剣が君 百夜綴り【螢】山吹の書:螢・過去前編

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剣が君 百夜綴り 通常版 - PS Vita

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シナリオ紹介

CVはKENNさん。
彼女とは恋仲で、奉行所に努める十手持ち。

剣の手入れをしている彼に、彼女がいつから剣を持っているのか尋ねた事から、彼の昔話が始まる。

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感想

切ない過去でした。
人鬼の乱とか、鬼の刀狩とか、螢さんのシナリオで聞いていましたが、刀狩をされると言う事の意味を、私は深く理解出来ていなかったんだな…と、申し訳ない気持ちに。
誇りを取り戻すは単純に帯刀が許されるだけでなく、鬼族が人に怯えて生きなくてもいい世の中になる事でもあったんですね。

そんな切ない過去の中、彼の人に対する思いは、とても複雑だったと思うのです。
だからこそ、黒装束の侍との出会いに、感謝したい気持ちに。
本当にみんなの過去に絡んでくるあの人はすごいし、あの人が絡んでいる事で、花嫁行列の護衛が彼らだった事に、運命を感じてしまいます。

螢さんの剣への思いがとても伝わりました。
大切な人を守るための剣、ステキです。
KENNさん、ステキな螢さんをありがとうございました。

ネタバレ

鬼族の長の息子として生まれた彼。
もう彼が生まれた頃は人鬼の乱の後で、鬼たちは刀狩で帯刀を許されなくなっていた。
これでもご領地と街道限定であったので、彼らの住む吉備国の鬼ノ城では、帯刀していても構わない。
だから父や家臣たちは、いつも稽古に励んでいた。

けれど彼には興味はなかった。
剣を使わず木刀で行われる稽古ではあるものの、「あれだって当たったら痛いじゃないか」と思っていた。
泣き虫で、母の後ろに隠れてしまうような人見知りで、まだまだ甘えん坊だった彼。

そんな彼は、ある日剣の稽古を見ていた所、父に領地を一緒に見に行かないか?と誘われた。
そこは鬼ノ城からも近く、父は息子と妻を伴って、視察に出かけたのだ。

近年、鬼の村では彼らが帯刀出来ないのをいい事に、野盗が頻発していた。
得物を持たない彼らは、ただ抵抗も出来ずに殺されるだけだった。

けれど幸い今回訪れまた村は鬼ノ城の目と鼻の先だったので、安全に暮らせている…と村の人々も喜んでいたのだ。
和やかな雰囲気の視察に、彼は王族として民に慕われる両親を誇らしく思い眺めていた。

けれどその夜、村は野党に襲われ、彼の目の前で燃え盛る炎の中、両親は殺された。
ただ殺されたのではない、切り刻まれるような酷い殺され方だった。
怖かった、悲しかった。
お前だけでも逃げろ!…まるで母を守る為に発したかのように聞こえた父の言葉は、夜着で隠した息子に宛てたものだった。

けれど両親の受けた理不尽な暴力の恐ろしさに、声は喉に貼り付き、体も動かなかった。
ただなすすべもなく、少し離れた所から、その酷い光景を見ている事しか出来なかった。

それでも父の言葉を思い出し、それが父の最期の自分への願いならばと、必死に逃げたものの、転んだ彼は崩れた柱の下敷きに。

そんな近くの村の火の手に鬼ノ城の祖父たちが気づき、急ぎ駆けつけてくれた時には、既に彼の両親も村人も全滅していた。
ただ彼だけが無事に助けられた。

彼の無事を祖母も祖父も、家臣たちも喜んでくれたものの、彼は悔いていたのだ。
何も出来なかった事を、ただ一人両親を残して逃げた事を。

そうして自分を責める彼はただ部屋に引きこもって数年の月日が流れた。

そんなある日無理やり彼に剣術を教えようとした祖父に部屋から連れ出された彼は、城を逃げ出した。
そこで人間の姿を見た彼は、あの日の恐ろしい光景が蘇り、必死に逃げた。
なんとか逃げ延びたものの、そこは全く見知らぬ場所で、帰り方が分からない。
途方に暮れた彼は、あたりを見回し、誰かとぶつかった。

ぶつかったのは人間で、その人間は彼に顔を見られた事と、相手が鬼なら斬ってもお咎めなしという事から、彼を斬り捨てようとしたのだ。
そこに彼を庇うように黒装束の侍が現れ、峰打ちでやっつけてしまった。

黒装束の男は、彼に手ぬぐいを渡し、ツノを隠すように指示。
仲間に迷子の子供を送ってくる…と告げ、彼を城まで送ってくれた。

そうして鬼の彼に普通に世間話をする侍に、初めは人間の酷さを訴え怒っていたものの、次第に侍の言葉に感化されていった。
守れる強さを手に入れればいい…と言う言葉に。

そうして彼は両親を失い抱え続けた喪失感から抜け出し、前に進む決意をした。
御前試合、天下五剣、将軍に拝謁…そんな侍の教えてくれた事を胸に。

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