薔薇に隠されしヴェリテ【ルイ16世】

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薔薇に隠されしヴェリテ - PS Vita

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キャラクター紹介

CVは白井悠介さん。
フランスの国王。

色々な事に無関心な為、初めは自分自身の結婚にも無関心だった人。
自分は王にも向いていないと思って、彼なりに国の行く末を考えていた。

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感想

歴史に忠実に作られているので、重いです。
処刑のギロチンの音も、恐怖しかありませんでした。
それでもとても素敵なお話だったと思います。

歴史でしか知らないフランス革命。
処刑された王族の気持ちも行動も何も知らなかった。
それは彼が国の為、民の為と、お飾りでしかない国王ではダメだからと、王にふさわしい物を集めて会を発足し、密かに身代わりで政治を行っていた事も、民の暮らしを知らなければと、お忍びで街に出ていた事も、何も知らないまま彼を「要らない」と断じた国民と同じなのかも知れない。
だからこうして、そんな彼の気持ちや行動を知る事が出来た事を嬉しく思います。

…とはいえ、実際に錬金術の身代わりの薬を使い…というような事はなかったと思います。
それでも誰しもそれぞれに事情も思いもあったんだろうな…と思えました。

そして狩りと錠前づくりにしか興味のなかった彼の心を動かした主人公。
最後に革命の中、王政が滅ぶ瞬間、隣にいたのが本物のアントーニアではなく彼女で良かったなって思います。
一番つらい時、一番支えて欲しい相手が、彼にとっては彼女だったと思うので。

そして彼女が本物の皇太子妃として嫁いだアントーニアだったなら、どんなに良かっただろう…とも思ってしまいました。

色々切なくて、報われない感じもありますが、とても心に残る素敵なシナリオだったと思います。
そして何より、無関心、無感動なルイを素敵に演じてくれた白井さん、本当にすごかったです。
多分白井さんだったから、こんなにもルイの事が大好きになれんだと思います。
白井さん、素敵な陛下をありがとうございました!

ネタバレ

そなたが王妃であればと何度も思った。
余が出会った王妃はそなただ。
そなた以外を王妃とは認められなかった。

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王太子として即位して以来、周りからの嫌がらせが激しくなり、彼は心を閉ざしてしまった。
周りに関心を持たなければ、どんな嫌がらせをされようが、誰に何を言われようが、気にならないから。

そうして狩りと錠前作り以外、何にも興味を示さなくなった彼。
だから当然結婚にも、オーストリアから来る王太子妃にも、全く興味がなかったハズだった。

なのに。
薬を使い自分の身代わりを立てようと計画していた彼が、その時に備え、

余がおかしな事を言っても気にしないでくれ。

そう彼女に伝えた事から、彼女も彼が薬を知っていと気付き、自分もその薬で身代わりになっている…とそれとなく伝えた。

その事から、彼の心が動き出した。
今まで何にも興味などなかったのに。
彼女の言葉に、急に彼女が気になりだした。

その後、王太子妃は本人と入れ替わったものの、彼が出会ったあの王太子妃ではなくなってしまったから、当然二人の距離が縮まる事はなかった。

興味を持った相手は身代わりの方だったから。

そうして王が崩御し、彼が即位した後に、当初の予定どおり会を発足。
民からロベスピエールとダントン、貴族からはラファイエットとフェルゼンを選び、定期的に身代わりの薬を使い彼らに王の仕事をさせた。

それは、自分は王は向いていないと思っていたから。
もっと王にふさわしいものが王の仕事をする事で、民のためになると思ったから。

そうして偏る事のないように、彼の知人の紹介で民からも代表を選んだ彼。
全ては民の為、国をよくする為と考えての行動。

一方、最初こそ入れ替わっていた彼女はと言えば、王妃に彼女が嫌われてしまった事で、入れ替わる事のないまま時間が流れていた。

その後、王宮内で孤立していく王妃の為、彼女は王妃付きの侍女に。

けれど、彼女にも心を開くどころか、どんどん以前から仕えていたものを遠ざけて、誰の言葉にも耳を貸さない王妃は、国のお金を贅沢に使い込んでいた。

そんな王妃の贅沢三昧を今日の食べ物も危うい市民達が許すはずもなく、次第に民から王政廃止の声が。

その運動の中心となっていたのがロベスピエール。
元々王の身代わりになって成し遂げたかった事も、王政の廃止であった彼。
ダントンたちと共に、市民の代表として王室と敵対する立場に。

更には彼の側近として護衛を務めていたラファイエットまでもが、アメリカで戦争を経験した後、民の為に戦いたいと王室を去り、王の敵になってしまった。

友と思っていたものたちが次第に自分から離れ、更には国民に要らないと言われる存在になってしまった国王。

そんな孤立する彼の為に、彼女は再び身代わりの薬を使う事に。

何も出来ないかもしれない。
それでも辛い立場の陛下の側にいたい
と。

度々薬を使っていたので、一度薬を飲んで居なくても王妃の姿になった事があった。
錬金術で大きな力を手にいれたものは、その代価を支払う必要がある事から、後から何かが現れる…と以前から言われていたのだ。
だから、次に使ったら二度と自分の姿に戻れないかもしれない
そう覚悟した上で、それでもなお、彼の側に立つ事を選んだ彼女。

薬をもう飲まない。

何度もそう言いながらも、薬を飲む事をやめられなかった理由。
それが彼だと気づいたから。

平民の身分の自分では、彼の側にいる事は出来ても、隣に立つ事は出来ない。
けれど、出会った頃のように、王妃としてなら、彼の隣に並ぶ事が許されるから。

そうしてフランスに革命が起こり、王政は廃止され、彼らはベルサイユから追い出されてしまう。

幽閉され、逃亡し、また幽閉され。
最終的にはロベスピエールの判断で、塔に閉じ込められた彼ら。

そうして国民が立ち上げた議会により、王が裁判に掛けられ、死刑が宣告された。

誰よりも国の事を考えていたのに。
国の為にと、お飾りとしてまったく政に参加出来ない自分より、何かをしてくれる身代わりをと会を発足し、薬を使い頑張って来たのに。
市民の暮らしをその目で見て、国の為に何が出来るのかを考えても居たのに。

そんな彼の心も行動も、何も知らない国民達は、彼を要らないというのだ。

元々自分の命になど興味はなかった。
いつ殺されるとも分からない環境で、それでもいいと思い暮らしていた
のに。

彼女に出会ってしまったから。
自分の命は惜しくなくとも、彼女の側にいたいと望んでしまう。
彼女を一人にしたくないと思ってしまう。

こんな風になるのなら、もっと早く何か出来なかったのだろうか?

今更悔やんでも仕方がないのに、悔やまずにはいられない。
愛しているのに、大切なのに、もう側にいてやる事すら出来ないのだから。

だから彼はロゼールに手紙を書いた。
彼女と共に生きたいと。
何かその為の道はないか?と。

そうして死刑の前夜、彼の前に明日の処刑の打ち合わせだとエルザが身代わりの薬で姿を変えて現れた。
そうしてエルザは彼を助けてくれるという。
自分が王になり、代わりに処刑されるのだ…と。

そんな事は出来ない。

彼にとっても、彼女にとっても、辛い時に共に過ごした仲間であるエルザ。
だから無理だという彼に、

これは陛下のためじゃない。
あの子の為にする事なんた。
名前をくれた人に、この生命を捧げようと決めたいたから。
たまたまそれが彼女だっただけ。

そう言ったエルザの覚悟。
元々なかった命。
ロゼールに救われたそれだから、大切な友達の未来の為、幸せの為、そのために捧げるのなら本望だと。

そうしてエルザのそんな思いに応え、彼は彼女と入れ替わり塔の外へ。

一方、王の入れ替わりの事を知らない彼女は、王の居ない世界に意味はないと、生きる事を諦めようとしていた。
けれど、そんな彼女を叱咤したのは王妃だった。
どんな事があっても生きなさい!と。

そんな彼女の言葉に、大好きな人との想い出を胸に、生きる決意をした彼女。

そうして王妃とエリザベートの移送が決まった時、彼女は塔から追い出された。
移送されるのは死刑を待つ王族のみ。

一人になった彼女は、パリの街に戻り、再び懐かしのホテルへ。
そこでクロエから手紙を渡されて驚く彼女。

差出人はジャック。
そう、王のお忍びのときの名前。

その手紙にはクロエの遠縁の人の所で、待っている…と。

エルザの犠牲の上に残った命。
だから必死に生きようと、民としての暮らしを学んでいる彼。

自然に囲まれたそこで、彼を探しに来た彼女と再会し、王妃や妹の死刑を知った。

沢山の仲間が死んでいった。
自分も何度も死にそうになった。
そして人を身代わりにした罪悪感に、辛い思いをした事もあった。

それでも生きようと思ったのは彼女が居たから。
いつかもう一度彼女と出会うその日を夢見ていたから。
もう王族でない彼は、やっと彼女と同じ位置にたって、そうして隣にいる事が出来る。

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沢山のものの犠牲の上に助けられた命だから。
みなの分まで精一杯生きていこう。
これからは、そなたと二人手を取り合って。

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