吉原彼岸花【朔夜】

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吉原彼岸花 久遠の契り - PSVita

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キャラクター紹介

CVは木島宇太さん。
主人公の働く桜華屋に出入りしている髪結。
主に花魁の担当をしている人。
仕事熱心で寡黙で真面目な男の子。
唯一年下な感じの男性。


そんな彼とは、いつも髪を結ってもらっている時に、無口な彼に少しずつ話しかける事で親しくなる。

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感想

朔夜さん、見た目は一番好みで、しかも年下ポジションなので凄く楽しみにしていましたが、期待通り素晴らしかったです。
時雨さんが恐ろしい事を除いては(笑)
朔夜さん凄く良かったのに、時雨さんが怖かった印象が強すぎて(笑)
色々そこに持って行かれた感じもあります(笑)


肝心の朔夜さんですが、猫にまつわるエピソードでは泣かせてくれましたし、凄く切なかったです。


後半の満身創痍の彼が見られるスチルのイベントとか、本当に号泣しましたね。


そして花魁という彼女の職業が、今までの二人の時よりも、より辛いものに感じたように思います。


エピローグも凄い良かったです。
子供が出来ても、変わらず凄く愛してくれる感じがときめきましたね。


朔夜さん、まっすぐな愛情を花魁の頃から向けてくれてて。
そのひたむきさがとても素敵でした!
木島さんの低音もカッコよくて、朔夜さんの透明な雰囲気にとても似合っていて素敵でした。


木島さん、素敵な朔夜さんをありがとうございました。


ネタバレ

あなたが望んでくれるなら、俺はずっと髪を結い続けます。
あなたの年季が明ける日まで。



花魁と郭関係者の恋は許されないもの。
それでも離れる事が出来ない二人が、いつか…と夢見るように交わした約束。


-----


読み書き算盤は当たり前になりつつある時代。
けれど、髪結いの彼は文字が読めなかった。


彼は寺に捨てられていて、そこで働いているおじいさんに拾われ育てられた。


その後、おじいさんが亡くなったときに、おじいさんと親交のあった今の髪結いの親方が、彼を引き取って髪結いを仕込んでくれた。
商売をするのなら、読み書きが出来た方がいいだろうと、寺子屋に通わせてくれようとした親方に、一日も早く髪結いとして一人前になりたいと、彼は修行を優先して欲しいと頼んだのだ。


そんな彼だから、いつか床持ちの一人前の髪結いになるためと、コツコツとお金を貯めていた。
それが彼の夢だったから。


そしてあと少しでその夢に手が届きそうになった時、彼は兄弟子によってそのお金を騙し取られてしまった。
自宅に大金を置いて置くのは物騒だから、預けた方がいいと兄弟子に勧められ、預り証に兄弟子の名前がかかれている事など、文字の読めない彼は知るよしもないまま、そのお金は兄弟子のものとなり持ち去られてしまったのだ。


それを知った師匠は、自分の身内である兄弟子と絶縁。
その後彼に詫て、「どうか許してやって欲しい」と頼むのだ。
親方には世話になっている事から、奉行所には届けず、自分も迂闊だったから…と、床を構えるための資金を諦める事に。


その後、吉原で仕事をするようになった彼は、その腕を買われ、桜華屋で花魁の髪を担当する事に。


人一倍観察眼の鋭い彼は、色々な色々な店の花魁の髪を結っては、彼女たちを観察し、悪い所も見つけていた。
けれど、桜華屋のお職は特別だった。
彼女はすべてが完璧に美しかった。


そんな彼女は無口な彼にも声をかけてくれ、彼女の拾った猫を彼が預かる事をキッカケに、文字を教えてくれたり、時折彼の長屋に足を運んでは、共に猫と過ごしたりと、とても近い存在に。


仕事一筋だった彼も、そんな風に彼女と過ごす中に幸せを覚え、次第に彼女に惹かれるように。


文字を覚えた事で手紙がかけるようになり、彼はいつも彼女に他愛もない日常の話を手紙に綴り、髪結いのときに置いて帰るように。


そうして二人の距離がとても近くなったのを感じた頃、突然彼女からもう文字を教えられないと言われてしまった。


自分が何かをしてしまったのだろうか?


とても楽しかった時間だっただけに、彼の受けたショックは大きかった。
それでも最後にどうしても知りたい文字があったから。
手のひらを差し出して、彼はそこに彼女の本名を書いて貰った。


髪結い後の文字の練習が無くなった途端、彼女の態度はそっけなくなり、それでも彼は今まで通り、他愛のない日常を綴り続けた。
そして次第にその中身が、「あいたいです」と、彼女を慕う内容に。


花魁と郭関係者の恋はご法度。
知られたら遊女は見せしめのため、ひどい折檻を受け、男は最悪命を取られてしまう。


だから彼女は愛する人の命を守りたかっただけだった。


そんな時、仕事熱心な彼が、彼女の髪を結に来られず代理を立てた。
心配になり代理に尋ねると、彼の猫が野良犬に噛まれて大怪我をしたと。


それは「さくら」という名前の猫で、彼女が見つけ、彼が飼い、文字の練習をしていた頃は、毎日様子を見に行っては彼と共に可愛がっていた猫。


首には彼女の着物の一部で作った、山吹色の鈴付きの首輪をしていた白い猫。


今すぐにでも駆けつけたい衝動と戦いながら、彼女は花魁としての仕事を終えた。
翌朝、朝イチで彼の元に駆けつけると、さくらは既に息を引き取っていた。


二人でさくらと出会った九郎助稲荷にさくらを埋めて、その後、彼の長屋へと戻った。


辛くて悲しくて、そんな気持ちを分け合うように、二人はそこで結ばれた。


けれど、この関係は禁断のもの。
どんなに彼を想っても、彼の命を守るためには、終わりにしなければならないもの。
ならばせめて一度だけ…と、彼に体を許した彼女。


その後、一度は彼を遠ざけたものの、耐えきれずに再び隠れて会うようになった二人。


そんな時、彼が吉原に来る前にお金を騙し取られた兄弟子が彼の元に訪ねて来るように。
兄弟子は、彼女が長屋に出入りしているのを見つけて、彼女を脅迫してきたのだ。


大事な朔夜の事を桜華屋の楼主にバラされたくなかったら、自分と床入りするように…と。


高位の花魁との床入りはそうやすやすと出来るものではない。
茶屋を通して楼主に伺いがあり、楼主のお眼鏡にかなったものしか、花魁との宴席を設ける事は出来ない。
更には、花魁自身が気に入らなければ、初回にふってしまう事もある程。
床を構えているとはいえ、髪結いが簡単に会えるような存在ではない。


だから彼女に、楼主に口添えをしろと脅迫する兄弟子。
彼の事を持ち出して。


彼への仕打ちも知っていた彼女は、こんな男に抱かれるなんて!と思う反面、それでも兄弟子の経済状態では、一度の床入りが限度。
ならば一度我慢すれば、もう脅されずに済むと思った彼女は、彼を守るためと腹をくくり、時雨に話を通した。


そうして初回を迎え、翌日には裏を返され、あっさりと床入りの日に。
彼にはその事実を内緒にしていたものの、どこからか噂を聞きつけ、凄い勢いで彼女の元にやってきた。


それでもこれは仕事だからと、事情を説明しないまま、彼に髪を結って貰った彼女。


けれどどうしても彼を傷つけるような気がして、ぼんやりしている彼女を彼女付きの禿の柚が案じ、花魁仲間の喜蝶に相談。
喜蝶自ら彼女の元に足を運んでくれた。


そうして以前彼との事に気づいた喜蝶が、秘密を共有しようと話してくれた秘密。


どうしても気の進まない客の時、私はこっそり薬を盛って、客を眠らせてしまうんだ。


という話を持ち出して、あんたの悩みに私の秘密は役立たないか?と、薬を届けてくれた。


床入り直前に、薬を入れた酒を持参したものの、遊女として年季を終えるまで待っていてくれると言ってくれた彼と、今日の事にかぎらず、いつも誰か別の男に抱かれると知りながら、黙々と髪を結ってくれた彼の事を思い、花魁として、きちんと相手をしようと思い直した。


その矢先、辰吉が兄弟子の母が危篤だと知らせてくれて、彼女は兄弟子との床入りをせずに済んだ。


そうして薬を入れてしまった酒を処分しようと深夜に庭に出た所を時雨に見咎められて、喜蝶の事も彼の事も守らなければ…と事情を話せない彼女は、寒い冬の中庭でひどい折檻を受けた。


その事を喜蝶から聞いた彼は、押し入れに閉じ込められている彼女を助けに来たものの、それでも彼を守りたい彼女に帰されてしまった。


あくまで口を割らない彼女だったが、一通り折檻を加えた時雨は、もうこれで懲りたろう…と彼女を開放。
あちこち打たれて傷だらけのままでは仕事が出来ないだろうと、数日休みを貰う事に。


そんなある日、禿の柚が知らない男から彼女宛に手紙を預かって来た。
差出人はあの兄弟子。
今も彼女を諦めていないらしく、九郎助稲荷に来ないと彼との事をばらすと綴られていた。


仕方なくそこへ向かうと、母が亡くなった話をした兄弟子は、昨日葬儀を終えたばかりだというのに、高い金を使ったのに、今床入りって所で邪魔をされたと言い出し、彼女を襲おうとしたのだ。


たまたまさくらの墓参りにと、仕事の合間に九郎助稲荷に彼が来た事で事なきを得た彼女。


けれど、彼の迫力に一旦引いたように見せた兄弟子だったが、背を向けた彼の背後から、その頭を大きな石で殴ろうとした。
慌てた彼女は、彼を助けたい一心で体当たりをし、無事に彼を救う事は出来たものの、彼女の体当たりで神社の柱に頭を打ち付けた兄弟子は、かろうじて息があるという状態。


いくら故意ではないといえ、人を死なせてしまったとしたら、花魁といえども罪を逃れられない。
だから「俺がやった事にします」彼はきっぱりとそう言って、彼女を帰そうとした。


けれど、彼女もまた、彼を犠牲に自分だけ助かっても意味はないと、自分が罪を名乗り出ると言ってきかない。


そうして彼は言った。
二人で逃げましょう」と。
以前、彼女が折檻を受けた時も、同じように提案したものの、吉原の足抜けが簡単ではない事を知っている彼女に、断られてしまった過去がある。


それでも、もう耐えられなかった。
秘めた恋でも構わない。
年季が明けるまで…と頑張った所で、こうしていつ誰に知られてまた脅されるかも分からない。
そうなれば共にある事は叶わない。
ならば逃げるしかないのかもしれない。



そうして二人は雨の夜、吉原を逃げ出した。
きっと見つかったら殺されてしまう。
それでも今逃げるしかないと思ったから。


髪を切り、男装した彼女と共に逃げる彼。
けれど、大門を抜けてしばらく行った所で、桜華屋の若い衆に捕まってしまった二人。
そこに時雨が現れて、彼の兄弟子の登楼を許して以来、ずっと監視がついていて、彼女の行動は時雨に筒抜けだった事。
わざと逃して外で捕まえるために、罠を張っていた事を知らされた。


彼の左腕を折られ、髪結いの仕事が出来なくなると恐れた彼女は、店に戻るから彼だけは助けて欲しいと時雨に懇願するも、「諦めないでください」と彼に叱咤され、最後まで抵抗を試みた。


彼が投げた小刀を拾い、彼を守るように立ちはだかり、自らの喉元に刃物を当てて時雨に向き合った。
見逃してくれないのならここで死ぬ!と。


どうせ出来ないだろうという時雨に、遊女の恋は命がけだと言った彼女は、彼と共にあれないのならば…と、その刃で自らの命を絶とうとした。


けれど背後に居た満身創痍の彼が、抜き身の刃をその右手で掴んで彼女を止めた。
彼の行動に驚いて腰を抜かした彼女の頭から笠が落ちると、長かった髪が短く切りそろえられている事に気づいた時雨と若い衆。
驚きの声を上げられた事に、彼女はきっとひどい有様なのだろうと、うつむいてしまう。


安心してください。
今まで俺があなたの髪を美しく仕上げなかった事がありましたか?



優しく微笑む彼。


彼女の短く切られた髪に、並々ならぬ決意を感じ、更には商売道具である手を犠牲にしても、彼女の命を救おうとした彼の行動に、心を打たれたのか、それとも呆れたのか、もう二人を見逃す事に決めた時雨は、二度と顔を見せるなと言い残して去っていった。


そうして吉原を出た二人は、吉原から遠くはなれた土地で今では家族三人で幸せに暮らしていた。


娘と彼のやり取りを微笑みながら見つめる彼女に、彼は幸せを噛み締めていた。


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こうしてあなたが笑っていてくれるだけでとても幸せなんです。
だってそれは、あなたが俺と生きる事を選んだ事を後悔していない証だから。


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