シナリオ紹介
CVは石川界人さん。
流れは今までの二人と同じ。
エドワードのあの事件が起きる→学園長があれを中止する→生徒たちがあの症状になる→学園祭を迎え、白衣の男たちが…という展開。
特に違うのは、エドワードが主人公のお父さんと同じ名前の著者の脳科学の本を持っていた事から、早い段階から彼女の父について色々と出てくる所。
鏑木との最終対決の場所があの鏑木の部屋だったという所。
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感想
ハルくんの真相、凄く良かったです。
本当にかっこ良かったです。
小柄だし、そんな強そうじゃないのに、彼は私のヒーローですね。
心細い時とか、不安な時は、そういうの察して側にいてくれたり、部屋に夜中でも訪ねて来てくれたり。
どんなピンチの時も、強くなさそうなのに、全力で守ってくれて。
機転も利くし、冷静で、どんなに焦ってしまう出来事でも、彼が落ち着かせてくれるので、凄い安心して側に居られる感じですね。
何より、一緒にいる事が楽しいなって思えるタイプの素敵な人でした。
うまく言えませんが、いつも同じ目線で側にいてくれるような、そんな感じがとても心地よかったです。
ハルくんのルートでは、エピローグでエドワード先生の事も触れられてて。
そういうのも良かったです。
そしてあのギャラリーで見つけた絵だけでも、反則的に感動させられたのに、あの絵のタイトルとか、本当にズルいなって思います(笑)
ハルくん好きなら、号泣するに決まってるじゃないですか?
そして父親の事で不安な彼女の所に駆けつけてくれて、一緒に寝た時のキススチルとか、本当にときめきました。
後、教会での誓いと、そのスチルも良かったです!
好きすぎてかなり引きずりそうです。
石川さん、素敵すぎるハルくんをありがとうございました。
本当に最高にかっこ良かったです!
ネタバレ
水温み、春の季語。
春はハル。
憎まれてるとばかり思ってたのに、父さんが遺作として描いた絵に、つけてくれたタイトル。
偶然かも?ってまだ不安でつぶやく俺に、あんたは言ってくれたんだ。
「こういうのを奇跡って言うんだよ」って。
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俺の父親は画家で、小さい頃、良く話してくれたんだ。
人物画はモデルを愛さないと描けないって。
それは、父さんに人物画を描かれる事が、愛された証。
水かさの増した川で溺れた俺を助けた母さんは、川の濁流に飲まれて死んだ。
以来、父さんは俺と目も合わせてくれなくなり、ひたすらオフィーリアの絵を描き続けた。
死んだ母をモデルとして。
オフィーリアの絵に描かれたコマドリ。
マザーグースのコマドリを殺したのは誰だ?から転じて、オフィーリアを殺したのは誰だ?という意味をもたせたもの。
けど、父さんは更に転じて、母さんを殺したのは誰だ?って、そんな意味をあの絵に込めてたんだ。
そう、母を死に至らしめた俺を恨んでいた。
アルコールに溺れ、オフィーリアの絵を描いて、金をもらってはまた酒を飲む…を繰り返した父は、その後それが原因で亡くなった。
父親の死後、俺は必死で探してみたけど、父の描いた絵はすべて、母がモデルのオフィーリアばかりで、その中に一枚として、俺の絵を見つける事は出来なかった。
あぁ、やっぱり愛されていなかったんだ。
愛していないと、その人物を描けないという父だから、愛してもいない息子の絵を描く事は出来なかったんだ。
その後、俺は鏑木グループの施設に保護され、魔法の箱で地獄を見せられ、自我を失った所に、真新しい記憶を入れられた。
それは実際の俺の過去とは、似ても似つかない幸せな記憶。
そうして真実が分からないまま、俺たちは幻の幸せな記憶とともに、あの学園に入れられ、幻の時間を過ごした。
スーブに入れられた薬品。
それは魔法の箱により、深い所に閉じ込められた俺たちの本当の記憶を思い出さないための薬。
エドワード先生の事件で、学園が投薬を中止した結果、生徒を襲った離脱症状。
その中で俺を始めとして、みんなが悪夢に襲われ、そうして次第に気づき始める。
夢なのはこの学園と幸せな記憶。
悪夢の方が、自分たちの現実なんだと。
離脱症状で苦しんでいた俺たちを助けたのは、彼女がエドワード先生から受け取っていた薬だった。
この一連の事件は、理事長である鏑木が、彼女の母を手に入れたいという、そのための計画だったんだ。
彼女の母を手に入れられなかったけれど、双子の娘がいる。
彼女たちの記憶を改竄し、自分好みの女に育て結婚する…という、ひどく自分勝手な欲望が生み出した、多額の費用とたくさんの犠牲の上に行われた、光源氏計画みたいなもの。
そのために使われた俺たちは、あいつにとっては実験用の、モルモットでしかなかったんだろう。
けれどそんな鏑木の計画も、俺と彼女の想いの絆と、彼女の姉の鏑木への愛情のお陰で頓挫。
鏑木は、あいつを心から愛する、彼女の姉マリアの銃弾を受け死亡。
俺たちはあの島から無事に救出された。
本土に戻った俺は画家を目指し、修行中。
いつか絵で食べて行けるようになったら、彼女と結婚しようと思ってる。
あの日、あの事件の時に見た、ウエディングドレスの彼女に誓ったように。
そうしてその傍ら、父の絵を探していた。
父の絵があると聞いては、彼女とともに見に行くも、毎回その絵は母をモデルとした、オフィーリアの絵ばかり。
父には憎まれていたから。
口ではそう言いつつも、心の何処かで期待していたのかもしれない。
自分を描いてくれたものがあるんじゃないかと。
そうしてまた一つ絵が見つかった。
少し遠くにあるアトリエで、そこのオーナーが、自分の好みの作品ばかりを集めているというアトリエ。
いつものように彼女と連れ立った出かけた俺は、そこで衝撃的な出会いを果たす。
そのアトリエに飾られていたのは、今まで見てきた父のどの絵とも違う、とても明るくて美しいものだった。
モデルの母は、その腕に少年を抱きしめ、とても幸せそうな顔で微笑む二人。
それは父の遺作で、オーナーによると、オフィーリア以外のモデルの絵を描いた事のない作家の、とても貴重な作品なんだとか。
そうして彼はその男の子は作家とモデルの息子だろうと。
涙があふれた。
あぁ、俺は恨まれていたわけじゃなかったんだ。
妻を亡くした事で、助けられなかった自分を恨んでいた作者は、ずっとオフィーリアの絵を妻をモデル描き続けた。
自分の罪を悔いながら。
そんな作者が、遺作として、この暖かく美しい絵を残し、そこにはモデルの妻だけでなく息子も描かれているんだ。
オーナーのその言葉に、ただただ涙が止まらなかった。
すると彼女がタイトルを教えてくれたんだ。
「水温み」
それは春の季語。
ハルという意味の絵。
彼女がいたから、今こうしてここにいて、知らずに過ぎてしまうハズだった、不器用な父の愛情を見つける事ができたんだ。
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いつか、絵で食べて行けるようになったら、あんたを迎えに行くからまってて。
結婚して、子供ができたらさ、俺にも描けるかな?こんな風に愛する家族の絵を。
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