キャラクター紹介
CVは下野紘さん。
紅葉神社の氏神様に仕える狛犬のあやかし。
詠の双子の兄。
詠の時の紅葉村での幼い日々を境に明るくなった主人公のあやかし編とは異なり、紅葉村での日々を経ても変わる事のなかった人間嫌いな主人公の人間編。
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感想
人との関わりが嫌いな彼女が、最初は私も嫌だな…と思っていましたが、そんな彼女に人との触れ合いの暖かさや、思っている事を飲み込まずに伝える大切さを教えてくれたのが謡くんでした。
結構面倒くさい主人公なのに、怒りながらも見捨てる事なく分かるまで教えてくれる姿に、「詠のお兄ちゃんなんだな」としみじみと思いました(笑)
ガサツで大雑把に見える彼ですが、とても視野が広く、人の色んな所を見て、さり気なく助けてくれるような、カッコいい人でした。
あやかしにも人間にも優しくて好かれる彼は、主人公の言うように、あやかしと人間と2つの心をもつ、優しい男の子なんだと思います。
人間編という事で、お話の拠点が学校にあり、クラスのみんなとの触れ合いなんかも、素敵に描かれてて、とても良かったです。
女郎蜘蛛の狭霧さんとのエピソードが凄く好きで、彼女が主人公を溺愛してくれるのが、とても嬉しかったです。
謡くん、ツンデレで、照れてる所も可愛くて。とっても素敵でした。
詠くんに出会ってなかったら、絶対一番好きだったと思います。
下野さん、素敵な謡くんをありがとうございました。
ネタバレ
しあわせだなって思ってさ。
こうしてお前といて、お前に触れられるなんて、なんか夢みてぇ。
彼女は夢じゃないよと言うけれど、それは本当は夢なのかも知れない。
狂い咲いた桜のみせるうたかたの夢。
狛犬の使命
根暗女。
吟に護衛を言いつけられた直後、心を開かず、みんなと居る事を好まない彼女を彼はそんな風に呼んでいた。
みんなが親切にしてるのに、それを分かろうともしない。
どんなに気を使っても、まわりのそんな気持ちも平気で突っぱねる。
そんな彼女の態度に腹が立って仕方がない。
なんでこいつは吟さんがここまでしるのに、全然分かんねーんだよ。
そんなイライラをぶつけては口論になる二人。
それでも、彼は、彼女を見捨てなかった。
ニンゲンは嫌いなのに。
昔からいつも嫌いだからと突き放せない。
だからあやかしがニンゲンを襲えば守ってしまい、あやかしからも煙たがられる。
でも、それがオレたち狛犬の使命だから。
だからいつもどっちつかずの中途半端な存在。
そんな自分の立ち位置が、本当はイヤだった。
優しい狛犬
そうして平行線をたどる彼女との関係だったが、女郎蜘蛛と彼女の出会いが転機に。
狭霧に会いたい彼女と、危険だからと止める吟たち。
言われるがまま、部屋に戻ったものの、寂しい気持ち、孤独な気持ち、それを理解してくれるのは狭霧だけ…と頑なに思い込んでいる彼女は、全く納得出来なかった。
そうして二度と会うなと止められた日の夜、一人ぽんぽこりんを抜けだして狭霧の元に向かおうとする彼女を、止めたのが彼だった。
納得いかねーなら、なんで吟さんに喰ってかからねーんだ。
彼は教えてくれた。
ちゃんと言葉で伝えないと何も伝わらないと。
でも、彼女はずっと一人だったから。
仕事の忙しい母とは、話をする事もなく、だから母が死んだ時にも、悲しいのか分からなくて、泣くことが出来なかった。
そんな彼女を気味が悪いと、親戚皆が避け、一人で居た所を吟さんに引き取られた。
だから彼女はいつも思っていた。
私の言葉なんて誰も聞いてくれない…と。
でも、それは決めつけだった。
ちゃんとここには居たのだから。
彼女の言葉をしっかりと耳を傾けてくれる人が。
謡という優しい狛犬のあやかしが。
そうして狭霧がそんな悪いあやかしだなんて信じられないから、自分で話して確かめたいという彼女の思いを聞き届けた彼は、そのまま彼女と狭霧の元へ。
その後、真夏の護符で撃退された狭霧だったが、護符の効果なのだろうか、人を喰らいたい気持ちはなくなり、ただ、毎日自分に会いに来てくれ、「狭霧がお母さんだったら良かったのに」と言った彼女が、本当に可愛くて仕方なくて。
だからぽんぽこりんにご飯を食べながら、彼女の様子を見に来るようになったのだ。
そんな風に狭霧と素敵な関係を築けたのも、全部彼のおかげ。
彼が教えてくれたから、ちゃんと思いを伝える事の大切さを。
中途半端な存在
以来、人と向き合う事が少しずつできるようになった彼女の周りには、気づいたら彼と詠だけでなく、萩之介や蘇芳と、大勢の仲間が。
そうして彼らと共に高校生活を楽しめるようになった。
でも、それも全て彼がくれたもの。
彼に出会えたから、彼が教えてくれたから、自分は変わる事が出来た。
たくさんのしあわせを手に入れた。
そんな彼女が、彼を好きになるのは多分とても自然な事。
そしてまた彼も、みんなと溶け込んで笑顔を見せるようになった彼女を、とても大事に思うように。
それでもニンゲンとあやかしだから。
自分はニンゲンでもあやかしでもない、とても中途半端な存在だから。
そんな彼の中途半端な立ち位置が、大切な彼女をあやかしのいざこざに巻き込んでしまう事に。
双神の鈴
それは彼女と出会ったあの日、彼が追いかけて山に返した鬼。
その鬼が彼を恨み、いつか仕返しをしようと力を蓄えていたのだ。
彼女への気持ちを自覚して、うまく話せなくなった彼は、なんとなく顔を合わせづらくて、一人桜を見てい時、鬼の復讐が始まった。
彼とのぎこちない様子を心配した吟に、仲直りができるように…と彼の好きな肉料理を作ろうと提案されて、彼の帰りを待っていた彼女。
所が一向に返って来る様子のない彼。
そうしているうちに日がくれ、それでも戻らない彼の危険を知らせる鈴が鳴り響いた。
双神の鈴。
一対のそれは、二人で1つずつ持つと、片方が危険に陥ると鈴の音を鳴らして知らせてくれるもの。
そうしてその音に居てもたっても居られなくなった彼女は、詠と共に鈴の音を頼りに彼を探しに出た。
初めて出会った大切な女
辿り着いたそこには鬼が居て、詠の助けを借りて、なんとか謡に出会えた彼女。
ケガをしながらも、彼を助けに来たその姿に、彼は「ここから逃げろ。そしてこの村を出るんだ」と、自分から離れるようにと言った。
ただ大切な人を守りたかったから。
自分があやかしであるせいで、こんな危険な事にあいつを巻き込む訳にはいかねぇ。
だって、あいつは何百年もこの村にいるオレが、初めて出会った大切な女だから。
そうして彼女を逃し、一人鬼と対峙する彼。
この命と引き換えにしてでも、大切なものを守りたいと思ったから。
けれど、力を蓄えて復讐の時に伺っていた鬼のそれに、彼のボロボロの体では対抗する事が叶わない。
もうダメかもしれない…と思った時、逃がしたはずの彼女が戻って来たのだ。
「私を先に食べればいい」と。
バカなのか?
オレがどんな思いで逃がしたと思ってるんだ?
驚いた彼は、必死に彼女を守ろうとするのるが、彼女が捕まってしまい、鬼に今にも食われそうに。
本来の姿
それでも助けないと!
何をしてでもあいつを…あいつだけは守るんだ!
彼の必死な思いに応えるかのように、体の奥底から力が湧き上がり、片目を失った彼では決して変じる事の出来ないハズの、本来の狛犬の姿に変じた彼。
そんな彼のまとう光も、発する力もとても強くて、鬼はアッサリと彼に倒されてしまった。
良かった…と安堵したのもつかの間、狛犬に変じた事で全ての力を使い果たしたのか、そのまま倒れてしまった彼。
そうして後から駆けつけてくれた吟や詠とともに、彼を無事に村に連れ帰る事は出来たものの、その後一週間、彼は全く目を覚ます気配もない。
このまま二度と謡が目覚めなかったら?
最悪の事態ばかり想定しては、涙をながす彼女。
それでもどうしてももう一度彼に会いたくて、彼の声が聞きたくて、寝ている彼に話しかけているうちに、知らず眠りに落ちた彼女。
そんな彼女の夢の中、
見えるのはあの桜の木。
美しく咲き誇るそれが、強い光を発した直後、桜は全て消え失せて、ただ雪をまとって木が残された。
その木の根元にうずくまる人影が一つ。
それは彼女が知っている人影。
声をかけようと思った途端、大好きに声に起こされた。
そう、会いたかった彼が、聞きたかった声で、彼女を起こしてくれたのだ。
あやかしとニンゲンの恋
やっと目覚めた彼と気持ちを確認しあい、穏やかな日々を迎えた二人。
あやかしとニンゲンの恋は本来はご法度とされているもの。
それでも愛してしまったから。
だから彼は彼女を連れて、神様の元へ。
恋人になったと報告に。
二人が覚悟の上で決めた事なら…と、手を繋ぐ二人を祝福してくれた神様。
そうして二人神社の境内で話をしていると、風に乗った桜の花びらが。
その花びらに、ハッとする彼。
何があったのかはわからない。
ただ訊ねる彼女に、「しあわせだなって思ってさ。こうしてお前といて、お前に触れられるなんて、なんか夢みてぇ」
そう言った彼は、どこか儚げな笑を見せる。
そんな二人を遠くから眺める神様が、「残された僅かな時間を大切に生きるのじゃよ」と、小さく呟いたのだった。
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芹ヶ野真夏
伊吹萩之介
木邑浅葱
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