神凪ノ杜 五月雨綴り【沢木宗太】

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MatatabiさんのPDVita用ソフト「神凪ノ杜 五月雨綴り」で八代拓さん演じるキャラクター、沢木宗太の感想とネタバレ(あらすじ)をまとめました。

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キャラクター紹介


※「神凪ノ杜 五月雨綴り」は乙女ゲーム制作ブランド『Matatabi』の作品です。
バナーの画像はこちらからお借りしております

CVは八代拓さん。
主人公と共に南条家で暮らす妖憑き。
姿を消す能力を持つ。


主人公とは小学校時代の同級生。
現在は主人公と同じ高校生の同じクラス。
誰にでも優しく気遣い上手の人気者。


感想

私の大好きな最初から優しい人でした。
なので一番好きになるんじゃないかな?と期待の気持ちで攻略を開始。


ところが、意外にも普通…と言う印象(笑)


何がダメだったのかな?と自分で分析してみた所、誰にでも優しすぎる所かな?と。
そして優しいのに心が遠い人だな…という印象が最後まで残った事かな?と。


心が遠いと言う部分に関しては、個人的な感覚の問題です。
他の人には伝わりづらいかもしれません。
自己犠牲が強すぎるからなのか。
物語が進んでも、彼の心に近づけた感じがしないというか。
透明な壁のような隔たりを感じた…というか。


個人的な感覚の問題なので、「優しくて素敵」って思う方が大半だと思います。
思いますが、もし同じように感じた方が居たら、ぜひ語り合いたいです(笑)
声かけてください。


ただ彼個人に対しては、色々と苦労も多いし、辛い思いも沢山したと思うのです。
だから幸せになって欲しいと心から思いました。


ネタバレ(あらすじ)

宗太は兄さんが死んだ日に一緒に死んだんだよ。

兄の死

両親が離婚し、母と兄とで暮らしていた。
母は兄を特に可愛がっていて、勉強もスポーツも、そしてピアノも得意な兄は、母の自慢の息子だった。
そんな息子が居たから、離婚の辛さも乗り越えられたのだろう。


所が三年前、彼の兄は亡くなった。
そうして母はその事が受け入れられなかったのだろう。
彼を『裕也』と兄の名で呼ぶようになったのだ。


目の前に彼がいるのに、彼越しに兄を見ている母。
そんな母の態度に酷く傷つきながらも、彼は言えなかった。
俺は裕也じゃない。宗太だよ」と。


それが彼の心の傷。
本当の自分を失い、でも心の底では見つけて欲しいと思っていた。
自分はここに居ると、知って欲しかった。
だからだろう。
彼の妖憑きの能力は、姿を消す力となって現れた。
見えない自分を誰かに探して欲しいと言う、心の奥の願いから。


聞かないでの意思表示

そんな母と彼との関係を案じた伯父が、彼を南条の家で暮らせるように頼んでくれた。
そうして母と離れて暮らすようになった彼。
けれど彼女がこの屋敷に来てからも、彼はよろず妖屋の仕事が休みの日を利用しては、母の様子を見に帰っていた。


だから彼女は知らなかった。
まさか母との関係がそんな複雑なものであるなんて。
仲がいいから帰っているのだと思っていたから。


そうしてある時、彼の母がいなくなったと連絡を受けて、探しに出た彼を追いかけた彼女は、そこで知る事となった。
母に「裕也」と呼ばれる彼の姿を。


だから気になったのに。
尋ねようとする彼女の話を彼がさりげなく逸らした。
それはつまり「聞かないで」と言う意思表示だったのだろう。


彼女だって、友人の紬にこの学校に転校してきた理由を尋ねられた時、答えられなかった。
母の死を誰かに話せる程、また心の整理がついて居なかったから。
だから思った。
彼の母との事は、自分のそれと同じなのかも知れない…と。


転校生

文化祭を間近に控えた頃、彼女達のクラスに転校生がやってきた。
松永と言う男子生徒で、彼の小学校の頃の親友だ。


彼女も同じ小学校だった事から、声をかけてみると、クラスは同じになった事はないものの、名前を覚えてくれて居た。
転校生ではあるが、昔の友人と再会出来たからか、松永は嬉しそうな顔を見せて居た。


しかし、彼がクラスのみんなの人気者で、文化祭の準備でも皆に頼られている様子を見て、松永の態度は一変。
クラスの誰とも交流せず、彼が声を掛けてもよそよそしい態度になってしまったのだ。


松永は彼と離れてからずっと学校でいじめに遭ってきた。
だから楽しかった彼との時間が松永の心の支えだった。
けれどそんな彼は、松永がいじめられている時間もクラスの人気者として幸せに過ごして居たのだ。


許せなかった。
憎かった。



だから松永は文化祭用の備品であるテーブルクロスを盗み、彼を犯人に仕立て上げた。
松永が真犯人だと気付いた彼は、なんの弁解もせずに教室を去り、以来犯人扱いされるように。
それでも一言も弁解する事なく、文化祭を迎えたのだ。


死者が会いにくる街

彼女が南条の屋敷に来る前に住んでいた街では、死者が雨の日に会いにくる…と言う噂があった。
そうしてついによろず妖屋にも、その噂に関する依頼か届いた。


担当することになったのは、彼女と彼とそして葵の3人。
夜に仕事をするため、2時間仮眠をとり、それから出かけようと言うことに。


アラームをセットし、仮眠を取った彼女は、時間になり待ち合わせた居間に顔を出した。
しかし居間には東雲しかおらず、彼も葵も来ていなかった。


二人の様子が気になり、それぞれの部屋を訪ねると、葵はまだ仮眠中で彼は部屋に置き手紙を残して出かけていたのだ。
今回の依頼の件には心当たりがあるから、一人で行って来る…と。


嫌な予感がし、東雲に葵への伝言を頼み、一人彼を探しに出た彼女。
そこで彼女は死んだ母と遭遇した。
母は優しい笑顔で「あなたを一人置いていく訳がないじゃない」と言う。
会いたかった。
だから手を伸ばしたかった


けれどその時彼を「裕也」と呼ぶ彼の母親の姿を思い出した。
ここで母の偽者に手を伸ばしたら、彼の母と同じになってしまう…と。
だから「あなたはお母さんじゃない。私のお母さんはもうここには居ない」と涙ながらに告げた。
すると母だった人は次第に薄くなり消えてしまったのだ。


宗太くんも絶対ここにいる!


そんな予感に突き動かされた彼女は、必死に彼を探すため、雨の街を走り回った。


優しい幻の中で

知っている街なのに、迷路のように走っても走っても同じ景色から抜けられない。
やっと住宅街を抜けたと思ったら、突如繁華街にでて、また繁華街が延々と続く。
それでも走り続けると、今度はまた住宅街へ…と迷いながらも彼女は彼を諦めなかった。


そうして必死に走ると、突如景色が明るくなり、気づくと部屋の中に。
ピアノのあるその部屋には、彼と彼の母と知らない二人の男性がいた。
会話の内容から、その二人の男性は彼の兄と彼の父だと分かった。


ここは彼の見ている幻の中なのだろう。
彼は幸せそうに家族と語らっている。
宗太くん、帰ろう」堪らず彼女は声をかける。
けれどそこに偽者の彼が現れ「こんなに思案せそうなのに、なぜ邪魔をする」と言われてしまう。


確かにここに居れば幸せかも知れない。
それでも、幸せな幻にすがって生きていてはいけない。
過去に囚われて生きるのは間違っているから。

だから彼女は彼を呼んだ。
何より彼女が嫌だったのだ。
彼をここに残したくない、離れたくないと思ったから。
だって彼が好きだから。


そんな彼女の想いは彼に届き、彼は幻の中から抜け出す事が出来た。
そして彼を幻へと誘った犯人は、彼の母だった。
恐らく妖憑きなのだろう。
その能力で母は彼の兄を見ていたのかも知れない。
だからやはり彼を「裕也」と呼ぶ。
そんな母に「母さん、俺は裕也じゃないよ」と伝えた。
それはずっと母に伝えたかった言葉。
とても単純で、でも口にするのがひどく難しかった言葉。


そうして母にもう兄は死んだ事、自分は兄じゃない事。
ちゃんと兄ではなく、自分を見てほしいと伝えた。


初めてましてからまた始めよう

母の事件をきっかけに、二人の仲は急速に深まった。
そうして互いに意識し始めたことをキッカケに、彼はある決意をした。


それは自分が犯人ではないと、クラスでみんなに話す事。
今までは真犯人に気付いていたから、自分が犯人と思われたままでもいいと思っていた。
けれど母とのことに向き合った彼は、この事件とも向き合う勇気を手に入れた。


そうして教室の黒板の前に立ち、「みんな、話を聞いて欲しいんだ」と切り出した。
テーブルクロスがなくなった日に、新しいものを買ったレシートを見せ、自分が犯人ではないと伝えた。
テーブルクロスを盗み、テーブルクロスを買うことにして、そのお金を盗んだ…と言われていたから。


彼がそう話すと、みなはすんなり彼が犯人ではないと信じてくれた。
そもそもおかしかったのだ。
彼はみんなからの信頼があついはずなのに、誰ともなく彼を犯人だと言い出し、みながそれを信じた事が。


そのカラクリはこうだ。
転校生の松永は妖憑きで、みながアッサリ彼を疑ったのも松永の能力によるものだった。
恨んでいたのだ、彼を。
裏切られた気持ちになったから。
彼だけが心の支えだった松永にとって、自分が苦しんでいる間もクラスの人気者として生活していた彼の事を。


だから自らテーブルクロスを盗み、能力を使い彼を犯人に仕立てたのだ。


全てを知っていた彼は、松永を追いかけた。
その後を彼女も追うと、恨んでいたことを告げた松永が、胸を押さえて苦しみ出した。
侵食が始まったのだ。


最初は彼女が侵食を抑えようとしたものの、それは危険だと彼に止められてしまった。
しかし松永の侵食は早く、命の危険もあった為、彼の頼みで彼女は松永の禊を行った。


虐められていた事も含め、記憶をなくした松永だったが、彼はそんな松永に寄り添い「初めまして」からまた二人の友情をやり直す事にしたのだ。


全ての事件がこうして解決し、彼は彼女に想いを伝え、彼女もまた彼に想いを伝えた。
そして全てを吹っ切った彼は、今は音大を出て音楽を教えたいと言う夢を持つことが出来た。
彼女もまた夢は見つからないながらも、母の店を処分する決断を。
もう過去に囚われるのはやめる事にしたのだ。


そうして二人は歩き出した。
新しい未来へ向かって。


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