CVは花江夏樹さん。
黒の世界の住人で帽子屋を営んでいる。
彼女と歳が一番近そう…と言う理由で、白の世界に連れてこられた。
帽子屋なので裁縫が得意。
感想
凄い良かったです!
最近、あんまり乙女ゲームにときめかなくなり、歳かな?なんて思ってましたが、私の心の中の乙女は生きていてくれた(笑)
ちゃんとときめきましたし、凄い感動しました。
グッドエンドと思われるのが、白の世界バージョンと黒の世界バージョンとありました。
流れとしては白の方が綺麗でした。
が、黒のカノンの決断が凄くて、泣けたのは黒でした。
だって究極の愛じゃないですか?
と、どちらも良さがあり、どっちのエンドが好きとは言いづらい感じですが、とにかくカノン最高でした!
子供っぽいのに頼りになって、口は悪いけど面倒見が良くて。
いつも彼女を助けて守ってくれるカノン。
本当にカッコ良かったですし、花江さんの声も最高でした!
思ったよりずっと素敵な作品なので、色々な人を見たいのに、カノン好きすぎてどうしようって思ってます(笑)
花江さん、素敵なカノンをありがとうございました。
ネタバレ(ブラックエンド)
僕はただおまえの願いを叶えてやりたいんだ。
たとえそれで、おまえが僕を忘れてしまったとしても。
-----
お母様のような立派な女王になりたい。
彼女の願いはただそれだけだったのに。
幼い頃に血を飲まされ、「アリス」として覚醒してしまった事から、彼女の運命は狂わされた。
この世界の王家の人間は「アリス」の血を持っていた。
その血は特別なもので、みんながその血に従っていた。
だから、覚醒する事で国を統治しやすくはなるのだろう。
けれど同時にその血に狂う危険を孕んでいた。
歴代の女王達もその血に狂い死んでいったのだから。
そうして彼女も歴代女王と同じように、その兆候が見え始めたのだ。
だからうさぎ達はクーデターに乗じ、彼女を白の世界へと追いやった。
そうして白の世界にいるもう一人の「アリス」の血を持つ、彼女の双子の妹を黒の世界へと連れていった。
新しい女王とするために。
当然そんな事を彼女は受け入れられない。
だからうさぎ達は嘘をついた。
「これは一時的な措置です。血の暴走が収まれば、黒の世界へ戻れます」と。
何も知らない彼女は、そうして黒の世界へ連れて行かれた妹の代わりに、白の世界で生きる事に。
慣れない世界で彼女がやっていけるようにと、側近の一人のレインと兵士のジャック、そして歳が彼女と近いからと言う理由から、帽子屋の彼がともに白の世界へ。
初めは戸惑いや不安ばかりだったし、王家に恨みを持ち口の悪い彼とは、喧嘩も絶えなかった彼女だが、家庭科の課題を通し彼と親しくなった。
帽子屋を営み、裁縫が得意な彼は、不器用なの彼女を見て居られなくなったのだ。
そうして彼と家庭科室で課題をやるようになったことをキッカケとし、白の世界での友人達とも親しくなった彼女は、こちらの世界での生活を楽しめるようになって居た。
それでも思っていた。
いつか黒の世界へ帰りたいと。
そして暴走が落ち着きさえすれば、帰れると信じていた。
だって彼女は、幼い頃から、ただ母のような女王になる事だけを夢見ていたから。
ほかの生き方なんて考えた事がなかったから。
そうして彼女は知ってしまった。
自分が黒の世界を追い出された存在なのだと。
既に妹が女王になろうとしているあの世界には、彼女の居場所などない事を。
更にはアリスの血の暴走から、妹を殺害する恐れを抱かれ、殺される話まで出ていた事を。
それでも黒の世界を望む彼女。
だから彼は彼女が戻れる方法を探して見たし、何度もスノウに相談していた。
それを受けたスノウは、城の図書館で王家に関する本を読み漁り、そこで見つけてしまったのだ。
カノンの呪いを解く方法を。
そう、今でこそ彼女と絆を深め、彼女を大切にしてくれる彼だが、元々は王家を恨んでいた。
その理由が今からずっとずっと昔、その当時の女王にかけられた呪いが原因だった。
その呪いは彼の時を止め、彼はその当時のままの少年の姿で生き続けている。
もう何百年もの長い月日を。
だから本当は怖かった。
彼女との距離が近づくことが。
だってどんなに親しくなった所で、みんな彼を置いていくから。
彼だけを残して先に死んでしまうのだから。
初めこそその事が辛く悲しくあったものの、次第に自らの心を守ろうと、人に心を許さなくなり、誰が居なくなろうが「そんなものだ」「仕方がない」と言い聞かせ、次第に悲しみの感覚は麻痺して行った。
そんな彼に悲しみや寂しさを思い出させたのが彼女だった。
初めはワガママで何も出来ない彼女と対立ばかりして居たものの、言いたいことを言い合える関係は徐々に心地よくなり、気づいたら一番近くに彼女が居た。
どんな真実を知っても、黒の世界に戻る事を諦めない強さに惹かれて行った。
なのに運命は残酷だった。
彼の呪いを解く方法は、呪いをかけた女王から数えて43代目の女王を殺す事だったのだ。
そしてその43代目の女王が、よりによって彼女だった。
その事実をもう一人の側近のレインから知らされた時、二人はもう互いを誰よりも大切に思っていたのだ。
けれど黒の世界にとっては都合のいい事だった。
彼女の存在は、最早黒の世界にとって脅威でしかなかったから、呪いを解くためと彼が彼女の命を奪ってくれれば、世界は安泰だったから。
だから彼に決断させたくて、レインは彼の部屋の引き出しに銃を入れておいた。
いつでも彼女を殺せるように…と。
ずっと呪いを解く事だけを願って生きてきた。
死ねない体がとても辛かった。
だから願ってもないチャンスだった。
なのに決められなかった。
彼女を大切に思ってしまったから。
けれど平気なんだろうか?
こんなにも大切に思ってしまった彼が、彼女に置いていかれても。
そしてその後も永遠に彼女を失った悲しみを抱えながら生きて行く事が。
呪いが解ければ、彼女を失ったとしても、彼自身もその人生を終える事が出来るのに。
だから迷ってしまった。
チャンスは次の女王が即位するまで。
新しい女王が即位したら、彼女が43代目として呪いに認められなくなり、彼の呪いは永遠に解けなくなってしまうのだ。
そうして彼は悩んだ末に決意した。
彼女を殺す事を。
新女王の即位の前の晩、彼は彼女を呼び出した。
学校の屋上に。
そこに現れた彼女は、二人で作った課題のワンピースを持って来たのだ。
後半、彼が彼女を避けてしまったため、彼女は一人それを仕上げた。
彼との大切な思い出だからと。
殺される前に仕上げたいと。
そう、彼女は決意していた。
自分が生きている事が、自分の大切な黒の世界を脅かす事になるのなら、愛する人の幸せのために死のう…と。
そうする事で、彼女は女王として女王のままその生涯を終える事が出来ると思ったから。
けれど彼は出来なかった。
目の前に彼女が現れたら、決心が揺らいでしまった。
自分の呪いが解けたとしても、彼女のいない世界なんて、意味がないと思えたから。
そうして共に生きようと誓い合った二人。
彼女の時間は彼の人生の中ので僅かな時間に過ぎないけれど、それでも命ある限り、彼とともにありたいと願った。
そうして結ばれた二人は、白の世界で恋人として楽しい時を過ごしていた。
気持ちを確認しあってから、彼女への想いを増した彼は、どうしても彼女の願いを叶えたいと思った。
だから再びスノウに相談したのだ。
「あいつの血の暴走が収まれば、黒の世界へ帰る事は出来ないのか?」と。
答えは「出来るかもしれない」と言うものだった。
そしてスノウは昔話を聞かせてくれた。
ずっと側にいて彼女を見て来たから、幼い日に血を飲まされ、アリスとして覚醒してしまった日の事を悔やんでいると。
だから彼は思った。
その血を飲む前の状態に彼女を戻せたらいいのでは?と。
彼には時を戻す魔法が使えた。
けれどそれはほんの5秒程度のものだった。
なのに、彼女の血を飲んで以降、魔法の力が強くなり、もっと長い時間を戻せるようになった。
だからもっと彼女の血を飲めば、彼女が血を飲まされる前の状態に戻せるのでは?と。
そうして彼女の首筋に口づけ歯を立てて血を飲み、彼女の時間を巻き戻し赤ん坊に変えた。
当然彼女は忘れてしまう。
彼とともに過ごした時間も、彼を愛している気持ちも。
けれどそれでも構わなかった。
それで彼女が黒の世界で生きられるのならば。
あれから16年の月日が流れた。
彼女は双子の妹の妹として城に居た。
現在の女王は、姉と教えられた今では16歳年上になってしまった妹で、彼女はその女王の補佐をしていた。
仕事は毎日忙しくても、女王の補佐はとてもやりがいがあり、彼女はそれを楽しんでいたのだ。
そんなある日、彼女に謁見したいと申し出た者が。
それは街の帽子屋で、カノンと言う名前だった。
謁見の際、何か違和感を覚えるものの、彼女は彼を思い出さない。
そんな彼女に、彼はあの日学校の課題で二人で作ったワンピースを献上した。
そのワンピースを見た途端、彼女の中に記憶が溢れ出した。
彼との出会い、過ごした時間、そして自分の為に彼が無理して魔法を使った事も。
やっと再会を果たした二人。
今度は黒の世界で愛を育んでいく事だろう。
-----☆★☆-----
ホワイトエンドは、彼女が白の世界に残る事を決意したエンド。
彼とともに白の世界で過ごすある日、彼の身長が伸びている事に気付いた彼女。
どうやら黒の世界の理は、白の世界では通じないらしく、白の世界に長く留まった事で呪いが解けたようだった。
こんな風に解けるのなら、もっと早く気付くべきだったわね。
そんな彼女の言葉に、彼は答えた。
今まで気づかなくてよかった。
お陰でおまえに会えるこの時まで生きて来られたんだから。
きっとこの呪いは、おまえに会う為にかけられたものなんだ…と。
そうして呪いから解放された彼は、高校在学中に若手天才デザイナーとして有名になり、スポンサーもつき、卒業後は彼女と帽子屋を営んでいる。
いる場所は白の世界だけど、もう呪いに縛られることもなく、愛する人と共に過ごし、共に年老いていける幸せを噛み締めていた。
…というようなお話。
スポンサーリンク