遙かなる時空の中で7【天野五月】

この記事は約18分で読めます。
Nintendo Switch用ソフト 
ブランド:Koei 
ジャンル:女性向け恋愛AVG 
発売日:2020年6月18日 
通常版:8,580円(税込)

KOEIさんのNintendo Switch用ソフト「遙かなる時空の中で7」で鈴村健一さん演じるキャラクター、天野五月の感想とネタバレをまとめました。

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キャラクター紹介

※「遙かなる時空の中で7」はコーエーテクモゲームスの作品です。
 バナーの画像はこちらからお借りしております。

CVは鈴村健一さん。
地の青龍
神社の息子で両親同様ゴーストバスターの技を習得しているため、異世界の怨霊にもすぐに対応出来た。

現代で暮らしているものの、彼女はには内緒であったのが星の一族
現代では能力が強い事から霊障にあい、大学受験に失敗している。
現在は高校三年生で春からは浪人生の予定。

感想

五月の感想をいくつかの項目に分けてまとめました。

ビジュアルについて

兄というポジションはどうも苦手です。
兄は必ず妹が好きと言うか、妹の恋路を邪魔する…みたいなシナリオって多くないですか?
兄を好きになる人には堪らないシチュエーションかもしれませんが、苦手な私からしたらとても迷惑な存在…という印象になりがちなのです。

だから兄という設定が心配ではあったものの、ビジュアルは割と好みの感じでした。

恋人として

途中まで恋人でもありかも?
今回は兄を克服できるかも?
そんな期待に胸を膨らませた時もありました。

所が、結果としてダメでした(笑)
嫌いじゃなんです。
彼自体はそんなに苦手な訳じゃないのです。

ただ彼のとった行動が、どうしても許しがたいものがあったのです。
それでもう恋人はないな…と思いました。

それも多分仲間という距離感なら起こらなかった出来事だと思うので、恋人は無理ですね(笑)

仲間として

能力は高いのに、どこか抜けていて頼りない兄。
それでもとても優しく穏やかな人柄は、個性豊かな八葉の中でなくてならない存在だったと思います。

個人的には恋人というよりは、仲間として共に戦いたいタイプでした。

最後に…

本当に惜しかった。
初めて私の兄嫌いを直してくれる人に出会えた!と思ったのに。
やっぱり兄っぽいキャラはこんな展開なの?と思う展開に。

本当に意思を無視してそういう事する人は、苦手なんですよね。
優しい人だと思っていたから、話の分かる人だと思っていたから。
だから余計に私にとってはショックな出来事となりました。

好きだから起こした行動。
大切だから起こした行動だと頭では理解できるのです。
でも私の心は、そこに納得してくれませんでした。
そこだけが残念ポイントとなってしまいました。

ネタバレ(あらすじ)

好きだよ。
妹としてじゃなくて、ひとりの女の子としてお前の事が好き。
俺と一緒に恋人同士として、向こうの世界に帰ってください。

異世界の姫

彼と彼女は兄と妹として育ったが、本当は血が繋がっていない。
出会いはまだ彼が幼かった頃、双子の兄の三鶴と彼が遊んでいた時の事だった。
二人の前に突如異世界とこちらの世界を繋ぐ大きな渦が現れたのだ。
そしてその渦は織田の姫である彼女をこちらの世界へと連れてきた。

しかし渦はそれだけでおとなしく消えてはくれなかった。
彼女を連れてきた代わりとでも言うのだろうか。
彼を飲み込もうとしたのだ。
咄嗟に弟を庇った兄の三鶴は、彼の代わりにその渦に飲み込まれてしまった。

そうして彼はその日双子の兄を失い、血のつながらない妹と出会った。

織田の姫で龍神の神子でもある彼女は、とても強い霊力を持っていた。
彼の家は神社で、両親はゴーストバスターをしていたので、そう言う力にはとても詳しい。
その上祖先は異世界の星の一族だ。
異世界の存在も怨霊の存在も知っている。
だから天野の両親は彼女の力を封じた。

そしてその時に彼女の記憶も。
それはこの世界にくる直前、彼女は炎に囲まれる経験をしたのだろう。
その恐ろしい記憶にうなされていたからだ。

まだ幼い娘にそんな記憶は辛いだけと思い、力と共に記憶も封じた。

そうして彼女はこちらの世界で、彼の妹として育った。
きっとそのまま何も知らず、こちらの世界で誰かを愛し結ばれる未来もあったハズだ。
けれど運命は彼女を見逃してはくれなかった。
ある日彼女の前に異世界から怨霊が現れてその姿を見せたのだ。

元々兄にはそう言ったものが見えるものの、彼女は力を封じられている為、見ることが叶わなかった。
当然封じられた力のことなど知らない彼女は、自分は兄のように霊力が強くないと理解していた。
だから目の前の怨霊の姿を捉えた時、衝撃を受けたのだ。

そうしてその怨霊を追いかけて来た異世界の武士、幸村と出会った。
幸村との出会いをキッカケに、彼女は異世界の存在を知り、その異世界の龍脈の乱れにより、こちらの世界に怨霊が現れている事を知った。
更には怨霊との遭遇により、彼女の中に封じられた龍神の神子としての力も目覚め始めた。

そうして彼女は、本来居るべき場所である世界へ、神子の使命を果たす為向かう事に。

小さき龍

一方彼女と入れ替わるように異世界へと送られた三鶴は、石田の家に拾われ三成と名乗っていた。
そんな身寄りのない三成の才を見出した秀吉は、立派に育ててくれた。

現在は佐和山城を預かる立派な武将となった三成だったが、全て秀吉様のお陰と、その恩を忘れる事はなかった。
だから秀吉亡き後も、秀吉の妻の淀とその息子を守ろうとしていた。
秀吉に託されたからだ。

そんな義理堅い三成は、淀とその息子を守るために力を欲していた。
そんな時平島の存在を知る事に。
陰陽の術に長けている平島の能力を買って、三成は平島を佐和山の城代に据えた。

その佐和山城には、平島の助けた小さき龍がいた。
三成は、佐和山城に美しい池を作り平島が助けたと言うその龍を育てる事に。

元々天野の家で陰陽の術を習得していた三成は、平島同様陰陽の術に長けていた。
だから城代を平島に任せてはいるものの、その小さき龍だけは自分が守ると、誰にも破れない結界を張り守っていた。
小さき龍はとても弱っていたのだ。

星の一族の血が、そうさせたのかもしれない。
なにしろその小さき龍は、まるで幼い白龍のように、白くて美しい龍だったのだ。

そんな三成の結界と、美しい池のお陰で、小さき龍は少しずつ元気になって行った。

そして次第に噂になった。
佐和山城には美しい池のがあり、とても珍しい美しい白い魚が居る…と。
しかし三成の結界により、池には誰も近寄れず、その魚を見たものは居なかった。

そうしてすっかり力を取り戻した小さき龍は、ある日夢の中で彼女に声を掛けた。
だから彼女は思ったのだ。
あの小さい龍が、私の白龍なのねと。

佐和山城の白い魚

龍の夢を見た彼女は、八葉の仲間達にその話を聞かせた。
すると佐和山城には美しい池があり、そこに美しい白い魚がいると教えられた。

夢の事と、佐和山城の白い魚のことを気にしながらも、彼女は龍神について家康に話を聞きに向かった。
家康は日の本を治めるには、龍神の力は不可欠と考え、さまざまな文献から龍神の事、神子の事を学んでいた。
そんな家康から、この日の本の乱れた龍脈を正すのならば、富士の峰へ行くと良いと助言を受けた。

そうして家康の助言に従い、八葉達とともに富士の峰へと向かった彼女。
途中龍神への呪詛の影響を神子である彼女が受け、足止めをされたりもしたが、なんとか無事に龍脈を正す事に成功した。

しかし一気に龍脈が整った反動で、暴風が起こり、百鬼夜行が現れ大混乱。
それも仲間と共に力を合わせて解決した。
そうしてこの世界を救う事は出来たものの、暴風や百鬼夜行の対応に時間を取られたせいで、彼女達が元の世界に帰るための道が塞がってしまったのだった。

元々洞窟が二つの世界を繋いでいたのだが、それも龍脈の乱れが引き起こした現象であったため、整えられた今、もう帰る道はどこにも無かった。
自分はこの世界の出身であるものの、兄と幼馴染の大和は向こうの世界の人。
彼らを巻き込んでしまった事を申し訳なく思う彼女。

しかし大和は向こうの世界にはなかった居場所をこちらで見つけたようで、帰るつもりはなかったと言うし、彼はと言えば兄の三鶴を探しているから気にしなくていいと言ってくれた。

そうしてこちらでの生活が始まった彼らだったが、すぐまた騒動に巻き込まれた。
彼らが整えた龍脈を何者かが乱そうとする力を感じ取ったのだ。
場所は浅間山。
噴火の際に、術が発動されたのを彼が感じ取っていた。

そうして噴火した浅間山の様子を見に行くと、そこには佐和山城の城代の平島がいた。
浅間山の噴火は平島の術によるものでは?と思った彼ら。
しかしだとしたら富士の峰の呪詛も同一人物なはず。
あの時の呪詛返しは、相当なダメージだったはずなのに、平島の様子からその影響は微塵も感じられなかった。
そうして結局浅間山が人の手により噴火させられて事は分かったものの、犯人を見つける事はできなかった。

気落ちした彼女だったが、皆の計らいにより、佐和山城に噂の魚を見に行ける事に。
所がたどり着いた佐和山城では怨霊騒動が起こり、皆で浄化を手伝う事に。
その日三成は留守にしており、城代の平島の話によると、佐和山城でもこうして怨霊が現れ困っているのだと言う。

そうして無事に騒動を解決した彼らは、噂の池に。
けれど池に近づけたのは彼女と彼の二人だけだった。
彼女は龍神の力で結界を通り抜け、彼だけは彼女と共に進むことが出来たのだ。

そこで小さき龍と対面した彼女は、人型になった龍と話をする事が出来た。
すると龍は彼女の事を知っていて、姉様と呼ぶのだ。
なんでも以前は一緒に過ごしていたと言う。
きっと白龍の神子だからだろう…その時の彼女は、小さき龍の言葉をそう理解したのだった。

夢で見た妹の正体

彼女が佐和山城の小さき龍を夢で見た頃からだろうか。
彼もまた夢を見るようになった。
しかしそれは彼女のそれとは少し違っていた。
なんと彼の夢の中では彼女が白龍なのだ。

だから毎晩うなされた。
龍の姿となり、もう彼女が戻らない夢を見続けたから。

以来白龍や神子について、熱心に調べ始めた彼。
そうして彼は確信した。
彼女は龍神の神子ではなく、龍神そのものだと。
そして彼女が龍神の力を使えば使うほど、彼女自身がどんどん龍神へと近づき、最後は人の姿を保てなくなるだろうと。

人の姿を保てなくなれば、龍神として神域に帰るほかない。
そこで悠久の時を過ごす事になれば、もう彼も八葉の皆も、彼女に会う事は叶わないのだ。

そうして彼女は忘れてしまうだろう。
彼の世界に現れ、妹として過ごした記憶も。
共に異世界へとやってきて、怨霊を浄化し世界を救った事も。
誰を愛し、誰に愛されたかも。
彼女が人だった時の名前も記憶も全部。

人とはおそらくその記憶から成り立つもの。
すなわち記憶がなくなれば、もう彼女では無くなってしまうだろう。

けれどそんな事は彼には到底耐えられるものではなかった。
だからなんとかしようと思った。
そしてなんとかするための策を考える時間を稼ぐ為にも、彼女に龍神の力を使わせる訳にはいかなかった。
だから彼は彼女を結界で閉じ込め、外に出さないようにした。

幸い龍神の力を使うと倒れてしまうことが増えていたから、彼女を休ませると言う事で、なんとか外に出さずに済んだのだ。
けれど彼女は夢の中で龍の声を聞き、その夢の中で怨霊を浄化した事があった。
すると現実の世界でも、怨霊は浄化されていたのだ。

そうそれは夢ではなかった。
彼女は本当に城に居ながら怨霊を浄化してしまったのだ。
つまり閉じ込めた所で、彼女に力を使わせない事は難しいと言う事が分かった。

だから彼は調べ物をしたいから…と彼女を元の世界に連れてゆき、彼女が眠った事を確認すると、異世界へと繋がる洞窟に術をかけ、彼女一人を元の世界に残し、自分だけ異世界へと戻った。
そうして彼女抜きであの世界を救い、必ず彼女の元へ帰ろうもと考えていた。

しかし朝目覚め、彼がいない事に気づいた彼女は、急ぎ洞窟へと向かった。
向こうの世界を救わなければと言う使命感から。
しかし彼の術を破る事が叶わない。
困ってしまった彼女だったが、城に居ながら怨霊を浄化した事を思い出した。
だから力を使ったのだ。
あの世界に私を戻して!と祈る事で。

龍となった神子

彼女の中の龍神の力は、彼女の祈りに応えてくれた。
そうして彼女は再び異世界へと戻ってきた。

一晩離れただけだったのに、戻ってきた異世界は、あの日から半年の月日が流れ、時は間もなく関ヶ原の戦いと言う時期に差し掛かっていた。

そうして岐阜城へと辿り着いた彼女に驚いた彼。
半年の月日が流れた事や、関ヶ原が近いと言う事は、そこで彼に教えて貰った。
だから危ないから、どうか城に留まって欲しいと言われた彼女は、岐阜城に籠る日々を送る事に。

彼はと言えば織田の軍配者となり、三成とともに戦う事に。
その為何度も平島を訪ね、佐和山城へと足を運んでいた。
相変わらず誰も入れないそこに、なぜか彼は入ることが出来、そこを訪ねては小さき龍に話しかけていた。
いや、話しかけると言うよりは、頼み事をしていたのかもしれない。

早く大きくなって、代替わりをして欲しい。
君が白龍となってくれれば、彼女はその任から解放されて人でいられるから。

それが彼の願いだったから。

そう、あの小さき龍は彼の予想では新たな白龍候補。
だから立派に育ち、この子が白龍を継いでくれれば、彼女には龍神としての任務はなくなる。
つまり自由になれるのだ。

しかし開戦した関ヶ原の戦いで、怨霊が現れた事で、状況が変わってしまう事に。
現れた怨霊は徳川の兵を狙い、何故か三成達の兵を襲っては来なかった。
だからと言って、戦に怨霊を使うなんて放って置けない。
城から戦の様子を眺めていた彼女は、そのままそこで怨霊を浄化しようと力を使った。

強い力は、ついに彼女を龍の姿へと変え、そしてあたり一体の怨霊は、彼女の力にはより見事浄化されたのだった。

忘れていても恋しい人

見事怨霊を浄化した彼女だったが、その力のせいで彼女は人としての姿を失った。
龍に変じて、そのまま彼女は神域へと飛び去った。

辿り着いた神域には、水鏡があった。
そこには人の世界が映し出されていた。
中でも彼女は一人の青年がお気に入りで、いつもその青年の姿を眺めていた。

お気に入りで眺めているのに、彼女には彼が誰なのか分からない。
あの人は誰?
彼女のそばにいた小龍に尋ねる。
姉様と縁の深いものです」そう教えてくれるけれど、彼女にはそれが全く思い出せない。

そして水鏡の中の彼は、彼女が人だった時の名を呼ぶ。
とても愛おしそうに。
だから気になってまた小龍に尋ねた。
あの人は何と言っているの?」と。
あれは姉様が人の姿の時の名前です」小龍はそう教えてくれるけど、彼女はそれを思い出せない。
だから彼が何と呼んだのか、理解する事が出来ないのだ。

それでも彼に名を呼ばれたい彼女は「私の名は?」そう小龍に尋ねる。
白龍や龍神と呼ばれ、個々の名前はありません」と言われてがっかりしてしまう。
そうなの?じゃあ、彼に名前を呼んで貰えないのね」と。

彼との関係を思い出せない。
人としての記憶が殆どなくなっている彼女。
それでも彼が気になる。
彼に名を呼ばれたいと思ってしまう。

忘れていても恋しい人。
思い出せなくても会いたい人。
だから名前を呼ばれたい。
人としての名前を忘れ、記憶を失った彼女だけれど、心がそれを求めている。

もう一度人の姿で

彼女を失ったままでは居られない。
だから彼は様々な方法を調べた。
なんとしても彼女を人として取り戻す為に。

そうして一つだけ可能性のある方法を見つけた。
それは神を召喚する術で彼女を召喚すると言う方法。
相手が神である以上危険な術であるし、成功する保証もない。
それでも彼はやりたかった。
わずかな可能性だとしても、このまま諦めたくはなかったから。

術を行うに辺り八葉全員の力を借りる事に。
彼らなら彼女との絆が深いから。
そして八葉全員を伴い、彼は竹生島へと向かった。

彼が術を発動すると、彼女は術に召喚され人間の世界へ。
けれどまだ龍神のまま。
彼は龍神を召喚したいのではない。
彼女を取り戻したいのだ。

一方突然召喚されて驚く彼女はと言えば、集まる彼らを眺めある事を思い出した。
それは以前彼に貰ったお守りだった。
今も大事に持っているそれに、彼女の記憶は蘇った。
これは一度だけお前がどこに行っても、呼び戻す事が出来るお守りだよ
彼女にお守りを渡す時に、彼は確かにそう言っていた。

その言葉の通り、人間の世界に呼び戻された彼女は、お守りに助けられ人としての記憶を取り戻し、再び人としてこの地に降り立った。
彼女が戻った事に喜んでくれた八葉達に、彼女は自分が龍神である事を打ち明けた。
そして皆のお陰で戻れたと。

彼女を取り戻した彼らだったが、時は関ヶ原へと向かいつつあるこの世界で、再会を楽しんでばかりも居られない。
まもなく行われる小牧長久手の戦いで、三成は前線の小牧城で戦う事になった。
前回彼女を龍神へと変えたあの戦で、三成が怨霊を使ったと噂されていたからだ。
今回最前線で戦う事で、その噂を払拭したかったのだ。

それでも彼らは案じていた。
再び戦の最中に怨霊が現れる事を。
だから戦場に現れた怨霊を全て彼らの元に召喚し、そこで自分たちが浄化する事を決めた。
そうして三成が陣を敷く小牧城近くで待機する事にしたのだ。

一度龍神となり全てを忘れた彼女にとって、怨霊を浄化する事は怖い事だ。
それでも彼女は使命を果たす。
この世界を守る為に。
けれど彼女は一人ではない。
例え神域に行こうとも、彼女を呼び戻してくれる大切な人や、深い絆で結ばれた仲間達がいてくれるのだ。

双子の再会

自分たちが怨霊を浄化する…と召喚して戦い始めた彼ら。
しかし怨霊の数があまりにも多く、浄化をしてもきりがない。
彼女が龍に変じれば、きっと簡単に片付くだろう事は容易に想像出来た。
それでも彼女は人として戦いたかった。

本当は怖かったのだ。
一度龍神となりすべてを忘れてしまいそうになった。
決して忘れないと思っていた大切な人や仲間たちの事までも。
だから今回の戦で怨霊を浄化するに辺り、彼女は不安を抱えていたのだ。

そんな彼女の不安を察した彼は、彼女におまじないをしてくれた。
二人で話をし、彼女の不安を聞いた上で、花で作った指輪に術をかけ、まるで本物の指輪のように作った彼が言ったのだ。
これは万が一龍なったとしても、また戻って来られるおまじないなのだと。

それでも彼女は人として戦いたかった。
龍神でありながらも、人として生きた時間を思い出を大切に思っているから、
もし選べるのなら、人として生きたいと思っているのだろう。

そんな彼女たちの元に、三成が駆けつけた。
彼もまた術を駆使して、皆に参戦。
互いに力を合わせる事で、無事にすべての怨霊を浄化する事に成功した。

この時、初めて三成と顔を合わせた彼は驚いていた。
なぜなら三成の面立ちはよく知る自分にとても良く似ていたからだ。
それは彼がこの世界に来てからずっと探していた双子の兄の三鶴だった。

あの日彼女と入れ替わってこちらの世界に来てしまった三鶴は、三成として育ち、この世界で長き時を生き、今や双子なのに彼よりも年上になっていたのだ。

そうして怨霊の件に関して、佐和山城にまで怨霊が現れて困っているのだから…という話をした所、三成はそれを知らされていない事が判明。
そうして彼らは気づいてしまった。
この怨霊騒動は平島が黒幕で、あの時の佐和山の怨霊事件も、平島による自作自演だったのだと。

そうして関ヶ原の戦いは終結。
彼らの知る歴史通り、東軍の勝利となった。
しかし織田家は彼女たちを中心に、戦の最中に現れた怨霊を浄化。
敵味方関係なく、怨霊から皆を守った功績を考慮され、城を明け渡す事になったものの、秀信も処断される事はなかった。

一方西軍を率いていた三成はと言えば、敗軍の将である。
当然処断されるべき立場だ。
三成が彼の双子の兄であると知った皆は、三成の処遇を案じていた。
所が当の三成は行方知れずになっていたのだ。
やっと再会出来たというのに。
行方は分からない上に、見つかればおそらく命がないなんて。

当然三鶴も知っていた。
石田三成が関ヶ原の後にどうなるのかを。
それでも三鶴は三成でいる事をやめなかった。
秀吉に受けた恩を返したいと。

龍の力で時空を超える

皆が行方知れずとなった三成を案じていた頃、彼は彼で三成の行方を探していた。
きっと皆の力を借りる事が出来れば仕事も早かったろう。
けれど三成の立場を考えると、皆を不用意に巻き込むわけには行かないと思ったのだろう。
そうして彼は自分の力で三成の居場所を突き止めたのだった。

彼は一人、三成に会いに行こうとしていた。
彼女にすら知らせずに。
それもまた彼女を巻き込みたくないとの配慮からだった。
それでも彼女は行くと言う。
自分も天野家の家族だから…と。

たどり着いたそこでは三成は生きさらしにされ、家康の部下に見張られていた。
なんとかして助け出したくても、ワープでも出来なければとても助ける事など不可能だった。
ワープの術でも使えれば助けられるのに」とつぶやく彼に、彼女は気づいてしまった。
自分ならワープ出来ると。

そう、彼女は龍神そのもの。
その力を開放し、龍神の姿となれば、時空を超える事だって可能にしてしまう存在なのだ。

だから彼女は迷わなかった。
目の前の家族を助ける力を持っているのなら、使わないなんてあり得ないと。
何より彼がおまじないをしてくれたから。
指にあの指輪があれば、きっと何があっても大丈夫と思えたから。

そうして彼女は龍の姿となり、生きさらしにされている三成を連れ、自分たちの居た元の世界まで時空を超えた。

無事に三成を元の世界に連れて帰る事の出来た二人。
けれど三成は佐和山の小さき龍が心配だと言う。
結界を張ってはいるものの、平島に手を出されていたら…と案じていた。
今三成が向こうの世界に戻る事は大変な危険を伴う。
だから二人は、自分たちが助けると三成に約束した。

そうして再び異世界へと戻った二人は、佐和山の城から小さき龍を無事救出。
そうして竹生島へ連れて行った。
しかしすでに小さき龍は呪詛をかけられていた。
龍を助けるため、平島と戦う彼らは無事に平島に勝利。
すると彼らに心を打たれたのだろうか?
平島が三成に変わり出頭すると言ってくれたのだ。
佐和山城の城代として、私が出頭しましょう…と。

三成を裏切っていた平島だったが、こうして最後は三成の代わりになる事で、恩を返そうとしたのかもしれない。

これからは人として

彼女と八葉の活躍により、無事に呪詛から開放された小さき龍。
すると竹生島の清らかな水と、彼らが龍脈を整えた事が影響したのだろう。
あんなに小さかった龍が、彼女が龍に変じた時と同じ、立派な龍の姿を見せた。

そうして以前から彼に「早く大きくなって、君が龍神になっておくれ」と何度も願いをかけられていた事もあり、「もう十分に力を得られました。今なら姉様と代替わりも来ましょう」と言ってくれたのだ。

一度龍の姿となり、神域で過ごした時に感じた焦燥感。
きっとあれは彼女の心の深い所までもが、人である事を求めている証拠だろう。
だから彼女は小さき龍に願った。
私は人として生きていきたい」と。

そうして彼女から立派に成長した小龍へと龍神の力は受け継がれた。
これでもう彼女は龍神でも、龍神の神子でもない。
普通の女子高生として生きる事が出来るのだ。

だから彼女は元の令和の世界を選んだ。
大和はここに残り剣を極めると言うが、彼女と彼は自分たちの生きる世界は、元の世界だ…と、帰る事を決意した。

二人が帰って数年は、三成は三鶴として彼らと共に過ごしていた。
けれど秀吉に託された淀達の事が気になったのだろう。
彼にとっては、人生の大部分を過ごした異世界の方が、故郷と呼ぶにふさわしい場所なのかもしれない。
だから一人異世界に戻ってしまった。
生きさらしから助けた時に、こっそり彼女の背中から盗んでいた龍の鱗を使って。
彼らに置き手紙を残して。

去ってしまった三鶴だったが、手紙には「また戻る」と書き記されていた。
何より龍の鱗を数枚盗んだと書かれていたのだ。
きっと帰りだって、その鱗を使い戻って来るつもりだろう。

残された二人はといえば、今は大学生となり、恋人として平和な世界を謳歌していた。
龍神の神子としての使命だけではない。
龍神としての重い使命を背負い、あの世界を救ったのだ。
これからは何にも縛られる事なく、ただ普通の女の子として、彼と共に幸せになる事だろう。

その他のキャラのネタバレ(あらすじ)

真田幸村

阿国

佐々木大和

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