剣が君 百夜綴り【螢】山吹の書:文にしたためた想い

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剣が君 百夜綴り 通常版 - PS Vita

シナリオ紹介

CVはKENNさん。
鬼族である事を隠し、江戸で暮らす十手持ち。

彼女が、彼が鬼でも変わらず受け入れてくれたから、彼女の父に認めて貰おうと山吹を探しに山に行くが、持ち帰る事は出来なかった。
江戸では鬼への風当たりが強くなり、彼もついに吉備国へ帰る事に。

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感想

彼と離れ離れなわけじゃない。
でも幸せとは言い難い過酷な状況。

幸せかどうかは、誰かが決める事ではなく、当人たちがどう感じるかで決まるもの。
だから私が見ては辛い状況に思えるそれも、二人にとっては共にあるだけでも幸せなのかも知れない。

まずは二人が共にある事から始めて、いつか江戸が日の本が、鬼も人も区別なく受け入れてくれる場所になるといいなぁ…と思わずにはいられないお話でした。

そんな状況ながらも、彼の彼女への消すことのできない強い想いはよく描かれていて。
そう言う意味でも、彼の想いを確認出来て嬉しかったです。

KENNさん、素敵な螢さんをありがとうございました。

ネタバレ

鬼である事がオマエにバレた。
誰でもそう。
鬼だと分かった途端、態度は変わるもの。
バレる前もバレた後も、オレは何も変わっちゃいないのに。

だからオマエだって、同じに態度を変えるもんだと思っていたのに。
何も変わらなかった。
全てを受け入れてくれた。
だから親父さんに本当の事を話して、認めて貰おうと思ったのに。

親父さんも他のヤツらと同じだった。
オレへの態度が急に変わっちまったんだ。
大切な娘を鬼には渡せないと。

そうして山吹を千本摘んで来たら認めてやるだなんて、無茶な要求を出されたんだ。
まだ山吹が咲くには季節が早い。
千本なんてどう考えても無理だ。

それでも諦められたかった。
どうしてもオマエの事だけは。

だから山に登り必死に山吹を探した。
そうして山奥に山吹の咲いている場所は見つけられたものの、足場の悪いそこで足を滑らせたオレは怪我を負い、オマエの元へ行けなくなっちまった。
必ず戻ると約束したのに。

そうして動けず困っていたオレを、たまたま見つけた実彰が助けてくれた。
手当をして貰い、あとは回復を待つばかり。
けどもう間に合わねえ。
せっかく山吹を見つけたのに、親父さんの所に持っていく事が出来なかったんだ。

その後、仕事にも復帰したが、オマエに会いには行けなかった。
もう合わせる顔なんてなかったから。

そんな時、料理茶屋に通っているヤツから、オマエが元気がなく部屋にこもりきりになっている話を聞いた。

今すぐ会いたい。

心からそう思ったものの、出来なかった。
親父さんは反対しているし、江戸での鬼への風当たりは日に日に強くなる。
そんなもんにオマエを巻き込む訳にはいかなかったから。

所がそんなオレの元に文が届いた。
オマエからだとかむろが渡してくれたそれが、オレたちが文をやり取りするキッカケに。
けどオレは知らなかった。
その文が娘を案じた父親がオレに渡すために書いたものだなんて。

そうして何も知らないまま、オマエの部屋の障子の隙間に文の返事を挟んだ。
翌日訪ねてみると、オレが文を置いた場所には、オマエからの返事が。

本当はさっさと終わらせるべきだった。
けど離れたくないと思う心がそうはさせてくれなかった。

そうして江戸での鬼への風当たりの強さは、ここに暮らす事を困難にし、オレは吉備国へ帰る事にした。
オマエに「さよなら」と書いた手紙を残して。

ばあちゃんは一足先に吉備国から来た迎えとともに家を出て、後から出るオレは、その別れの文をオマエの家に届ける予定だったんだ。
けど、その日は裏で賭博をしている鬼族が見つかり、江戸の町はその鬼を探すのに躍起になっていた。

ばあちゃんが危ねえ。

そう思ったオレは、金四郎の旦那に正体を明かし、そして岡っ引きや町の人々の目を自分に惹きつけた。
そうする事で、ばあちゃんが逃げられるようにと。

だから届けられなかった。
最後の手紙だったのに。
そんな心残りを胸に、山奥の洞窟に隠れていると、地滑りの音と女の悲鳴が聞こえた。
慌てて声の方に向かうと、倒れていたのはオマエだった。

手当をし、眠ったままのオマエの唇に自らのそれを重ねる。
もう会えないと思っていたから、堪らなく嬉しくて。

けれど連れは行けない。
本当は離れたくなんてなかったけど、こんな危険な状況に巻き込む訳にはいかないから。

なのに目覚めたオマエは、アッサリとオレと行くと言うんだ。
当たり前みたいに。

そうしてオレたちの吉備国への旅が始まった。
駆け落ちのように人目を偲ぶ旅。

本当にこれで良かったのか、まだ分からない。
けれどそれでも幸せだって思えたから。
だからこの手はぜってぇ離さねえ。

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