遙かなる時空の中で7【佐々木大和】

この記事は約18分で読めます。
Nintendo Switch用ソフト 
ブランド:Koei 
ジャンル:女性向け恋愛AVG 
発売日:2020年6月18日 
通常版:8,580円(税込)

KOEIさんのNintendo Switch用ソフト「遙かなる時空の中で7」で岡本信彦さん演じるキャラクター、佐々木大和の感想とネタバレをまとめました。

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キャラクター紹介

※「遙かなる時空の中で7」はコーエーテクモゲームスの作品です。
 バナーの画像はこちらからお借りしております。

CVは岡本信彦さん。
地の朱雀

現代の高校生で、主人公の幼馴染。
生まれつき強い霊力を持っていて、幼い頃から皆には見えないものが見える体質。
そのため、家族からも友達からも疎まれていつも一人ぼっち。

避難の意味で神社を訪れた彼が、目には見えないものと会話をしているのを見かけた主人公は、彼の能力をとても羨み、自分の家に招待した。
その事がキッカケで、以来幼馴染としてずっと一緒に過ごす存在に。

熱しやすく冷めやすい性格で、人から孤立しやすいタイプであったが、八葉とはぶつかり合いながらも次第に仲間として過ごせるように。

感想

大和の感想をいくつかの項目に分けてまとめました。

ビジュアルについて

一番好みでした。
こういう髪色のキャラ、昔から大好きなんです。

色の感じとか、気だるげな様子とか、最初は遙か4の那岐を思い出しました。

見た目が好みだと、プレイしてみたらそんな好きじゃない…って事は割とあるもの。
ですが、彼は期待通りに大好きなキャラとなりました。

恋人として

これは愛なのだろうか?と多少不安になりますが、渡しは大和のように一人ぼっち感のある人に大変弱いです。
他のキャラの皆さんなら、多分私が居なくても問題なく自分の居場所を見つけて生活してくれると思うんです。
でも、大和に関しては違いました。
これはときメモGSで佐伯さんに感じたあの感じを思い出しました(笑)

そう、私はこういう人を放っておけなくなるのです。
私がいないとどうなっちゃうか心配…と思う人に弱いのです。
それが愛なのかどうか?という点が、最近若干心配になって来ました(笑)

でも、多分私は大変自己肯定感が低いタイプなので、私がいないとダメなんじゃ…と思える人を支える事で、自分の存在価値を見出したい部分があるのかもしれません。

…と大和の感想と言うよりは、自己分析したみたいな形になりましたが、大和は本当に大好きです。
恋人として、ずっと傍で彼を支えられたらなって思いました。

仲間として

仲間としてダメって意味じゃないです。
ただ大和とは恋人として傍に居たいんです。

だから仲間として頼りになるのはもちろんですが、それでも恋人でいたいんです!
仲間としての距離感では、心配なんですよね(笑)

最後に…

彼の最後の決断。
それは彼のシナリオに限った事ではありませんでした。
だから彼を選ぼうが選ばまいが、結局彼は同じ道をたどるわけです。

それでも、そこに至るまでの経緯と言うか。
しっかりと彼の中にあるわだかまりを解決した上で、逃げではなくその道を選んでもらうためには、どうしても主人公が必要なんですよね。

それを思うと、他の方を攻略している事が、大変申し訳ない気分になるのです。
これもまたGS2の佐伯さんの時と同じ感覚。
クリスマスに他のキャラと楽しく過ごしていると、「今頃瑛くんは珊瑚礁をおじいさんがやめるって言い出して、一人辛い夜を過ごしているんだろうな…」と、心が張り裂ける思いをしたのです(笑)
あれを思い出して、やっぱり辛くなるんですよね。

本当に大和は放っておけなくて。
ずっと傍にいたくなる人でした。
そこが最高に好みでした(笑)

ネタバレ(あらすじ)

俺の一番はお前。
だからこれからも、俺の心の変える場所でいて。

ひとりぼっち

クオーターの彼はその外見も手伝い、嫌でも目立ってしまう。
その上幼い頃から霊感も強く、人には見えない物が見えていた。
大人になれば、そういう状況にも多少器用に対処出来るだろう。
しかし幼い頃にはそれも難しかった。

だから彼はいつしかひとりぼっちになってしまった。
見えない物が見える彼を、皆異様な物を見るような目で見るからだ。

それだけでも十分辛いのに。
彼の父親は彼の話を信じてくれなかった。
見えると言っても、それを嘘だと一蹴するのだ。

彼には学校にも、家にも居場所がなかった。
どこにも居場所のない彼は、幼い頃から公園や神社で過ごしていた。
この街に引っ越して来てからも、神社に逃げ込んでいた。
そこなら誰にも見つからないから。
見えないものが見えても、誰もそんな彼を変な目で見る事はないから。

彼が逃げ込んだ神社は、彼女の家の神社だった。
そこで人には見えないものと話している彼を見つけた彼女は、とても羨ましそうに彼に声を掛けるのだ。
今まで気味悪がられた事は何度もあった。
しかし彼女のように、彼を羨望の眼差しで見たものなどいなかった。

更に彼女は彼を自分の家に招待したのだ。
彼女の話によると、兄を始めとした彼女の家族はみな彼のように人には見えないものが見えるのだと言う。
自分だけ見る事が出来ないから、見える彼が羨ましいのだと。

そうして半ば無理やり家に連れて行かれた彼は、そこで彼女に兄の五月を紹介された。
それがキッカケで彼らは幼馴染として、高校生になった今も親しい仲となった。

高校生になった彼はと言えば、相変わらずクオーターの外見はとても目立つのに、誰とも親しくなろうとしない。
今なら多少はうまくやれるだろうに、「お前ら二人だけで友達は十分だ」と、彼女と五月以外と深く関わろうとはしなかった。

剣との出会い

唯一の家族である父親ともうまく行かず、彼女たちのそば以外に居場所のなかった彼。
だから龍神の神子として異世界に行くという彼女に、迷わずついていった。
お前らが行くなら、当然俺も行く」と。

たどり着いた異世界は、彼の世界で見た数など比にならないほど数多くの怨霊で溢れていた。
この異世界の怨霊を浄化する事で自分たちの世界を救う事を目的としてやってきた彼らは、当然ここで怨霊と戦う事となった。
しかし彼には何もなかった。

彼女は元々部活バカな所があり、薙刀の稽古に励んでいた。
だから怨霊と対峙した時も、迷いもなく自分の薙刀を使い戦いを挑んでいた。
兄の五月にしても、家が神社で両親がゴーストバスターのような仕事をしているからか、陰陽の術に長けていたため、術を使い対処する事が出来た。
そうして彼らの世界に紛れ込んで来た事で知り合った幸村達は皆、元々この異世界で怨霊と戦っていたのだ。

彼だけが何もなかった。
それでも付いてきたのだから、何もしないわけに行かない。
そんな困っている彼に、長政が剣を渡した。
自分から選んだわけじゃない。
ただ渡されたからとっさに使ったに過ぎなかった。

けれど初めて使うとは思えないほど見事に、彼は剣を使い怨霊と戦って見せたのだ。
それでもその時はそれだけの事だった。
剣しかなかったから使ったという程度。

けれど八葉として、何度も剣を振るうようになったある時、武蔵が彼に勝負を挑んだ。
彼の剣の腕を認めたからだ。
そうして手合わせをして、武蔵に勝った時から彼の中で何かが変わった。
いや、何かが生まれたのかもしれない。

そうして剣に対して、彼なりに何かを感じて以来、彼は剣術の鍛錬をするようになったのだ。
いつも部活に励む彼女を馬鹿にして見ていた彼がだ。

当然昔の彼を知っている彼女は驚いたものの、何事にも熱しやすく冷めやすい彼が、珍しく一つのことに取り組む姿を微笑ましく思っているようだった。

そうして稽古に励む彼の様子を八葉の仲間が見に来る事に、最初は抵抗していたものの、次第に仲間とも打ち解けられるように。
それは彼女の言葉がキッカケだった。

ただ闇雲に強さを求めていた彼に、「何のために強くなりたいの?」と尋ねた彼女。
力で認めされる」と、居場所がなかった彼は、力を示す事で自分の居場所を勝ち取るとでもいうように答えた事があった。
その時彼女が教えてくれた。
みんな力で認めさせなくても、もう大和を仲間として認めてくれているよ…と。

その言葉が心にストンと落ちた時、彼にもようやく理解出来たのだ。
自分の周りには仲間が居て、ここはもう自分の居場所になっているという事が。

どこにも居場所がない

次第に仲間とも打ち解けて来た彼。
けれど彼は人一倍感受性が強かった。
だから何も悪さをしない怨霊がいれば、元の世界でそうしていたように、普通に怨霊とも話をしてしまう。

しかしこの世界は元の世界とは違っていた。
怨霊は存在するだけで龍脈を穢すから、悪とみなされてしまうのだ。
何もしていないのに。
ただそこにいるだけなのに。

感受性の強い彼にとって、それは納得の出来ない事だった。
どうしても何もしていないのに排除される怨霊が、居場所のなかった自分と重なってしまうのだ。
何も悪い事などしていないのに、冷たい目で見られていた幼少期の自分と、何も悪い事などしていないのに排除される怨霊が、同じに思えてしまったのだ。

そんな怨霊に対する考え方の違いに、時折他の八葉と揉めていた彼を見たつばきが、彼の中に闇があり瘴気に変わろうとしている…と案じる言葉を。
その言葉を聞き、皆も彼を案じてるように。

それでも何事もなく、彼も八葉としての使命を果たし、怨霊を浄化する日々。
そして富士の峰で龍脈を正し、元の世界に戻る道を失った彼らは、彼女の甥の秀信の元で生活を始めた。
もう使命を終えたと思っていた彼らだったが、再び怨霊が現れるようになったのだ。
その怪異の原因を探るため、一度元の世界に戻ることに。

ずっと彼が父親に何も告げずに来てしまった事を案じていた彼女は、この機会になんとか彼を一度実家に帰らせようと、漫画が読みたいと嘘のお願いをした。
彼女の希望に答えるべく、漫画を取りに家に戻った彼は、そこで衝撃の出来事に遭遇したのだ。

なんと実家に戻ると知らない子供が居て、彼の父親をパパと呼んでいた。
父は再婚相手の子供を彼と暮らした家に連れて来ており、住宅情報誌を渡し彼に家を出て行くように言ったのだ。

こんな世界に未練はないから、向こうで暮せばいいと思ってはいた。
けれどこうして自分の家だと思っていた場所を奪われ、追い出された事は、大きな衝撃を与えた。
あぁ、この世界には、本当に俺の居場所なんてないんだ…と。

そんなモヤモヤした気持ちを振り払うべく、異世界に戻った彼は鍛錬に励んだ。
嫌な事を忘れたくて、夢中で。
そうしてついに心の闇は大きくなり、彼は瘴気に飲み込まれてしまった。

運命の剣

瘴気に飲まれ暴走してしまった彼だったが、彼女の平手打ちで正気に戻った。
しかし剣の鍛錬で起こった現象だった事から、彼は剣を奪われることになってしまった。
ただ嫌な事を忘れたくて、モヤモヤする思いを振り払いたかっただけなのに。
その術を奪われてしまったのだ。

そんな彼の中の闇に気づいたのは、彼らと敵対関係にある鬼のターラだった。
ターラは鬼である自分たちを虐げた人間に復讐するために、龍神の力を欲していた。
だから神子である彼女を狙っていたが、彼の闇に気づくやいなや、ターゲットを彼女から彼に変更したのだ。

そんなターラの策略により、あやめが攫われ神子と八葉は揃ってあやめを探すことに。
つばきの占いから、あやめの居場所は京であると分かり、京で鬼が隠れやすい場所は…と推測した結果、鞍馬を探す事になった。

たどり着いた鞍馬には結界が張られ、彼女の神子の力で結界を破ると洞窟を発見。
きっとその中にあやめがいるだろう…と思った彼女たち一行は、迷わず洞窟へと足を踏み入れた。
進む先々で怨霊と遭遇、皆で対処していてはあやめの発見が遅れてしまう。
だから八葉はそれぞれ彼と彼女を先に進ませるため、怨霊は自分たちにまかせろ!と戦いを引き受けてくれたのだ。
本当なら、彼だって八葉の一人。
彼らと同じように、怨霊を任される立場だ。
けれど剣を奪われた今、それが叶わない事が、なんとも歯がゆかった。

そうして皆の協力により、二人はあやめを発見。
しかしそこで怨霊が現れた。
すでに二人になってから、戦えない彼の代わりに、すべての怨霊に彼女一人で対処してきた。
もう彼女も体力の限界だった。

だから彼はあやめを背負い彼女を連れて走る事にした。
戦えない自分に出来る事、それは二人を連れて逃げる事だけだ…と思ったから。
けれどそう怨霊たちはそう簡単に彼らを逃してはくれなかった。

そうしてたどり着いた洞窟の奥には、剣を祀った祠があった。
まるで彼に使ってくれと言わんばかりの剣。
しかし彼は剣を禁じられている。
再び瘴気に飲まれるといけないからと。
それでももう彼女もやっと薙刀を振るう事が出来るという状態。
彼がなんとかしなければならなかった。

しばし逡巡するも、彼女が薙刀を落とし、絶体絶命のピンチになった時、彼は迷わず祠の剣を抜いた。
そうして自らの意思で怨霊と戦ったのだ。

初めて手にしたそれは、まるで昔から馴染みのある剣のように、彼の手にしっかりと馴染んだ。
以前鍛冶屋の親父さんが、彼には運命の剣があるのかもしれない…と言っていた事があったが、これがその剣なのかもしれない。
その証拠に、彼は剣を握っても、全く瘴気に飲まれる気配はなかったのだ。

生命力を喰らう妖刀

あやめ救出の日以来、彼も怨霊浄化の戦線へと復帰。
あの日の活躍が認められ、もう剣を振るってもいいと、皆から認めてもらえたのだ。
あの日久しぶりに触れた剣は、やはり心地よくて、心底自分には剣が合っているのだと実感した彼。

そうして再び彼らの日常が戻ったかのように見えたが、少しずつ異変が起き始めたのだ。
皆で怨霊を浄化に出かけて戻ると、今まで感じた事のない疲労感に皆が襲われた。
夕餉も食べられないほど疲労の色を濃く見せる仲間たち。
そんな中、なぜか彼一人が全く疲れを知らなかった。
一体何が起こっているのだろう?

そんな日が続き、ついには怨霊を浄化した後、皆は屋敷に戻れない程弱ってしまった。
そんな時、ターラが彼の前に現れた。
そうして彼に言うのだ。
彼が手にしたその剣は妖刀だと。
そしてその剣の持つ闇と彼の中の闇はとても似た性質を持っているのだと。
互いに似た性質を持つから、まるで運命のように惹かれ合った彼と妖刀。
しかもその妖刀は人の生命力を喰らうと言うのだ。

つまり最近皆の消耗激しい理由は、彼が妖刀を持っているからだったのだ。
知らぬ間に彼らは妖刀に、生命力を奪われていたのだった。

ターラの言葉に大きなショックを受ける彼。
だって「運命の剣に出会ったんだ!俺を待っていたんだ」と浮かれていたのだ。
運命の剣と呼んだそれが、皆の命を脅かしているとも知らずに。
なんと滑稽なのだろうか?

だから彼はその剣を捨てる事を決意。
これさえなくなれば、皆が苦しむ事はないから。

そうして皆に事情を話、一人剣を捨ててくると出かけた彼だったが、その妖刀を捨てる事は叶わなかった。
何度も何度も捨てたのに、気づくと彼の元に戻って来てしまうのだ。

このまま自分が皆のそばに居たら、仲間の、彼女の命を危険に晒す。
皆の生命力のすべてを奪おうとする剣だから。

ならば彼女を守るために自分に出来る事は一つしかない。
皆の元を離れる事だ。

やっと見つけた自分の居場所だった。
皆が彼を仲間として受け入れてくれた場所だった。
そして何より、彼にそれを教えてくれた大切な彼女がいる場所だ。

だから離れたくなんてなかった
手放したくなんてなかった
それでも離れる事でしか、皆を彼女を守る事が出来ないから。
何も言わずに彼は皆の元を離れたのだった。

妖刀の祝福

一定の距離を保たなければ、彼女や皆の生命力を奪ってしまう。
だから彼は、皆から離れたものの、彼女が心配で離れた場所からいつも見守っていた。
彼女が危険な目にあえば、正体がばれないように…と、彼女に頭からすっぽりと布をかぶせて助けたりしながら。

彼本人は全くバレてないつもりだったが、彼女はすぐに彼だと気づいた。
そしてずっと付かず離れずの距離で、自分たちを見守ってくれていると理解した。

近くに彼を感じながらも、その姿を見る事が叶わない日々。
それでも彼女が危険になれば、正体を隠しながら助けてくれる彼だから。
彼女はある作戦を考えた。
どうしても彼に会いたくて。
会って話をしたくて。

屋敷を夜にこっそりと抜け出した彼女は、夜の街を一人歩く。
そうして怨霊が現れれば、きっと大和は助けてくれる!と信じていたから。

彼女の予想は見事的中し、彼女が怨霊に襲われた時、やはり以前のように彼女を助けた彼。
しかしすぐに彼女の前から姿を消そうとするから、彼女はそんな彼を必死に捕まえたのだ。
だって約束したのだ。
決して大和を一人にしない…と。
それに何より、彼女自身が彼の傍に居たかったから。

彼女の決死の覚悟を知り、諦めた彼。
だから彼は元の世界に帰った時、彼に起こった出来事を話した。
彼自身が気づいていたのだ。
自分が瘴気に飲まれた原因は、あの事件がキッカケだと。
それは自分の心の弱さからくるものだと。

そうして彼女にすべてを話した彼は、お前の元に、みんなの元に帰りたいから、山に困って自分の弱さと向かい合ってくるよ…と告げた。
そうする事で、自分の中から闇が消えれば、妖刀と波長が合う事もなくなり、きっと手放せるはずだから。

そうして翌日から、彼は山ごもりを始めた。
本当は一人かっこよく山ごもりをする予定だった。
しかし彼の事を応援するという彼女は、差し入れを持って彼に会いにやってきた。

もちろん触れてしまう程近くには居られない。
妖刀の影響を受けてしまうから。
だから一定の距離を保ち、話をするのだ。

そんな時は必ず八葉の誰かも付いてきて、同じ山で少し離れて鍛錬をしていた。
そう、皆が彼を待っている。
皆が彼を応援している。
そして皆が彼を信じているのだ。
きっと妖刀に勝って、戻って来ると。

そんな八葉の仲間や、彼女の気持ちを強く感じた彼。
そうか俺はもうひとりじゃないんだ。
そう実感する事が出来た。
幼い頃からひとりぼっちの寂しかった自分は、もうここにはいない…と。

するとそんな彼の思いを通して、同じ孤独を持っている妖刀が、彼に語りかけて来た。
どうして妖刀になってしまったのか。
どんなに寂しかったのかを。

そして彼を通し人の温もりを知った妖刀は、彼に祝福を与え、妖刀ではなく彼の運命の刀に生まれ変わったのだ。

分かり合う父子

妖刀に祝福の力を授かった彼は、彼女を伴い元の世界へ。
自分なりに弱さに向き合えたから、父とも話す決意をしたのだ。

突然の彼の訪問に驚いた父。
そんな父に「もう家には戻らない。俺は異世界で暮らす」と告げた彼。

当然そんな突飛な話を信じる者など居ない。
彼の父も、息子の突然の発言をやはり受け入れる事は出来なかった。
けれど彼は嘘などついていない。
それは子供の頃からずっと。

だから父に伝えたのだ。
子供の頃の幽霊の話も、今言った異世界の話も、俺は一度も嘘は言ってないと。
そうしてこの街に怨霊が現れた事。
それは異世界からやって来たものだという事。
その怨霊を浄化する力が彼女にある事。
そうして戦国時代によく似た異世界で戦い、沢山の仲間が出来た事。
自分は剣士に向いているようだから、これからは異世界で剣の道を極める事などを話した。

そんな息子の話を黙って聞いていた父は、「信じられない」とは言ったものの、「どうせ和風な名前にするのなら、ライバルが武蔵なんだから小次郎とつけておけばよかったな」と笑ったのだ。
そうして向こうに戻る息子に「長政や幸村にもよろしくな」と。

傍で聞いていた彼女は思った。
二人は間違いなく父子だと。
そしてそっくりだと。
素直になれない不器用な優しさは、父子揃ってよく似ていた。

これで彼はもう瘴気に飲まれる事はないだろう。
だって彼の中の闇は、彼が自分の力で消し去ったから。
仲間を信じ、過去に向き合う事で。
そうして異世界へと戻ると、彼が居場所だと信じた仲間たちは、彼を暖かく迎えてくれた。

やっと八葉全員が揃う事となった矢先、時は関ヶ原の戦いを迎える時期に。
戦が近づき、彼らの周りも騒がしくなってきた。
そして幸村、長政、武蔵、兼続はそれぞれの城へと戻った。

そう、八葉の使命があるから共に過ごしていた彼らだが、一度戦となれば、東軍と西軍に分かれ戦う運命にあったのだ。

残されたメンバーは、龍脈の乱れた原因を探る事に。
そうして調査を続ける中、ターラとカピタンが戦の騒ぎに乗じて、何かを企んでいる事を掴んだ。
だから彼らはそれほ阻止するために動くことに。

父のくれたもう一つの名

ターラとカピタンの消息を掴み、彼らがターラを見つけた時には、ターラは一人だった。
カピタンはどうしたのか?と尋ねると、何でもターラがカピタンの宝を盗んだ事で決別したと言うのだ。
そうしてターラは、「ずっと一人だったから、一人の方がいい」と強がる。
そんなターラの様子に、彼は昔の自分を見ているように感じた。

強がっているターラだったが、本当はカピタンを信じていたのかもしれない。
だからカピタンから盗んだ宝から西洋の怨霊が出た時、裏切られた事を実感した事が原因だろう。
ターラは以前の彼と同じように、瘴気に飲まれてしまったのだ。

そう、ターラも彼と同じ。
鬼だと迫害された事で、居場所を失った。
ただ生きていたかっただけなのに、鬼というだけでどこにも居場所がない。
それはまるで昔の彼と同じだった。

だから彼はターラを救いたいと思った。
そして同じ思いの彼女たちと力を合わせ、ターラの瘴気を浄化。
ターラ自身に戻ったものの、それでも彼らの言葉に素直になれないターラと再び刃を交えた。

結果は彼らの勝利となったが、まだ彼らの言葉に耳を貸さない。
そんなターラに彼は一騎打ちを申し込んだ。
俺の名は小次郎。令和の世を捨て、この乱世を選んだ剣士」と名乗りを上げて。

そう、小次郎の名は父が先日つぶやいた名前。
もう一度彼に名付けてくれたもの。
父が再び名付けてくれた小次郎の名は、今の彼にとても良く馴染んだ。

そうして彼が一騎打ちに勝利した直後、彼女の元にカピタンが現れた。
ターラが盗んだと言っていたカピタンの宝は、元々ターラに贈ろうと思っていたもので、自分と同じ境遇であるターラだから分かり合えると思っていたそうだ。
だから結婚して欲しいと、突然のプロポーズ。

驚く一同だったが、一騎打の際に彼がターラに語った言葉に心を動かされたのか、カピタンへの返事は保留としたものの、やり直して今度は自分ために生きる事にするとスッキリした顔で話してくれた。

俺の帰る場所

ターラ達の件が解決した後、関ヶ原の戦が起こった。
結果は彼女が学校で習った歴史の通り、徳川の勝利となった。

しかし全てが知っている通りとなったわけではない。
甥の秀信は関ヶ原の戦の最中、中立を守った事で、関ヶ原以降も大名家として存続。
そして破れた三成はといえば、処刑される事なく、どこかへ姿を消してしまった。

カピタンのプロポーズを保留にしたターラは、彼との戦いの後、鬼の隠れ里で過ごしていた。
しかし少しそこで過ごした後、ターラもまた行方をくらませてしまった。
東の島に金髪の美女がいる…と言う噂を耳にするようになったから、その美女がターラなのかもしれない。
すでにカピタンと結婚して、その島で暮らしている可能性だってあるだろう。

ターラの件を解決した事で、今度こそ間違いなく龍脈を正した彼女。
もう神子としての役目は終えた。
だからいつでも自分の世界に戻る事が出来た。

それでも彼女はこの異世界を選んだ。
それは元々この世界の住人だったからではない。
佐々木小次郎として剣の道を極める!と言う彼を見守るためだ。

一方、剣の道を極めると言った本人はと言えば、彼女に断言した通り、剣術指南の旅に出たかと思えば、今度は山ごもりで鍛錬をする…と、寝ても覚めても剣術三昧の日々。
そんな彼の様子に少し不満な彼女。

だから戻った彼に小言を言ってやるのだが、「お前の元が俺の帰る場所だから。お前がここにいるから安心してどこにでも行ける。何度でも帰って来れる」だなんて、殺し文句を言うのだ。
そんな風に言われてしまえば、悪い気はしない。
結局彼女は、また剣術に明け暮れる彼を送り出してしまうのだろう。

それでももう大丈夫。
以前は離れず傍に居ないと心配だったこともあった。
でも今はもう昔の彼じゃないから。
ちゃんと居場所を帰る場所を手にいれたから。
寄せては返す波のように、何度旅に出かけようと彼は必ず帰って来る。
たった一人愛する彼女の元に。

その他のキャラのネタバレ(あらすじ)

真田幸村

阿国

天野五月

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