアでも、彼女を狙っていて、彼をよく思わない兄の手引きにより、彼女はロシア側にさらわれてしまった。
そこに助けに入った彼だったが、ロシア側が彼女に言ったのだ。
「よくその男の元にいられるな。その男は君の両親を殺したやつなのに」と。
実際は彼が殺した訳ではない。
手を下したのは周防だった。
それでも彼が「死にたくない」と願ってしまったから。
口にしてしまったから。
だから彼女の両親は死ぬ事になった…と、そう彼は思っていたし、罪悪感も感じていた。
だから何事もゲームとして楽しむ事で、それらの感情を忘れたかったし、生きる意味を見出したかったのかも知れない。
そうしてやっと希望が見えたと思った。
彼女がいれば、生きたいと思える気がしたのに。
助けに行き、彼女へと差し出したてを彼女は振り払った。
それも当然の事。
だって彼女の両親は彼のせいで死んでしまったのだから。
あぁ、バカだった。
そうだ、希望なてんあるはずなのいに。
生きたいなんて思えるはずなのいに。
そうして彼は元に戻った。
本当は彼女の為、国家転覆なんてゲームは辞めてもいいと思ったのに。
治療薬の研究をして、彼女と共に暮らして行きたいと思ったのに。
それが叶わぬ願いだと思い知った彼は、再びゲームの続きをする事に。
でももう楽しめない。
享楽に生きる事なんて出来ない。
だからこのゲームはオレの負けだ。
そうして彼は彼女を教会へと呼び出し、「お前の勝ちだ」と彼女にナイフを渡した。
「勝ったのだから褒美をやろう。両親を死なせたオレの命だ」と、彼女に殺せと暗に伝えたのだ。
両親の敵を撃てと。
なのに彼女はそのナイフで自分自身を傷つけた。
「成長出来ないオレは人間じゃない。化け物だ、非徒だ」と言う彼に、「あなたは人間です。非徒じゃありません」と言う彼女は、それを証明する為に自らの血を流した。
非徒ならばその血に狂ってしまうから。
所がそこに周防が非徒を連れて現れた。
ゲームを楽しめない彼を必要ないと思ったのだろう。
そうして必要な彼女だけを手に入れようと。
流れた彼女の血に沢山の非徒が惹きつけられ、次々と襲いかかる。
最初は彼が奮闘し彼女を守っていたものの、彼には驚異的な身体能力などありはしないから、次第に劣勢に。
けれどそこに将成と遙が駆けつけ、非徒を抑えてくれたのだ。
だから彼は周防を倒した。
自ら未来を切り開くために。
過去に縛られて生きるのをやめるために。
彼が非徒の薬を開発し、横浜に撒いていた事。
海軍に予防接種と称して、非徒ウイルスを打っていた事など、彼のした事は決して許される事ではない。
けれど海軍上層部もまた、その計画に関与していた事から、事件が公になる事はなかった。
そこで彼は治療薬を作るという条件の元、罪に問われない事となったのだ。
メタノイア。
人は誰しも許される権利がある…という意味の言葉。
罪を認め、それを償う気持ちがあるのなら、許される権利を得られるのかも知れない。
これからは、享楽のために人を犠牲にし生きるのではなく、彼女と共に人の為に生きると決めた彼は、彼女の隣にやっと自分の居場所を見出したのだろう。
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オレも、オレも生きたい!
お前と一緒に生きていきたい。
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